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才能の書〜溢れる才能と林檎〜  作者: slime
首都への旅
5/19

隣街サセドニ

 首都への道を進むとはいっても、ヴァリーキに着くまでにはいくつかの街を経由しなければならない。なにせアルトの住んでいた村は辺境に位置するため、大分遠い。

 日は傾きかけており、空は黄昏に染まりつつあった。

「そろそろ見えてくるはずなんだが…おっ、あれだな。」

 アルトはついに旅の初日の目的地、サセドニに到着した。

「おぉっ、うちの村とは違って門番がいるのか。」

「すまんが、身分証を提示していただきたい。」

「了解です。えぇっと、…これですね。」

「・・・確認した。ようこそサセドニへ。」

「ありがとうございます。」


 サセドニの名産はなんといってもリンゴ。アーロンもここから仕入れておるようじゃな。

  ーーーー村長の注意書きより


 アルトは、村唯一の宿、林檎亭へと訪れた。

「すいません。」

「はいはーい。」

 奥から一人の少女が出てきた。

「お泊まりですか?お食事ですか?それともお土産ですか?」

「今日の夕食と、明日の朝食付きで泊まりたいんですが。」

「一名様でよろしいですか?」

「はい。一人です。」

「一泊400G、一食60Gで、520Gになります。」

 少女は看板娘のようだ。ちなみに、アルトは現在、旅の資金として15000G持っている。

「はい、あと、夕食はいつからになりますか?」

「丁度お預かりします。えっと、今からでもご提供できますよ?」

「じゃあ、お願いします。」

「承知しましたー。お父さーん、お母さーん、夕食ー。あっ、ご案内しますね。あと、私、エリンっていいます。」

「ありがとうございます。エリンさん。俺はアルトといいます。」

「敬語なんてやめてください。多分私の方が年下ですし。」

「そうか?じゃあそうしようかな。」

 歓談しながらエリンの後ろをついていき、食堂と思しき部屋につくと、一人の女性が出迎えた。

「ご利用ありがとうございます。」

「えっと、エリンの…」

「母でございます。うちのエリンが失礼を働いておりませんか?」

「とんでもない。」

「そうだよお母さん。」

「そうですか?それは良かった。エリンは調子に乗らないの。あぁ、お客さん、お席ご案内しますね。」

「こっちです、アルトさん。」

 アルトは促されるまま席につき、食事を食べた。食後にデザートとして出されたアップルパイをアルトはいたく気に入った。その後、アルトは部屋へと戻り、一日の疲れを癒すため、早めに眠った。


 翌日。

 朝食を済ませたアルトは、次の街へと出発することにした。

「ご利用ありがとうございました。」

「また来てくださいね、アルトさん。」

「ここのアップルパイは絶品だったからな。また、必ず泊まりに来るよ。」

 アルトはエリンと再会の約束をし、宿を後にした。

「いい宿だったなぁ。最初の宿からこれとは、幸先がいいな。そうだ。リンゴを何個か買っていこうかな。名産って地図にも書いてあったし。」

 アルトは街の八百屋へと向かった。

「すいません。リンゴをいただきたいんですが。」

 アーロンの店のように盗むような狼藉は働かないようだ。

「あぁ、それなんだけどねぇ。あるにはあるんだけど。」

「どうかしたんですか?」

「いやね、うちはいつもリンゴの樹園から収穫してるんだけど、最近なっているリンゴを盗んでいく輩がいてねぇ。手を焼いてるんだよ。」

「なんだって。リンゴを盗むだなんて!許せませんね。」

 ・・・どの口が言うのだろう。

「だろう?どうしたものかねぇ。」

「任せてください、俺が必ずその泥棒を捕まえてみせます!」

「いいのかい。助かるよ。もし見つけてくれたら、そうだね、20個タダでリンゴをあげるし、これからあんたには半額で売ったげるよ。」

「絶っっ対に!見つけてみせますっ!案内してください!」

 アルトはリンゴのため…もとい、リンゴ泥棒を捕まえるためにリンゴの樹園への案内を頼んだ。


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