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片思いの冒険者

作者: SIDEPILLOW

恋すると、人は最強になれる。

恋、それはとても素敵な言葉だ。

恋をしていると毎日が楽しくなる。

好きなあの子と仲良くなりたいと思い。きっと彼女は純情なんだろうなと甘いを幻想を抱く。

仲のいい男を見ると嫉妬し、己の研鑽を絶えず励める。

恋とは素晴らしい思いだ。

そして、今、俺は恋をしている。

故郷を離れ、冒険者となって三年、俺は先日、冒険者ギルドで一目惚れした。

清純そうな長い金髪と青い瞳の美しい少女に。

初めて見たのに、頭に雷が落ちた気がした。紛れもなくこれは恋だと思った。

仲良くなりてぇなぁーと思うも嫌われたくないと思うと、勇気が出せず話しかけられない。

ため息が出るばかりである。

気を紛らわすために不器用ながら、占いに嵌ってしまった。

はぁー


最近バルドの、様子がおかしい。急に占いに凝り始め、迷宮で敵を見つけると、まるで親の仇のように攻撃を繰り出す。

おかげで迷宮の攻略速度が速くなり、稼ぎも良くなったのはいいが、どうも不気味だ。

「おい、ラッセル今日の夜は空いてるか?」

「おうよ、イースレイ、暇ではないがオメェの金でなら飲んでもいいぜ。」

「わかった。アルバートは?」

「・・・・・・暇だ」

「なら、夕方の鐘がなったところでいつもの場所に、集合だ。」

今日こそ、語ってもらうぞバルト、首を洗って待ってろ。


急にイースレイに連れ出された。

宿屋で何回もタロットカードをやっているのは体に悪いと言われた。

確かに自分自身のことを占うのは占い師としてご法度とどこかで聞いたことがあるので素直にイースレイについて行った。

いつもの酒場の扉をくぐり席に着くと、イースレイの他に、ラッセルと、アルバートがいた。

いつものパーティのメンバーだ。仕事の話でもするのか?

「諸君、ここに集まってもらったのには訳がある。」

イースレイがそう言うことはやはり、仕事の話か

「バルトのことだ。」

え、俺?????

ラッセルとアルバートは確かにとうなづいている。

「俺はいつも通りだよ。何かおかしなことしたか?」

俺がそう反論すると三人が「え?」と声をあげた。

「ため息をつく回数が多くなった。」

まぁ確かに多いかもしれない

「似合わないのに占いを始めた。」

似合わない?!いや、自分のことを占うんだからなぁ

「心ここにあらずという状態によくなる。」

それはあの子のこと思えばそうなるさ

「「「いったい何を隠している?」」」

恥ずかしい、恋をしているなんて仲間には言えない。恥ずかしすぎる。

「じつは、、、、」


次の瞬間酒場は爆笑に包まれた。


「死ぬー笑い死ねるギャハハ」

「強面のくせして、童貞みたいに片思いしてウケる!!!!ぶふふふ」

「フッ」ニヤリ


「テメェーらいい加減にしやがれ!!

キレるぞゴラァ」

「悪りぃ悪りぃ」

「そんでお相手はどんなやつなんだ?」

「コクコク」


それから俺は一部始終を三人に語った。

「長い金髪で青い瞳の美しい少女ねぇ」

女好きで有名なラッセルはそんなやついたか?とつぶやきながら考え込んでいた。

「俺も心当たりがないな」

この中で一番モテるイースレイも情報は持っていなかった。

「・・・・・確かにない」

無口系でおねぇ様に、人気を誇るアルバートも知らなかった。

「それって、アースさんのことじゃない?」

いきなり給仕のおねぇさんが話に割り込んできた。

「盗み聞きとは節操ないな、ねぇちゃん」

ラッセルがそう言うとお兄さんたちかっこいいからついとテヘヘへと言い訳をする。

世の男はきっとこんなフレンドリーな可愛い女の子にそう言われたら許してしまうのだろうと俺は思った。

空気がしょうがないなという方向になり、俺たちはおねぇさんに追加のオーダーを頼み、アースさんとやらの情報を得た。

女だけで組まれた冒険者パーティ紅の薔薇のヒーラー職とわかった。

この情報を得るために俺たちの財布は空になり、おねぇさんはホクホクの笑顔だった。俺たちはトホホホだったのは言うまでもない。


翌日、紅の薔薇の情報を得るために冒険者ギルドに行った。


「え、紅の風?二日前、拠点を移動したらしいよ」


なにいいいー


それから俺たちは紅の薔薇を追い、冒険に出た。

ちなみに世間ではこの行為をストーカーと呼ぶ。

別に片思い相手のパンツを被ってゲヘヘと妄想しているわけではないし、一分一秒と、相手の行動を、監視しているわけではない。

これは純粋な、お慕い行為であって、世間でストーカーと叫ばれても、俺たちはお慕いだぁ!と反論できる!!

と論じたら気持ち悪いとバカにされて笑われた。解せぬ。


街から街へと紅の薔薇を探し求め、俺はついに紅の薔薇のアースさんと出会った。


「あの、」

俺はアースさんに声をかける。

「紅の薔薇のアースさんですか?」

「ええ、そうですが」

「お慕いしております。」

俺はストレートに自分の想いをことばにあらわす。


「ごめんなさい、私、男なので、女の子が好きです。」


「え」


1人の片思いをした冒険者は砂となり崩れた。



そして、彼は黒歴史を作った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 衝撃のラスト!! いいですね。
2017/05/11 22:08 退会済み
管理
[良い点] 出てくるキャラクター達が魅力的で、そのかけあいを見ているのが大変面白い作品でした。 こんなに短い話なのにキャラクターがしっかりと立っていて、すごいと思います。 さぞかし手間をかけられた…
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