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ラスティ・メモリーズ  作者: サニー
6/10

酒場にて


「久しぶりだなあ。おっ、あの娘かわいいー」


出店に並ぶ品々。


「……はあ。」


溢れる人、人、人。



2人が歩いているのは、ウィンビルドのNo.13、ヘブンズグレーンの街道。街はぐるっと国を1周する形だ。


ウィンビルドは、他の国にくらべ、縦に大きい国である。

最下層に近づく程、街の円周は長くなり、国の形を三角錐へと形成する。

No.13程の街は、だいたい2日かけなければ1周できない。


活気に溢れる酒場や遊び場や店が多いヘブンズグレーンは、昼間のうちから人で賑わっていた。



「おおーい」


道を歩く2人に、男の声がかかった。


「バリー!」

「おう!スパーズにマオルヴルフ!久しいな」


2人に声をかけたのは、巨大な男だった。

40代後半にもかかわらず、鍛え上げられた大きな体躯に重力を無視したちりちりの黒髪は、10m離れた人混みでも目立っていた。


「ちょっと待て、あそこの酒場に入ろうぜ」





「マオルヴルフ!お前痩せたんじゃないか?」

「…………」

「ちゃんと食ってるか?」


酒場で席を見つけた3人は近況報告から始めようとしたが、懐から薄汚い小箱を取り出し、夢中になっているマオルヴルフには、バリーの声は届かない。


バリーは、2人が小さな頃からの知り合いである。

バリーも腕の立つ機械技師だった。しかし、ある事件をきっかけにバリーは工具箱を捨てた。

それからは、バリーの恵まれた体格を生かし、【王の矛】ランサーへと入団した。



「バリー、肩のその傷はどうしたんだ?」

「ん?ああ。これは5年前にやったやつでさ。アイザンにやられたんだ」


バリーの肩には30cm程もある傷があった。


「やられただけじゃないぜ!もちろん相手を打ち壊してやったんだ。……でもな」


声をひそめてバリーは言った。


「そいつ、蘇りやがってよ。リレイズしたんだ。もっかい叩き壊したら死んだがな」

「?アイザンがリレイズ?」

「ああ。機械のアイザンがな。ありえないだろう。上級の魔術師が扱う蘇生呪文だぞ」


いつの間にかマオルヴルフはじっとバリーの話を聞いていた。


「……バリー、その骸調べてみた?」

「もちろん調べたよ。マオルヴルフ。そいつにはな、蘇生呪文の回路が組み込まれていたんだ」

「どういう事だよ……そんなのがいるのか……?」


スパーズはゲンナリとした表情で言った。

対してマオルヴルフは興味を持ったらしく、キラキラとした顔でバリーに話を促した。


「……で、こっからがミソでよ、どうやら人間の仕業らしいんだ。ありえない回路の構成だし、明らかに手が加わっていた」

「そういう事になるな」

「へぇー!すっごい!!」


マオルヴルフ1人興奮していた。





3人がいるのはとある酒場。



筋肉隆々のバリーに、ランサーの制服を着ているスパーズ。

女の子を振り向かせずにはいられない面々だが、1人場違いなマオルヴルフが、人々をテーブルから遠ざけていた。

女の子が大好きなのにスパーズはどこか抜けていたから、そんな事には気づかなかった。


酒場の1番奥の席で、怪しげな男が3人を見つめていることにも。




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