次なる街へ
とりあえず、一万字突破です。
「ねぇ、アルト。次の街はどんな街なの?」
「トリータって街で、結構遠いみたいだな。野宿することになるだろうな。」
「そうなの?」
「あぁ。ところで、話は変わるが、マールィ。」
「どしたの?」
「お前の才能はなんなんだ?」
「才能?そういえば言ってなかったわね。いいわよ。見せてあげるわ。」
マールィはボムッと才能の書を出すとアルトに見せた。
名前:マールィ
性別:女
年齢:13
Lv.1
筋力:13
体力:17
耐久:10
敏捷:28
魔力:19
HP:100/100
MP:190/190
才能
1.走行 Lv.5
2.跳躍 Lv.4
3.隠れる Lv.2
4.風魔法 Lv.3
5.魔力操作 Lv.2
6.歌唱 Lv.2
7.料理 Lv.1
8.踊る Lv.1
9.[ ]
10.[ ]
「13歳か。親は?」
「ママは去年死んじゃったわ。パパは知らない。会ったこともないわ。」
「そうか。すまんな。不躾な質問して。」
「いいわよ。」
「魔法、使えるのか?」
「えぇ、少しだけね。下段初級魔法だけよ。ママに教えてもらったのよ。」
魔法には火、水、風、土、闇、光の六つの属性がある。全ての属性に下段、中段、上段の三つの段があり、その段が初級、中級、上級、の三つに分けられている。一般的には中段初級まで覚えることができれば
優秀とされ、上段の魔法を使えるとなれば国の抱える大魔導師クラスである。
「俺も火魔法の才能はあるんだがなぁ。」
「才能があるのに使えないの?」
「いや、魔法に憧れて火起こしとか、料理の火の番とか、とにかく火に関係したことをしまくったら獲得した。」
「無茶苦茶ね…」
「それはともかく、なんか色々気になる才能があるんだが?」
「歌唱とか?」
「そうそう。歌唱、踊る、隠れるの三つだな。」
「歌唱と踊るは、純粋に私が好きだからね。隠れるは、確か、その頃かくれんぼにはまっていたからだと思うわ。それで、アルトは?」
「あぁ、俺のか?これだ。」
今度はアルトがボムッと才能の書を出した。
「へー、剣術持ってるんだ。しかも結構高いし。それに、レベルももう上がってるのね。」
「ゴブリンをな。こう、ザクッといった。」
「ふーん。どうだった?初めて倒した時。やっぱり殺したことに抵抗とかあった?」
「やめろよお前。あえて考えないようにしてたのに。」
えらくあっさりしていると思えば、そういうことだったようだ。
「そうなの?ごめんね?」
「いや、お前もすぐわかるさ。」
「何が?」
「ほら、噂をすれば。」
二人の目の前の草むらがカサカサと揺れている。
「も、もしかして…」
「あぁ。」
そこからツノの生えた兎が飛び出してきた。
「ピギィッ!」
「モンスターだ。」
「えぇっ、ちょっとアルトっ!早く倒してっ!早くっ!食べられちゃうわっ!」
兎に食べられる人間。死に戻りでもするのだろうか?
「ズローラビットだな。スライムやゴブリンに並ぶ最弱モンスターのうちの一匹だ。」
「呑気に解説してる場合じゃないでしょっ⁈」
「なぁ、マールィ。」
「なにっ!」
「こいつ、倒してみろよ。」
「・・・は?」
「いけるって。いけるいける。ていうかここでいかずにどこでいくってぐらいいける。いついくの?今でしょ!」
「えぇぇっ!無理よっ!」
「無理じゃねぇって。ほら、作戦はガンガンいこうぜ、だ!」
「だ!じゃないわよっ!この鬼畜っ、人でなしっ!」
「泥棒に人でなしとは言われたくないな。」
ブーメラン刺さってますよ?
「うぅ、でも。」
「この兎をお前が倒せば。」
「たおせば?」
「俺のリンゴをわけてやr…」
「ウゥィンドォッ、カァッタァァッッ‼︎」
「ピギャァァァー」
"魔力操作"によって、完璧にコントロールされたマールィの渾身の魔法は、ズローラビットは喉笛を寸分違わず掻き切り、絶命させた。
・・・非常に動機が不純である。
「うぅ、ついにやってしまったのね。」
「あぁ、レベルはどうだ?」
「まだ上がらないみたいね。」
「そうか。まぁ、ぼちぼちだな。」
「そうね。で、この兎はどうするの?」
「・・・食うか?」
「おいしいの?」
「美味いらしい。」
「らしい?」
「村長の地図に書いてあった。」
「なにそれ。」
「村長がくれた地図なんだが、いろいろ書いてあるんだよ。」
「へぇ。」
「で、食うか?」
「いただきましょうよ。」
「だな。焼いて食うか。」
「そうね。」
二人は枯れ枝を集め火を起こし、血抜きをしてから手頃な枝を近くの川で洗い、それに突き刺して豪快に焼いて食べた。食後、約束のリンゴを得てマールィは非常に満足した様子であった。
その後、二人が街道を進んでいくと、空はオレンジ色に染まり、あたりも暗くなってきたころに広場のような場所に出た。
「アルト、ここは?」
「ここは野宿のための空き地だ。ここには小さいホーリーアミュレットが埋まっていて、この広場の中にはモンスターが入ってこないんだ。」
「へぇ、すごいわね。」
「アルビア国王様様だな。さてと、俺は枝を集めてくるから、水、汲んできてくれ。」
「わかったわ。」
二人は手早く野宿の用意を済ませると、食事を済ませ、一日の疲れからかすぐに眠りに落ちた。
翌朝。
朝食を食べたアルトとマールィはトリータへ向け出発した。
モンスターとの戦闘もなく、談笑しながら歩いていくと、ついに街が見えてきた。