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才能の書〜溢れる才能と林檎〜  作者: slime
首都での生活
12/19

とりあえず初依頼

 冒険者として登録した翌朝、三人は組合本部へ来ていた。

「よし、とりあえずダンジョンに入れるようになるBランク目指して今日からどんどん依頼を受けていこう。金もねぇし。」


 掲示板にはアラビア王国全土からの依頼がどんどん書き込まれていく。国内の街や村に設置された依頼用掲示板に依頼を書き込むと、ヴァリーキの掲示板に書いた内容が出現するというわけだ。


「どの依頼を受けてもいいけど、失敗して怪我をしても自己責任。罰金も発生するみたいね。身の丈にあった依頼を受けるべきだわ。」

「一応おすすめランクは書いてあるしね。あ、これなんてどう?」

 ノエルはオーク討伐の依頼を指差した。

「Fランク向けの依頼だけど、一回倒したこともあるし、報酬も一体800Gで高めだよ。十体倒せば一回依頼を達成したことになるみたい。」

「ゴブリンなんて一体50Gだからな。三十体以上倒してやっと宿代に届く。しかも百体倒してようやく依頼達成一回分って…」

「とにかく、オーク討伐、受けてみましょうよ。討伐証明部位は…右耳ね。」

「了解。じゃ、行くか。」

「依頼ってどうやって受けるのかな。」

「ゴブリンとかオークみたいに年がら年中依頼されてるのは特に必要ないらしい。誰かが出した依頼を受ける時はその依頼に冒険者カードを近づけるとカードに表示されるそうだ。」

「なんでアルトがそんなに詳しいの?」

「掲示板の下の床に書いてあるぞ?」

「えぇ…見ないよそんなとこ……うわっ本当だ。床に赤色で書いてある。」

「これぞまさしく灯台下暗しってやつね!」

「ほら、とっとと行くぞ。ノエルのばあちゃんのおかげで大分節約できたが金に余裕が無いのは変わらないからな。くそっ、なんでこんなに都会ってあれもこれも高いんだよっ!リンゴ一個40Gとかふざけてんのかよ。」

 1Gは大体5円くらいである。

 

 アルトたちは夢と現実、両方のためにオーク討伐をしに森へやってきた。

「今回も前みたいにリンチ作戦でいきましょう。」

「ちょっと可哀想だったよね。あのオーク。」

「ブヒブヒ鳴いててキモかったけどな。」

 喋りながら歩いていると前に四匹のゴブリンを見つけた。

「どうする?アルト。一応倒しとく?」

「・・・200Gっ、ゲットだぜ!」

 ピッピカチュウッ!


「ゲギャギャ、グゲ、ギギャッギャ。」

「今日はいい天気だなぁ。」


「ゲギッ、グゲゲゲゲッ。」

「何言ってんだよ。今日は曇りだぜ?」


「ギギャッ、ゲギギッ、ギギッ。」

「俺たち日陰者(モンスター)には曇りくらいが丁度いいってことだろ?」


「ギーギギギッ、ギギッ、ギゲッ。」

「そりゃそうだ。ハハハハハッ。」


「ハハハハハッ、じゃないよっ!どうして今から殺そうとしている相手(モンスター)にアフレコしてるのさっ!しかもそのちょっと上手いこと言っただろって感じの顔がムカつくっ!」

「プラチナ?」

「やかましいわっ!」

「ゲギャ?ギギャ!ゲギギッ、ギッ!」

 アルトたちを見つけたゴブリンたちは一直線に並び、さながらジェットストリームアタックのように突っ込んできた。

「あっ、ほらー。見つかっちゃったじゃないか。」

「えぇっ?私のせいなの?」

「ちょっと、もう倒しちゃうわよ?」

「あぁ、一思いにやってくれ。」

 一思いに殺られるのはあくまでゴブリンである。

「ウィンドカッターッ!」

 魔力が大きく上がり、もはやカッターというより大太刀のようなマールィの魔法(ウィンドカッター)は、四匹のゴブリンの首を瞬く間に刈り取り、断末魔さえ上げることを許さなかった。


「やっぱすごいな。魔法は。見ろよ、奥の木もちょっと傷いってるぜ?」

「うわぁ、本当ね。生き物の肉を四連続で断った後、奥の木にまで…」

「ねぇ、褒めてるのよね?」


「ブオオオー!」

「あら、さっきの騒ぎを聞きつけて800Gが寄ってきたわ。」

 その呼び方はやめぃ。

「リンチ作戦はめんどくさいから今度にしよう。このオークは俺が殺る。」

 アルトは剣をスラリと抜くと、上段に構えた。

「いけるの?アルト。」

「多分。きっと。」

「え、何今の。すごく不安なんだけど。」

「先手必勝っ!」

 アルトはオークの方へ飛び込むとそのまま袈裟がけに斬り捨てんとした。

「ブオオッ、ブヒィッ!」

 オークはそれを避けるとお返しとばかりにアルトに向かって右の拳を振り上げた。それを避けるため、アルトは大きく後ろに下がった。

「おぉっと、さすがオーク。強いな。」

「加勢しようかー?」

「いや、大丈夫だ。」

 アルトは片手を剣の腹に軽く当て、突きの姿勢を作るとともに叫んだ。

『燃えろっ!』

 アルトが叫ぶとともに剣先から火の玉がオークめがけて飛び出した。

「ブヒ?ブオオッ。」

 思いがけぬ攻撃ではあったものの、大した威力ではなかったらしく、オークはその先にいるはずのアルトを見ようとした。しかし、そこにはアルトの姿はない。

「ブオ?ブオッ!」

 そして異変にオークが気づいた時には時すでに遅く、胸をアルトが貫いた後であった。


「よっしゃ!オーク単騎撃破っ!」

 このアルトの勝利を皮切りにアルトたちは次々とオークやゴブリンを狩っていき、あっという間にオークの右耳を十個手に入れた。

「じゃあ、そろそろ帰るか。もう十分だろ。」

「結構狩ったもんねー。もうお昼の時間だし、丁度いいんじゃない?」


 三人は組合本部へ戻り、受付嬢に耳を渡しにいった。

「はい。オーク十体、ゴブリン二十三体の討伐を確認しました。ご苦労様でした。報酬の9150Gになります。」

「ありがとうございます。」

「やったぁ!こんなにたくさん、すごいわ!」

「そうだね。9000Gだなんて、幸先いいね。」

「でも、防具とかも整えないといけないし、まだまだ足りないな。」

「じゃあもっと頑張りましょう!」

「そうだな。だが、その前に飯だな。腹が減っては戦はできぬって言うしな。」


 依頼を初めて達成した三人はニコニコと頬を緩めて昼食を食べに街へと出掛けた。


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アルト、マールィ、ノエル

Gランク 0/10⇒1/10

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