発明家
ある発明家がいた。
たくさんの効率的かつ量産可能なモノを発明してきた。
天才がゆえに凡人の理解域を超えた思考を持っていた。
ある研究を始めてからの彼は、精神の病気にかかっていた。
それは機械人間製造計画。
人間に機械のパーツを埋め込むというもの。
彼の研究は成功すれば革命だった。
腕のない者は、義肢をつければ物をつかめる。
目の見えない者は、義眼を埋め込めば愛する相手の顔が見れる。
研究は順調だった。
人の身体と共に成長できるように、生身と溶け合うことの出来る機械細胞も造った。
後は人体実験だけであった。
精神の平常を欠いていた彼は、自分の息子を実験に使った。
息子の右腕から始めた。実験は成功。
更に右脚も成功。
人の限界を超えた超人的な馬力、スピードを身につけた。
しかし両目を機械に変える手術から目が覚めた息子は、暴走した。
神経のつなぎをする行程で、父の失敗があったのだ。
息子は発狂し、己を見失い暴れた。
被害は甚大だった。
死者も出た。
破壊が終わった後には崩壊した街があった。
発明家は政府に捕まった。
その息子は自分のした事を受け止めきれず、途方に暮れた。
発明家の弟子は工具を捨てた。
サイボーグ人間と化した少年の幼なじみは、ある決断をした。