第18話 また対談とちょっとした決断
週一のペースを守れたぞー!!やったー!
クレインとリュウは執務室で座っている。クレインの持ってきた酒を飲んでいるようだ。
「君には二つ、大事な話がある」
「それは?」
「一つ目は君のことを本部に伝えなければならないことだ」
「まあ、予想はしていましたけどね」
「うむ。ゴブリンの大量発生についてはもう本部に伝達を回してしまった。それが君によって解決された。このことは嘘をつかず、報告しなければならないからな。君についての詳しいことは報告しないつもりだがな」
と、肩を竦め、クレインは笑った。
「クレインさんだってギルドマスターとしての立場があるんだ。俺自身も無理はいいませんよ」
「そして二つ目。今回の件で君のランクは大幅にアップするだろう」
「やっぱりそうなってしまいますよね」
「ああ。どれだけ小さく見積もっても、おそらくB級には上がるだろうな」
「そんなにですか」
「B級の魔物であるキングゴブリンを倒したのだからな。そうなっても仕方がない」
「前例とかはあるのですか」
「これまでに三度ほどあったらしいが、君みたいにEからBに一気に上がったことはない。しかもBに上がるのは最低でもといった私の予想ではあるがね」
「へー」
「君は妙に落ち着いておるな。昨日までは目立ちたくないと言っていたのに」
「もういいんですよ。目立ちたくないと言ってももう目立ってますし、それならもうとことん目立ってやろうかと」
「はっはっは。それはいい。面白くなりそうだ」
「やっぱりこの際フードもとってしまおうかな」
「先ほどとは全く言っていることが違うじゃないか」
「もう吹っ切れましたね。しかも今回は悪魔族と疑われてしまいましたし。いちいち否定するのも面倒で。そればかりは避けたいんでね」
と言い、リュウはフードを取る。
「やはり君の顔は美しいよ。男から言われるのは嫌だろうがな。はっはっは。これから大変になるぞ~。リュウ君よ」
「承知の上ですね。あと神獣たちも、もう公にしちゃいましょう。レオ、ヴル出てこい」
虚空からレオとヴルの二体が出てくる。
「おお。素晴らしい。これまで神獣を見かけたことはあるが、こんなにまじかに」
『主よ。何かお呼びで』
『ん?顔は隠さなくてもいいのですかな』
「ああ。もうレオ達も外に居れ」
『承知』
『我は主の無限空間の方がいいのですがな』
レオが少しごねる。
「そうも言うな。俺自身が吹っ切れた結果だ。レオ達も外の世界を知った方がいい。人間にも慣れてほしいしな」
『主の決めたことだ。我らもそれに従わなければな』
そう言いリュウの左右に座り込む。その姿は圧巻そのものだ。
「神獣を従えている者を見たのは初めてだ。しかもこれまでに従えておるとはな。君の強さは底が知れんよ」
「従えるというのはやめてください。そりゃこいつらとは従魔契約はしていますが、家族なんです」
「それはすまなかった。そうか。家族か。それならばここまで仲がいいのもうなずける」
「はい」
「よし。君との話は今日のところこれでおしまいだ。おそらくランクアップの伝達は二日後くらいだろう。ランクアップ試験もあると思うから準備をしておいてくれ。君なら楽々クリアするだろうがな」
「それでは」
リュウは執務室を出て、レオとヴルを従え、一階に降りた。冒険者たちはリュウの作った氷の球の冷たさに悶えている。リュウが二階から降りて来たら案の定、静まり返った。リュウは魔法を全て解いてやった。
「ほらよ。先ほど言った悪魔族ではないと言う証拠だ。これでいいんだろう」
誰も答えない。全員口を開け、ポカーンとしている。だんだんと顔を赤らめていく者もいる。
『おい。誰か答えないのか』
ヴルがそう言い放った瞬間、正気に戻ったらしく、ざわつき始めた。すると、リュウを殺すと先導していたものが出てきた。
「すっすまねぇ。しっしかもそれほどまでに格好がいいとは思わなんだ。許してくれ」
「ああ。許してやる。過ぎたことさ。俺自身も制裁を加えたんだ。気にしなくてもいい」
そういった瞬間
『はあ~ん。リュウさま~!』
女性冒険者と職員に囲まれた。中には腕を掴んでくる者もいる。
「はあ~ん。リュウ様。結婚して~」
「なによ!私とだわ!」
「なんですって~!私よ!わ・た・し」
「違うわよ。リュ~ウ君。私よね~」
「なに君付けしてんのよ!」
とまあ、こういった感じに小さな戦争が始まってしまった。リュウを襲った者もいるのだが、厚い掌返しだ。リュウはとても暑苦しそうにしている。
パチーンッ!
リュウが指を鳴らす。すると女性たちの動きが止まり、声が聞こえなくなった。魔法を使ったのだ。空間魔法である『固定』と『静音』。指を鳴らす意味はない。ただかっこつけたかっただけだ。
「俺は結婚する気はない。かといって勘違いはするなよ。俺は断じて男好きではない!ただ目的を達成できるまでそんな気は起こさないと誓いを立てた。分かってくれるな」
そう言い女性たちの魔法を解いた。皆うなずいている。
「よ~し。職員さん。俺の依頼の奴勘定してもらっていい?」
「あっ。はい。おっ重い」
「あ~。ごめんごめん。どこに運べばいい?」
「こちらに」
「よっと」
ギルド内にある大きなテーブルに運んだ。
「ありがとうございます。それでは、えーと、ゴブリンの耳が476個で71,400Zr。銀貨7枚、大銅貨1枚と銅貨4枚ですね。どうぞ。アーチャーゴブリン達の耳は計30個。皆同じ値段ですので、えーと30,000Zrですね。銀貨3枚です。キングゴブリンの耳は4個。40,000Zrです。計141,400Zrです。どうぞ」
「ああ。ありがとう。そうだ。こっちもお願いできるか?」
「魔石もドロップしたのですか。はい。できますよ」
「なら、よろしく」
「はい。ゴブリンの魔石、238個で、119,000Zrです。アーチャーゴブリン達の魔石は15個で150,000Zrです。キングゴブリンの魔石は200,000Zrです」
「へー。結構高くつくんだな」
「魔石をドロップする人は少ないんですよ。運のステータスはレベルが上がっても変わりませんからね。元から高ければなりませんので。超レアドロップ品が回ってくることなんてそうそうないんです」
「へー。そうなのか」
「そうなんです」
「これはこの後どうなるんだ?」
「基本は冒険者ギルドを通して商業ギルドに回されます。商業ギルドはこの街にはないのですが、商業者の方は全員登録されているんですよ。そこで市場に回されます。ギルドで引き取る額は基本市場価格となっております」
「冒険者も登録できるのか?」
「はい。できますよ」
そうか。なら目的が達成された後は店とか開いてみようかな。
「ありがとう」
「それでは、ギルドカードを提示してもらえますか」
「はい」
職員はカードを機械に差し込む。するとジーっと音が鳴りだした。
「はい。これで完全に依頼完了です。ギルドカードを返却します」
ギルドカードを見てみると
====================
リュウ タツキ:E級 16歳 男性
(パーティー: )
受注した依頼数:
成功した依頼数: 1回
失敗した依頼数:
====================
となっていた。
「この後はどうされるんです?まだ昼はまわっていませんけど」
「うん。そうだな。腹も減ったし、飯でも食いに行くことにするよ。おい!お前らも来るか?奢ってやるよ」
「気前いいぜ。リュウの旦那!もちろんついていきますぜ。なあみんな!」
『おう!』
リュウは冒険者達を引き連れ、豚の満腹亭に向かった。
「お父さんお父さん!いっぱい人が来たよ!!」
「なに!?本当だ!」
「・・リュウお兄ちゃんもいる」
「お~い。フォートさん。いっぱい客を連れてきたぜ。ほら皆も入った入った」
「リュウ。ちょっと待ってくれ。さすがにこの量は捌ききれないぞ。食材も足りなくなるかも」
「それなら大丈夫ですよ。お金もありますし、足りなくなったら俺が仕留めたやつを出しますよ。手伝いもしますし」
「お前料理もできるのか」
「まあね」
リュウの料理スキルのレベルはMAXだ。それは一流のシェフすらも、米粒に見える程度である。リュウはものすごいスピードで食材を切り、炒め、盛る。だが大雑把な処理はされていない。どれも繊細で口にした冒険者たちは光悦した顔をしている。ひと段落したところでリュウも飯を食べ始める。女性冒険者に囲まれながら質問攻めを受けている。その状況を見ながら、フェレスはムッとした表情をしている。ベンはというと、神獣の格好良さに見惚れしながら、神獣と一緒に遊んでいる。神獣も嫌な顔一つせずベンとフェレスの子守をしている。どちらも子供ではあるが神獣の方は面倒見がいいようだ。
食事会は夕方まで続いた。リュウは冒険者達と別れ、宿に戻ることにした。中にはついていくといった者や尾行してくる者もいた(全部女性)。それをやんわり断ったり、見破ったりしながら、誰にもついてこられずに宿に到着した。レオ達はインフィニティスペースに入れた。宿の中にいた従業員や一般客にびっくりされたのは言うまでもない。鍵を受け取り、自分の部屋に戻った。風呂に入り、寝床につく。
今日も一日大変だったな。
「やっべ!レシーのこと忘れてた!」
リュウは飛び起き、すぐにギルドの裏手に回った。そこには小さなすすり泣くような声を出しながらうずくまっているレシーがいた。リュウは少しどんな状況か気になり、隠れた。
「リュウさん。リュウさん~。まだでずが~。も゛う゛反省じまじだ~。づめだいよ~。全然溶けないー。がらだもいだい~」
物陰からリュウは出た。レシーと目が合った。魔法を解いてやるとリュウに抱きついた。
「や゛っどぎました~。ずみません。もうじません。ふえ~ん」
「ははは。すいません。こんな夜遅くまで縛っておくつもりはなかったんですが、忘れてしまって」
「わ゛ずれだ~?ひどいでずよ~。ばかばかばか!」
リュウの胸をポカポカ殴る。
「すいませんって。お詫びとしてこれ」
リュウはアイテムルームから超合金の腕輪を取り出した。
「なんでずか。これ」
「魔法の腕輪です。大きさも調整できますよ。念じれば何からでも守ってくれます。ほら、俺も付けてます」
「きれい」
「ほら、腕を出して」
リュウはレシーの腕をとり、腕輪をはめた。少し大きいサイズではあったが、次第にレシーの腕の太さに合っていった。
「すごい。いいんですか?もらちゃって」
「はい。大事にしてくださいね」
リュウはニコッと笑う。レシーは林檎のような赤い顔になった。
「あ・・ありがとう、ございます」
俯きながらそう言った。
「じゃあ、また明日」
「・・はい」
リュウは宿に着いて、すぐさま寝床につく。
おやすみなさい。
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