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異世界と私と時々ウサギ  作者: 酢昆布
第三章 遠のく季節
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閑話 心境

薫と過ごし始めてしばらくの頃、イシュは物足りなさを感じていた。もうキスじゃ満たされないのだ。もっと深く、薫に触れたかった。だけど、薫が年下のことと、キスをするたびに見せるあの無防備な顔を見ているとまだ早い事もわかっていたから、イシュは壮大な我慢を強いられていた。


白い項にうすく色づいた頬と唇、長いまつげに縁取られた色の濃い目。我慢しなければならない事は分かっていても、限界は近く、理性なんて物はあっさりと沈んでしまいそうだった。


(まだ我慢だ...!)


そうやって毎日ごまかしごまかし過ごして来たのに、よりにもよって夜、しかも夜着で薫が抱きついてきたから、我慢がきかなくなってしまった。


「なぁ、かおる、いいだろ?」


そういって覆い被さって、薫の背中にするりと手をはわせると真っ赤な顔でなんとか俺を止めようとする。まだまだ初な反応に胸がうずいた。だけど、薫がその小さな手を伸ばして、精一杯距離を取ったからしかたなく、夜着からはみ出た白い肩にキスを落とす。


「イシュっお願いっまだ心の準備が出来てないからっ」


「そんなの必要ない。大丈夫だ、優しくするから」


恐らくあまりの羞恥により、ぎゅっとつぶった瞳から涙がひとつはみだしていた。羞恥からくる涙とは分かっていても、薫が泣いているのはどうも気に食わない。安心させるように頭をなでながら、説得を試みたが薫は頭をふるふると振るばかりで一向にこちらを見ようとしない。


ふわふわ揺れる髪から覗いた耳が熟れた果物のようで、がぶりと食いついた。その予想通りの味に舌なめずりして、他のところもちろちろと味見する。ぺろりと舐めて、キスを落として、ふいに薫が俺の名前を呼んだ。


「ん?なん...」


キスだった。がちりと合わさった唇はぎこちなくて、これでもかという程に俺を煽る。薫からキスをしてくるのは珍しいのだ、いや、初めてかもしれない。少しだけ手をやすめて、えさに食い付く犬のように薫のくちびるに吸い付いた。もう薫しか見えない、離したくない。


離れた隙に漏れでた吐息の甘いこと。


胸焼けしそうな甘い香りにめまいがした、その隙に薫が離れてしまった。夜着の乱れを直しながら、懇願するような目つきで俺をみる。なんで、そんな目でみるんだ、薫が欲しいだけなのに。


「おいで」


薫はもう近くに寄って来なかったが、ただまた今度と約束してくれた。正確に言うと明後日だ。


薫を部屋に返してからも中々寝られなかった。もう一度薫からキスしてもらったせいか、余計にうずく。一緒に寝るつもりだったが、薫は逃げて正解だったかもしれない。今日は、暴走しすぎた。


そんなことがあったのが、しばらく前。明後日の約束はやぶられてしまった。本当は今すぐにでも薫を抱きたいのに、そう出来ないのは、この間の暴走に関して反省しているからだ。次は、我慢できるかも分からない。


自分の欲深さがいやになる。


イシュはこんなこと考えてんだよーってはなし。ひさしぶりです、ごめんなさい。次回からは、イシュの実家に突撃したいですね。

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