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18. 氷結の杖とパーティーボーナス

 私はさっそく「古い氷結の杖」を装備して、アイスブリーズをプリンにぶつけてみる。

 名前の通り、冷たい風がプリンを包み、短時間だが、動きが止まる。

 どうやら「状態異常:氷結」が発動して、その間は物理攻撃が普段より有効のようだ。

 短時間でやっつけることができた。

 MP消費量は、マジックボールより多いことが分かった。

 威力は良く分からない。たぶんそれなりに強いだろう。

 敵ごとに適性の属性があるらしい。プリンは火魔法を使ってくるから反対の氷に弱そうだ。


 いつものように、ウサギの毛皮を雑貨屋で売り払い、村長の家にお邪魔する。


 せっかくなので今日はウサギ肉を干肉(醤油)に加工する。

 醤油は雑貨屋で売っていない。確認済み。たぶん、食べ物扱いなのだろう。

 塩胡椒、村長に分けてもらった醤油を付けてなじんだら、火で炙って乾燥させる。

 試食用にばらして食べてみる。

 日本人好みのビーフジャーキーみたいな感じになった。私はこれが一番好きかな。


「うひょー。ハムっぽさがなくておいしいよ~」

「醤油もいいですわね」


 2人にも好評のようだ。

 試食用の残りは、明日露店で出してもらおう。


「ところで村長さん。他の人には料理と調薬は教えないのですか?」

「うむ、教えてもいいのじゃが、そもそも教えてほしいと言ってくる者は少ないのじゃ。それに名乗らない不届き者には、面倒だから断っておるわい。高圧的な態度の者もおる。困ったものじゃ」

「はい、同業者として、すみません。代わりに謝っておきます」


「なに、お嬢さんたちは気にせんでよい。そういえば言い忘れていたが、パーティー名を決めたようじゃな。名前はその者の本質を表す大切なものじゃ。名前を付けて、長く経過すると、ボーナスの加護が付くと言われておる。野良パーティーより固定パーティーの方が優遇されるということじゃ。たまにゲストを増やす程度は問題ないぞ。覚えておくといい」

「情報ありがとうございます」


 さらっと有用情報を流してくる村長。さすが村長。これからもよろしく。


 宿屋で毎晩同じメニューのそこそこの味のスープと固いパンを食べる。

 そして、夜部屋に戻って、2人はペンダントづくり、私は情報収集だ。


 案の定「氷結の杖」の情報はまだ掲載されていなかった。

 プリンが武器を落とす情報は、掲載されていた。

 もっとも「初期武器より補正の悪いハズレ装備。開始早々、職種を転向する人向けや、雑貨屋で売れるので、出ないよりはマシだが、レアを狙うほどではない」と評価されていた。


 新スキルを覚えられると書き込んだら、プリン狩りが発生するだろうか。



 7日目の朝。私たちは朝ご飯を頂く。

 今日の朝ご飯は、ウサギ肉のサンドイッチだった。


「すみません。これ、お昼のお弁当用に購入できませんか?」

「あいよ、今朝は余ってるから、欲しければ50セシルで提供するよ」


 塩胡椒で焼いたウサギ肉とレタスのような葉っぱを、薄く切った固焼きパンで挟んである。

 ぶっちゃけると、いつもの夜ご飯よりおいしいと思う。

 4人分200セシルを払い、お昼として持っていく。

 どうして4人分かって? それは、クルミが2人分食べると主張したからだ。


 今日も露店を出してもらうために、雑貨屋に寄りトラニー君を借りる。

 今日の販売品は以下の通り。


 ・星形の木工ペンダント   5,000セシル x3

 ・ウサギ絵の木のペンダント 4,000セシル x4

 ・ウサギの干肉(塩胡椒)    150セシル x10

 ・ウサギの干肉(塩ハーブ)   150セシル x10

 ・ウサギの干肉(醤油)     150セシル x20

 ・ツグミの実         100セシル x30


 ツグミの実が残っていたのを忘れていたので、少し残して売りに出す。

 一粒100セシルだから高いと思う。売れなくてもいい。おまけだね。


 トラニー君も、魔法のアイテム袋に全部収納して持っていった。

 だいたいのNPCもアイテム袋を持っていて、便利に使っているようだ。

 しかし、収納したからといって、時間経過がないわけではないので、鮮度が落ちるものもある。


 今日も村長の所へ寄ろう。


「村長さん、今日はご用はないですか?」

「そうじゃの、特にクエストにはならんのじゃが、冒険者のために薬草を採取してポーションを作ってほしいのじゃ。薬草の群生地はわしが教えておくぞ」

「わかりました」

「露店ゴザは持っているかな? できたポーションは自分たちで露店で販売するといい」


 ホログラムのマップ画面に印が付いた。

 村長、最初の時は教えてくれなかったじゃないですか! とは言えない。

 まだそこまで私たちを信用していなかったのだろう。


 今日はまた、森へ行くことが決定した。


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