小石の神様
こんなところを覗くとは、貴方も随分と暇人なのですね。
もしくは余程の物好きか。
最後に「ん?」と思……わせられている、かな?
某連邦捜査官ではなく、某魔術師殺しの方の小山力也さんでお願いしますm(_ _)m
「僕の神様はねぇ」
そう言って彼は微笑んだ。しかしすぐに、それが微笑みではなく嘲笑なのだと気が付いた。
「大いなる力と知恵で星と動物と人間を創り、溢れる愛と公正をもって人間を導いているんだ」
「貴方は僧職者なんですか?」
彼は問いに対して僅かに首を振って答える。
「僕は神様に嫌われたからね」
「なぜ?」
「約束を破ったのさ。神様は平和と安穏を、悪魔は反逆と争乱を生むのだそうだよ」
その生き甲斐を考えれば、なるほど、確かに彼は悪魔寄りに違いない。
「貴方は悪魔と友達なのですね」
「実はそういうわけでもなくてね。僕の片思いさ」
彼はわざとらしく肩をすくめて見せる。
「神様の匂いがするらしいね。残り香、と言えば少しは洒落て聞こえるかな」
戯けて笑う彼の瞳には懐古の色が混ざっていた。
「貴方は何者なのですか?」
「僕はね、地面に転がる小石さ。いや……光と陰の狭間の小石、かな」
こっちの方がかっこいいだろう? ニヤリと笑いつつそう言って、彼はペンを取った。
いくら鳴いても小石は小石。その声が万人に届くわけがないことを、彼は知っている。
それでも彼はペンを走らせる。紡がなければ、地面に転がる小石は地中に埋もれた小石になってしまうことを、僕は知っている。