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「ペテン王国は初代勇者、ユージ・タナカによって建国されたと言われている!
名前の由来は彼の世界の言葉としか伝わっていないが命名時にこう言った会話があったと言い伝えられている!!
『力じゃなくて頭でも倒せるって事だ』
これにより初代勇者は魔王を頭突きで倒したと主張する学者もいる!!!」
「頭でもってそっちか?!」
絶対違うだろ。
名前から言って剣を使わずに頭を使って策略を巡らして魔王を倒したって所じゃないのか?
「まぁ、その場合聖剣の存在意義が無くなるので誰もその主張には賛成しないがな!」
「当たり前だ」
するやつはまずいないだろ。
「彼は近隣の小国を見事な手腕でまとめあげ合併しペテン王国と言う大国を造り上げるのに成功した!
建国時近くにあまり大きな国などが無かったのも関係しているだろう!!」
「へぇ、凄いな」
王国を造り上げる手腕とかどんだけだ。
現実味が湧かないが所詮夢なので気にしない。
「今では、当時ペテン王国と合併しなかった近隣諸国同士がそれぞれくっつきこの大陸はペテン王国の他にツジンシ王国、夜叉国、キンスキ王国の4つに分かれている!
ペテン王国は大陸一広い国土と軍事力を所属しており、代々の王は勇者の血族の中から選ばれている!!
お主を召喚したディデ・タナカは第354代目王だ!!!」
「さん………長いな」
どんな大国であろうと、永い時が経てばいずれどれも戦火で包まれ廃れていくる物だと歴史から伝わってくる。
長く強大な力を持っている者は次第に驕りを持つ物だと。
国は繁栄と衰退、そして建国と消失を繰り返すのだ。
それらを考えると普通ではあり得ない長さだ。
「途中で革命とか無かったのか?」
「そりゃああるさ!
この世界での革命は王宮広場に設けられた投票箱にある一定数以上の国民が王の退位を求める紙を入れる事を言う!!
そして、ペテン王国の法により革命を起こされた者は直ぐ様退位して処刑される事が決まっている!!!
それに対し、誰もそれを反故にしたりしないで守ってきたために今まで初代勇者の血筋を保ち続ける事ができたのだ!!!!」
「へー、そう言うシステム何だな」
俺の知っている革命とは違い、随分平和的だ。
だが、今聞いた話の中で一つ疑問が沸いた。
「なぁ、投票で決まるって言ったけどそれって一人が何通も入れて王を貶める事も可能じゃないのか?」
目障りな王を排除しようとする家臣とかが策略で王を貶めた、なんてのはよくある話だ。
「その点に関しては対策は万全だ!
投票箱には初代勇者がかけたと言われる強力な魔法が仕掛けられており、一人につき一人の王へ一度きりの投票しか出来ない様になっている!!
しかも、他人に無理矢理投票させようとしたり、投票を邪魔しようとした者には呪いが掛かる仕様だ!!!」
「その辺の対策は万全って事か。
初代勇者も考えてんだな」
まぁ、仮にも建国者だし当然っちゃあ当然か。
「そして、革命の他に初代勇者によって絶対に守る事と決められ、今まで続いてきた決まりがもう一つある!」
「一つだけなのか?」
「『民を見捨てるな』等の細々した決まりがは多々あるが、最も重要なものは革命ともう一つだけだ!」 「民を見捨てるなは重要だと思うが!?」
なんかカッコイイ台詞なのに魔王からしたら細々したものらしい。
「もう一つの決まり、それは『無知ならざる者』と呼ばれている!」
「無知ならざる者………」
知恵を獲ろって事か?