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♮149:広角ですけど(あるいは、しまいらか!公然/ラインク雑波)


<20分の休憩を挟み!! 11:00より『ファイナル予選』を開始いたします……遅れたら失格ですので、そこだけはお気を付けを!! 各自こちらで用意いたしました『装備』を身に着けて、またこの場に集合してくださいね!! それでは休憩ー!!>


 実況少女はまたも普通ニュートラルな感じに収まってきたけど。休みが取られるっていうのは朗報だ。先ほどより体が四つん這いで固定されていたから、ばきばきに痛重いんだよね……


 そしてそれプラス、「折衝」の時間が設けられることが大きい。今回の「サバゲー」とやらは、運営の「ツブし」的な意味合いが非常に強い気がする。賞金10億。とてつもない額だ。それをどこぞの馬の骨にはいと素直に提供するとは思えない。


 そして次戦……「一対多」の状況が作りやすい対局形式だからこそ、怪しい。囲まれたらDEPも何もなく、ハチの巣にされて終わりだ。くそっ、本質がどうとか悩んでいた自分がバカみたいだ。すんなり本質を履き違えてくるじゃんよ……他ならぬこのダメの運営の方が。


 そこそこ盛り上げておいて参加料や観戦料なんかを回収し、キリの良きあるところで自らの息のかかった者たちが勝利して、賞金はステイさせる。そんな絵図が描かれていることだろう。そのくらいはこちとらダメにぞんぶり浸かったこともある身だからわからいでか。


「……」


 だとしたらやはりここは、運営では無い方々と組むことで勝つ確率を上げる……それしかないんじゃないだろうか。


 先ほどまでVR悶絶レースが繰り広げられていた「ホール」の防音扉を疲れた体で何とか押し開けると、カーペットの敷かれた通路を、壁に張られた案内板に沿って「楽屋」と書かれた部屋へとずりずりと進む。見かねたのか、翼が肩を貸してくれた。助かるけど、何か気恥ずかしいな!! 僕らは室内に開け放たれた入り口をくぐり、「楽屋」へと。


「よう」


 かなり広く、奥行き側に縦長。一段上がったところは畳敷きで、両側の壁に沿ってずっと続いている。相撲の支度部屋みたいだな……とぼんやり僕が思い浮かべていたら、右手の方からそう声がかかった。


 あぐらをかいて寛いでいたのは、件のアオナギであった。勝ち残ってたのは、やっぱり結構意外だ。あんまりDEPに関しては特筆すべきものを持っていなかったような気がするけど、その狡猾さをいかんなく発揮したのだろう。ともかく、「仲間」となってくれそうなヒトがいて、僕は安堵する。


「……」


 その隣には、座ると体全体もおむすび型へとトランスフォームする豆巻マルオさんと、アオナギの隠し玉こと、メイド美少女さんと執事美男子さんがきちりと正座をしているけれど。うん、ちょっと見た目の奇異感を匂わせてくるな……


 ともあれ。あまり尖った空気感はないわけで。ここはもう交渉に進むほかはないよね。僕は翼の肩に掴まったまま、何て切り出そうかしばし考える。


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