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「では、一息ついたところで本題に入るとしよう!」
そう言った魔王の手には巻かれた紙があった。
気が付くとティーセットはすでに片付けられ、代わりに本や巻物がテーブルの上には置かれている。
よほど考えに没頭していたらしい。
チラリと部屋を見渡すがメイドさんの姿は無い。
「これから話す事は一応国家機密でな!
メイドなら下がらせた!!
聞かれると殺さなければいけなくなるのでご容赦して欲しい!!!」
「あ、そうゆう感じなんだ」
なら仕方ない……か。
ああ、勿体無い事をした。
どうせ夢ならもっとちゃんと目の焼き付けておけば良かった。
「では始めよう!
その、お主が持っている聖剣だが、その名前を何と言うか知っているか?!」
「知らん、そもそもこれが聖剣だと言う事もさっき初めて知った」
「はっはっはっ!
面白い冗談だ!!」
「冗談じゃないんだが………」
あのおっさんは俺に何の事前説明も無くここに送り込みやがった。
俺の表情を見て本当だと分かったのか魔王は眉を潜める。
「もし、それが本当だとしたら大問題だぞ!
召喚した勇者には必ず事情を話してここに送り込むのが条約の一部に含まれているからな!!」
「……ちょっと待て、条約だと?」
「ああ!
お主を召喚してここに送り込んだペテン王国は我が魔国と長きに渡る友好国だ!!」
「………ちょっと待て、友好国、だと?」
「約5千年程のな!」
何だろう、頭痛がするような気がする。
「ふむ、どうやら勇者殿は本当に何も説明されていない様だな!
では、聖剣よりもまず我が国とペテン王国の歴史から説明しよう!!」
「ああ、お願いするよ」
嫌な予感がヒシヒシするが、聞かない訳にはいかないのだろう。