第14話 初めての街と登録
ふ~。無事着いたみたいだな。確か南に行けばいいんだよな。
リュウが転移されたのは街の近くの森の中である。森といってもちゃんと整備された道もあり、魔物があまり寄り付かないようになっている。リュウはすぐに道を歩き始めた。
魔物が全然見当たらないな。それほどこの辺りは安全なのか。一応ステータスを偽装しておくか。こんな化け物嫌だわな。フードもかぶっておくか。目立ちたくないし。
森を出た後後ろから馬車の音がした。貴族のような派手な馬車ではなく、質素で物がたくさん積まれている。おそらく商人か何かであろう。すると馬主が話しかけてきた。
「おやここいらでは見かけん顔だね」
「新たに旅を始めまして」
「ほう。ここらの村の者か」
「いやそういうわけでは」
「おや違うのかね。気になるねぇ。そのフードが怪しさを増している」
「はは。あまり目立ちたくないんで」
「ますます興味が湧いてくる。まあ初対面の奴に深入りするのも野暮ってもんだ。あんちゃん、この先の街にいくんか?」
「まぁ一応・・」
「そうか!なら乗ってけ」
「いやそんなわけには・・」
「なに若い奴が遠慮してんだ。年配のご厚意を受けんか」
「そこまで言うのなら乗っていきますよ」
「ほう。そうかそうか。俺はルボー商会のルボーだ」
「名前ぐらいは名乗っておきますよ。タツキリュウです」
「タツキって名前なのか」
「あぁ。そうか。リュウの方が名前です」
「へー。あんちゃんは何の目的で旅を?」
「それは言えません」
邪神が復活するなんて言ったら、パニックになるだろう。しかもそれを倒すだなんて、俺がこの人の立場だったら、頭おかしいと思われても不思議じゃない。
「あんちゃんはいろいろと秘密にしたがるなぁ」
「ただの放浪旅とでも思っていてください」
「俺だけに、ってのは無理か?あんちゃん。なっ」
「言いませんて。さっきあんた初対面の奴には深入りしないって」
「なはは!こんだけ話してもう、初対面って間柄でもねえだろ」
「それでも言いませんて。どうせ信じないでしょう」
「なんだよ~。乗せてやってるのに」
「あんたが無理に乗せたんでしょうが!俺自身降りてもいいんですよ」
「すまんすまん。俺自身一人で退屈してたんだ。そこでお前がいたから話しかけたってわけだ」
「今から行く街の名前ってなんですか?」
「あんちゃん、旅の者なのに自分が行く街の名前もわかんねえのか」
「ほんとに新しく旅を始めたばかりで」
「まぁいいか。街の名はトファースだ。」
「どんな街なんですか?」
「普通に良い街だぞ。治安もそれほど悪くない。一番初めに行く街の中ではいい方かもな」
「へー。そうなんですか」
「初めてってことはあんちゃん、まだどのギルドにも所属してないのか」
「あっ。はい」
「やっぱりそのなりだと冒険者か」
「そうなりますね」
「あんちゃん大丈夫なんか?」
「まあそれなりに強いと思いますよ」
いやそれなりどころじゃないんです。人類最強です。はい。
「なはは!そりゃいい。頑張れよ」
「ルボーさんはなんでトファースに?」
「俺は商人だからな。ここいらを拠点に物資を運んだり、売ったりしているんだが、次による街がトファースだった、それだけさ。おっ。街が見えてきたぞ」
そこからは5mほどの壁に囲まれた大きな街が見えてきた。門の部分だけ10mほどあり、警備兵がいる。門の目の前までやって来た。すると門番が話しかけてきた。
「ルボーさんじゃないか。いつも通り商売ですか。ん?そちらのは」
「こいつは道端で話し相手になってくれたリュウだ」
「身分証は持っているか」
「いえ、新しく旅を始めまして。この街でギルドに登録しようと」
「そういうことか。ではこちらに来てくれ」
「はい」
「リュウ。じゃあな。この街にいればまた会うことになると思うがな。その時はルボー商会をよろしくな」
俺はルボーさんとは別れ、俺とそれほど年の変わらない門番についていき、部屋へと連れてかれた。
「よし。この玉に手を置き、魔力を流してみてくれ」
俺は50cmほどの玉に魔力を流し込む。すると玉が白く光る。
「犯罪歴はないようだな。大銅貨2枚で仮の身分証だ。3日が有効期限だ。それまでにギルド証を作るように。そうしたらもう一度門に来てくれ。大銅貨を1枚返す」
「ああ。わかった」
「俺の名前はカーターだ。よろしくな」
「よろしく」
「よし。入っていいぞ」
「そうだ。冒険者ギルドってどこに行けばいい」
「ギルドは門をくぐってすぐに大通りがある。そこをまっすぐ行ったら大きな曲がり路があるから、そこを右に曲がったら看板があるからわかると思うぞ」
「ありがとう」
リュウは門をくぐった。そこは中世の西洋のような街並みで、ところどころに商店が立ち並んでいる。人通りも多く行きかう人々や商人の掛け声で賑わっている。リュウはその様子に少々驚きつつも言われたと通りの道を行く。すると竜と剣が描いてある大きな看板が見えてきた。その建物は大きな講堂のようになっており、その前には剣や弓などを持った男や女たちがいる。建物の横には厩舎のようなものがあり、馬や魔物がいる。おそらく従魔だろう。周りの男たちはフードの被った不思議な男を見つめたがすぐに興味をなくし、自分たちの話に花を咲かせた。中にはそのまま見つめているものもいた。リュウは気にせず建物の中に入っていき、受付らしきところに行った。そこには猫耳が生えているギルド内で統一された制服を着た獣人の女性がいた。
「受付のレシーです。依頼の受注ですか?新規登録ですか?」
おー。初獣人だ。しかも結構美人。おっといかんな。質問に答えなければ。
「新規登録です」
「そうですか。ならこちらの紙にお名前と性別、年齢をご記入ください」
「はい」
「・・・リュウさんですね。はい。それではこちらの道具に魔力を流してください」
レシーの横には大きなコピー機のようなものがある。
「何のために?」
「カードの偽装を防ぐためと個人を特定するためです」
「なるほど。では」
そう言いリュウは道具に魔力を流し込んだ。するとそこから少し大きめの白いスマートフォンのようなものが出てきた。
「はい。これでリュウさんはギルドの一員です」
ギルドカードにはこんなことが書いてある。
====================
リュウ タツキ:E級 16歳 男性
(パーティー: )
受注した依頼数:
成功した依頼数:
失敗した依頼数:
====================
なんだかな~。技術が進んでんのか進んでないのかわかんないな。
「それではギルドについてご説明しますね」
「あっ。お願いします」
「はい。まずはランクについてです。ランクはE~A級があり、その上にS級、X級とございます。現在S級の人は10人でX級は3人の方しかおりません。依頼をこなしていけばランクアップとなります。C級から上がる際にランクアップ試験がございます。ランクごとにお店や宿などで割引やサービスを受けられます。ランクについてはこんな感じです。なにか質問はありますか?」
「ランクアップ試験とはどのような形式ですか?」
「人によって変わりますが、上位ランク者との模擬戦と臨時パーティーでの依頼であったりと」
「A級以下の人数はわかりますか?」
「え~っと。たしか6千人ぐらいだったかしら。先輩!A級以下の人数って何人ぐらいでしたっけ」
「5827人よ」
「あっ。ありがとうございます。・・だそうです」
「はあ」
たしか全人族で10億人ぐらいだからそうやって考えると少ないほうか。だとするとS級とX級の人たちは相当な手練れなんだな。
「ほかになにか質問はありますか?」
「いえ。特には」
「では次は依頼についてです。依頼は自身のランクから一つずつ上と下のランクのものが受けられます。E級でしたら一つ上のD級までですね。パーティーを組んだ場合、パーティーメンバーの平均ランクの二つ上までの依頼が受けられます。そのかわり下のランクの依頼は受けれなくなります。依頼には期限があってその期限内に成功できなかった場合失敗となります。依頼の失敗は5回までで5回してしまった場合ランク引き下げ。E級の場合は依頼を1か月間一切受けられなくなります。依頼の重複は可能ですが期限があるのでそこのところはお気を付けてください」
「他になにか気をつけなければならないこととかありますか」
「そうですね。窃盗や殺人をした場合、罰金として大金貨2枚とギルド証剥奪、今後一切ギルド登録できなくなります」
「あっそうだ。従魔とかってどうすればいいですか?」
「リュウさんは従魔使いなのですね。それでしたら従魔登録していただきます」
「従魔使いではないですけど・・。従魔登録とはどのようなものですか」
「ギルドで従魔の種類をご記入後、一目でわかるように首輪や腕輪などをつけてもらいます。こちらへどうぞ。従魔はもうすでに厩舎に留めてあるのですね」
「いや、留めてないですよ」
「えっ?それではどこにいるのですか?」
「空間魔法ですよ」
「くっ空間魔法!?」
レシーの声がギルド内にこだまする。するとギルド内の全目線がリュウに向く。
えっ!?空間魔法って珍しい魔法なの。おいおいおいおい!神竜さんたちが普通に使ってたからそんな珍しいものとは思わなかったよ。しかも勉強のときも修行のときも空間魔法は珍しいなんて一言も言ってなかったぞ。目立ちたくないって言っときながらもう目立ってるんですけど。よかったー。フード被っておいて。顔バレしてないのが唯一の救いだよ。
良いことではないのだがリュウはそんな楽観的な考えをする。
「すっすいません。取り乱しました。それでは従魔を拝見してもよろしいですか」
「いいですよ。『無限空間』レオ、ヴル出てこい」
「ほっ本当に空間魔法だ。っひ!!」
ギルド内がざわめく。レシーの声のない悲鳴。それも当然のことだ。目の前に神獣の中でも強く美しいとされる神獅子と神狼が急に不思議な空間から出てくるのだから。
やっべえ。こいつらそう言えば神獣だったー!普通に仲間を紹介する感覚で出しちゃった。ざわざわしたギルド内と俺への視線がさらに強くなっているよ。
『主よ。何故それほどまでに慌てておるのだ』
『そのような風格は主には似合いませんぞ』
上からレオ、ヴルだ。そりゃ慌てますよ。
「新人さんよー!良いもんもってるじゃねーか!へっへっへ!」
はぁ。なんか悪そうな人が絡んできたよ。やっぱりこうなっちゃうよね~。
初めの街だからトファースです(ファースト)。
ルボーは目の前にボールがあったから。
カーターは目の前のペン立てにカッターが入っていたから。
レシーは机の上に丸まったレシートがあったから。
こんな感じで雑なもんで大丈夫なのでしょうか。これから先もこんな感じで名前を付けていくと思うので由来当てなんかも楽しんでください




