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4 タダの選挙マニアです

「お前は一体・・・・・・何者なんだ?」


「こっちのセリフっすよ・・・・・・」


 シリウスが去り、俺とアデルはまたさっきのように向かい合わせに座りなおしていた。てか、寒っ! 玄関、丸空きじゃねぇか。


「そう言えば、お前の名は何というのだ」


「めちゃくちゃ今さらっすね・・・・・・」


「早く名乗れ!」


「--!? 美濃部功一みのべこういちです!!」


 アデルの右手からいきなり長く鋭い爪が伸びた。こ、殺されるっ!


「ミノベコウイチか。コウイチが名前か?」


「はい・・・・・・」


「ふん・・・・・・では、コウイチと呼ぼう!」


「どうも・・・・・・」


「俺様のことはアデルでいい。光栄に思え! この名を呼べる人間はこの世に二人といない!」


「ありがとうございます・・・・・・」


 どうでもいいから早くその爪をしまってくれ--怖くてまともに前も向けない。


「シリウスはお前が選挙に詳しいと言っていたが、お前は何者なんだ?」


 ・・・・・・本当は別に詳しい訳じゃない。詳しくなりたくもない。


「俺は、選挙のマニアです」


 だが仕方ない、命がかかっているのだ。俺は仕方なく選挙のマニアという適当な理由を付けた。


「マニア? ただ好きなだけか?」


 好きじゃない、むしろ・・・・・・嫌いだ。


「ん? どうした?」


 黙り込んだ俺を不審に思ったのか、アデルが顔をのぞき込んでくる。


「選挙には・・・・・・多少は詳しいです。力になれると思います」


「そうか! よかった! これからよろしくな、コウイチ!」


 アデルはニコニコと無邪気な笑顔を向けながら、右手を差し出してくる。爪はもう短くなっていたので、俺も安心して自分の右手を差しだす。

 アデルはその手を握ってまたニコリと笑った。感じのいい笑顔だった。どっかの誰かとは大違いだ。俺は自分が殺されかけたのも忘れて、純粋にこいつの力になってやりたいという気持ちになっていた。

 こうして、俺と魔王の息子の選挙対策が開始されたのだった--

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