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143/312

♭143:改竄かーい(あるいは、召しませ!陸海空/ファウンテン)


「アタイの名を……言ってみろ水窪ミズクボォォォォァァァァッ!!」


 そう来たか……自分から促してくるタイプの奴……まったくもってまたも見覚えが産毛ほども無いのだけれど。「アタイ」が一人称の奴は残念なことに残念な該当者が何人もこのダメ界隈では居てたようにフラッシュバックしてくるが、目の前の女はそのどれにも当てはまらず、難解ですなあ……


「……ヒント」


「『女流謳将おうしょう戦』、『決勝第二戦』……」


 臆面も無く放たれた私の要求に、即応阿吽の呼吸で返されてくる、表情の乏しい言葉。この手の輩のこの手の対応は何故かいやになるくらい俊敏だ。


 過去、私が出場した「大会」。そして最も混沌としていた(まあ常にシャバの1.8倍は混沌としていたのだけれど)、多人数(10人)バトルロイヤルの対戦形式だった「対局」……


 やはりそこか。そこいちばん同時多発的に局地戦が勃発していたから、自分の周り以外のことって把握できてなかったもんね……なら、


「……『遊獅子ユジシ 我飛兎ガヒウ』」


 私が穏やかに切り出していったその名前は、どんぴた正解だったみたく、その名前の割に特徴の乏しい平たい顔を真顔に変えながら、お、おう……というような声で応じられたけど。


 んなやり取りしてる暇はないっつーのよ。即応ォォォォォッ!!


「……」


 私は「想像の左手」で「想像の拳銃」を何も無い中空から引っ張り出すと、中空のとっかかりみたいなところに弾倉を引っかけてシャアアと勢いよく回転させる。儀式。これは召喚の儀式なのだ……


 目の前30cmくらいのとこで相対している主任の顔は、好奇心に駆られた真剣なものであり。どこか実験動物を視る感じなのがちょっとひっかかりはするけど、初っ端出した私の「世代人格」が一人こと、「ヒマリアⅩⅩⅩⅥサリセクス」、つまりは「姐やん」の時も、す、すごいよ若草クン……みたいな食い気味のリアクションで迫られてたわけであり。


 主任の「ダメ」に関わることへの食いつきは、ちょこっとこちらを引かせてくるのだけれど。いやもうそこは、私への想いの強さと転換(改竄)するのよぉぉぉぉぉん……ッ!!


  頭の中で「拳銃」をこめかみに突きつけて躊躇せずに引き金を引くと、ぱきょぉぉぉんというもはや定番となりつつある間抜けな音が響くと共に、自分の意識の表層に、「いつかの私」が浮上して表面を覆ったかのような、そんな得も言われぬ感覚を受け止める。そして、


 想像力の翼で、アタイは主任とトぶんだかんねっ!!


 こんな奴いたっけ、と深奥に引っ込んだ私が真顔になるくらいのキマったテンションで、そんな気合い混じりの叫びをカマす表層の「私」なんだけど。「私」というか「アタイ」なんだけど……


 あれあれあれ? 何か、いつもの感じやない……何か、暴走してない?


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