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5/15

 魔王が戻って来たのはそれからさらに15分位後だった。


 消えた時と同じ様に同じ場所に突如姿を現した。


 「ヌハハハハハ!

 待たせたな!!」


 一瞬、ラ○ール石井かと思った。


 「お主の情け、大変心の染み入った!

 先ほどまでの無礼、謝らせて貰う!!

 済まなかったな!!!」

 「あー、気にしないでくれ、過ぎた事だ」


 こいつの攻撃で死にかけたがな!


 さっきの魔王の顔で大体の溜飲は下がったからまあ、良しとする。

 それに、これって夢だしな!

 それを考えたら全てがどうでも良くなってくる。


 ちなみに、魔王は最初に見た様な体型と服装に戻っており、ダンディなおじさんが復活している。


 でも、喋り方は変わんないのな。

 残念だ。


 「それと、先ほどの約束どおりその聖剣について説明しよう!」

 「お、悪いな」


 それはありがたい。


 「なぁに、良いって事だ!

 では早速、我がの城に招待したいのだがうけてくれるかな?」

 「良いとも〜!」


 某サングラスをかけたおっさんが司会を務める番組風に返答をした瞬間、視界が変わった。


 そこは、シックな家具が置かれた少し薄暗い部屋だった。


 「さて、招待を受けてくれてありがとう!

 こちらの陣地に招き入れる時は客人が承諾してくれないとどうしても転移の術は発動してくれないからな!!」

 「へー、そうなんだ」


 転移って言うと魔法か。

 流石夢、何でもアリときた。

 てことは俺でも使えるかもしれない!?

 ちょっとワクワクしてきた!


 「では、資料を持ってこさせるので紅茶でも飲んでしばし待たれよ!」


 天井からぶら下がっている紐を引っ張るとチリンチリンと音がした。


 コンコン

 直後、ドアがノックされる。


 「入って良いぞ!」

 「失礼します」


 そう断って入ってきたのはメイドさんだった。


 メイドさんだ。

 大事な事だから3回言うぞ、メイドさんが入って来たんだ。


 黒を基調としたレースの入ったエプロンの純白さが栄える足首近くまでの長さがあるエプロンドレス姿だ。

 頭にはちゃんとヘッドドレスが乗っている。


 メイド喫茶やコスプレで着られるような丈の短い、目の保養になるタイプではなく正真正銘、正当なメイド服のメイドさんである上に、目のぱっちりしたすっごい可愛い、俺の好みど真ん中な女の子だった。


 うわぁ、うわぁっと心の中で感動の声をあげる。

 そんな俺にはメイドさんは目もくれず真っ直ぐ主である魔王だけを見つめている。


 「客人に茶の用意を!

 それと、さっき言った資料も持ってきてくれ!!」

 「かしこまりました。

 茶葉のご指名はございますか?」

 「ふむ……客人!

 何か所望の茶葉はあるか!!?

 ここにはありとあらゆる茶葉がある、どんな物でも構わんぞ!!!」


 茶葉と言われても、俺が紅茶を飲むとしたらティーパックの紅茶程度だ。

 だが、ちょっとメイドさんに対して見栄を張るためにうろ覚えな茶葉の名前をキメ顔で言ってみる。


 「ラプサン・スーチョンを」

 「ほぅ、随分とマニアックな物を知っていますなぁ!」

 「いえ、それほどでも」


 そう言ってチラッとメイドさんを見ると、何とも微妙そうな顔をしていた。


 一体どうしたのだろうか?


 「では、ラプサン・スーチョンを用意しろ!」

 「………かしこまりました」


 メイドさんが浮かべた微妙な顔の理由は数分後に分かった。


 彼女がカートに乗せてもってきた茶器セットでポットからティーカップに紅茶が注がれた瞬間、紅茶の香りが室内を満たした。


 どこか懐かしさのある腹痛にとても効果がありそうな独特な刺激臭。

 そう、ラプサン・スーチョンの香りはまるで…………正露丸だった。



 あぁ、うん、知ったかぶって何かカッコイイ名前の茶葉を言ってみたがこれは失敗だった。

 しかもキメ顔で言ったのが後からダメージくる。


 あれだよね、自分のキメ顔とドヤ顔ほど見苦しい物は無いよね!



 ちょっと恥ずかしさで顔が赤くなりそうなのを、正露丸臭ただよう液体を飲みながら何とか押さえこんだ。



 ……次はおまかせにしよう。

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