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♮121:広範ですけど(あるいは、恋い焦がれ/フォーリンダウニック)

<基本ルールはッ!! ここより『100km』先のゴールを目指していただくという、レース的な側面を有したものでありますッ!!>


 実況少女の声が無駄なサラウンド感をもってして響いてくるけど。VR空間を疾駆するわけだ、この態勢のまま。そしてそれが1500組くらいおるわけだよね……なんだろう、こうまで正気のタガが外れたることこの上なし……僕はもう言葉も表情も失ったまま、そんな思考を浮かばせることしかできないけど。


 いや、出来ることならある。いやさ、やらねばならぬことがある。


「翼っ!! おそらくはお前が舵取り役。僕が『出力』を調整するから頼むぞっ、ぶつからないように」


 次の瞬間、行動を開始していた。右手と左手に握った操縦桿らしきもの。だけどそれ自体は前後左右には動かなかった。その代りに押し込む「ボタン」のようなものが双方についている。


 ……アクセルとブレーキ。そう踏んだ。そして僕が制御できるのがON/OFFしかないのならば、自ずと操縦制御は、相方側に割り振られているだろうことも推測した。


 であればもう初っ端から飛ばすしかない。僕はまだ中空で実況の説明に耳を傾けたまま硬直している他の参加者を後目に、おそらくアクセルと思われる右手側のボタンを親指でゆっくりそろそろと押し込んでいく。


「……!!」


 案の定、僕と翼を「乗せた」、この「搭乗機」とやらは前方に向かってゆっくりと動き始めたのである。


<ただしッ!! 皆様に初期与えられた『エネルギー』は『10km』分しかありません!! ゆっくり流せばエネルギーの消費は抑えることはできますが、これだけでは絶対にゴールにはたどり着けないこと、それは確実ということを伝えておきます!!>


 何だって~、いやそりゃそうか。これが『本質』ではないと先ほど言ってたもんね……でも何となくわかってきたぞ、足りない「エネルギー」を補充する術は……


<『半径15m』ッ!! その『射程距離』内の相手チームに、『対局』を仕掛ける事ができますッ!! 拒否はできない、まさにのガチ勝負ッ!! その一発勝負により、『勝ったチームが負けたチームの残りエネルギーを加算すること』が出来るわけですッ!! 負けチームは逆に、エネルギーを全て失うことになります、すなわちそこでリタイヤと、そうなるわけでございますッ!!>


 おっと、結構気の抜けないルールだ。先ほどの「一次予選」は一敗までは許されていたけど、今度は一敗すらできないということになる……やはりここからが本番と、そういうわけだろうか。


<さらに、完走だけでも『通過』にはなりませんのでご注意を!! 『先着70名』ッ!! 対局を幾度となく勝ち抜き、さらにレースにも先んずることが出来た者だけがッ!! 次なる『ファイナル予選』へと駒を進める事ができるというわけですッ!!>


 いや、かなり狭き門だ。バングルの情報画面を確認すると、現在の「一次予選」通過者は「1547名」。これが「70名」に絞られるという、えらい落差だよ。先ほどの「一次」がお遊びに思えるほどに。だが……やるしかない。やるしか。


 しかし、どこぞのWEB小説大賞のようなその選考スタイルには、モノ申したい自分がいることも確かに自覚している。


 ……ん何が一次予選通過だッ!! ……夢見させるようなことをすんなッ!!


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