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ほこりっぽい
「ごほごほ!」
何これ。超ほこりっぽい。
ひどくない?
ナッツです。
大きな黒い手に、引きずり込まれて辿り着いた先は、ほこりまみれの汚い地下室でした。
掃除しろよ。
夜目がきくので、灯りがなくても見えるんだけど、おかしな道具がたくさん放置されてる。
でも、ほとんどほこりをかぶってる。
じめじめ湿っぽいこの気配は、間違いなく地下室。
物置にしてるのか?
私の足元にある魔法陣。
こいつもほこりかぶってた。
どういうつもりだ。
私の左手の手のひらには、さっきまではなかった五芒星がくっきりと刻まれている。
罠にはまって、がっちり使役された証です。
なのに、肝心のご主人様たる魔術師がいない。
いないし、なんかここ、「待ってました」感がない。
なにこの放置プレイ。
ひどくない?
初めての罠、初めての召喚におびえる可愛い小悪魔に対して、この扱い。
むかつく!
体は自由に動いた。
私は早速、地下室を出ることにした。
むかつきついでに、がらくたを蹴飛ばした。
おかしなブリキ人形が壊れ落ちたけど、知ったこっちゃない。