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異世界と私と時々ウサギ  作者: 酢昆布
第三章 遠のく季節
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らぶ、ぱわー

大好きなあの香りに包まれて、目覚めた先にはウサギさん。まぁ、よくあることだ、気にしない。でも今回は少しいつもと違う。私の精神的な問題なのかなんなのか、イシュがいなくなってから、ウサギさんに会ってなかった。つまり、私達は久しぶり!な関係なのだ。


「あっウサギさん、おっひさー」


目の前で崩れ落ちたウサギさんを見下ろしながら言う。


ってアレ、大丈夫かな……あっもしかしてマニュアル失くしたのかな!うわー、それはダメだ。ウサギさんが泣くのも無理ない。うーん、ここはどう慰めるべきだろ、やっぱり軽く、来年にはきっと再配布されるよ!とかがいいかな。よし、それで行こう。


「きっと、来年には…「おっひさーじゃねぇだろてめえ!マジで死ぬかと思ったわ!なに何気に魔力切らしてるわけ?そんくらい自分で管理しとけよ!」


なるべく優しく言葉をかけたつもりだったのに、遮られた上にキレられた。

……え、何これ私が悪いの?内容からすると、恐らくウサギさんは私をせめているけど、さっぱり怒られる理由がわかんない。……なんか、理不尽だと思う。


第一、私自分の魔力がどこから来るかなんて知らない。第一この "夢の中" で行われていると思われるウサギさんとの会話自体、いったいどういう原理なのかしらないんだから、怒られる筋合いはないはずなのだ。


というかんじのことをウサギさんに訴えてみたものの、どうやら完璧にキレているウサギさんの怒りは収まらず、その後もぐちぐちいろいろ言われた。ぐちぐちギャーギャー騒いでいる言葉をよく聞いてみると、どうやら私の所在が突然途切れたがために先輩に怒られた、みたいな事を言っているんだろうな。


それは……すみませんでした。だけどどうしても素直に謝る気が起きないのは、ウサギさんが私に教えるべきことをしっかり教えてくれてないんじゃないか、という今更な疑問があるからだ。


そんなことを考える内にどんどんイライラしてきて、もういっそ聞くの何てやめようと思ってたら、ウサギさんがひときわ大きな声で叫んだ。


「俺がどれだけ心配したと思ってんだよっ!」


あれ、心配してくれてたんだ。…うん、それだったら、いいかな、理不尽なところでは謝りたくないけど、いくらダメなマニュアルウサギでも心配させたんなら、ちゃんと謝ろう。


「……ごめんなさい」


今度は私が正座して、見上げたウサギさんは涙目だった。うん、可愛いかも。


「も、いい。俺も説明すれば良かったから、これからちゃんと説明する」


おぉ!初めてウサギさんとまともな交渉、いや会話ができた気がする!ウサギさんは息を落ち着かせて、いつものふてぶてしい態度を取り戻した。


「いいか、この会話はお前の魔力によって成り立ってるんだ。つまりお前の魔力が切れたら、電池切れ。俺はお前と連絡できない」


あぁ、なるほど!なんか意外と簡単な作りだったんだなこれ。特に質問するようなこともなかったのでコクリと頷いたら、ウサギさんが所謂ドヤ顔をして続けた。


「それでな、お前の魔力、何でできてると思う?」


そんなこと聞かれても困ると言うのが本音だけど、答えなきゃこのウサギは話を進める気はないんだろうな。


「あー、血筋、とか?……生命力とか?」


これでも結構頑張ったんだ、この間読んだファンタジーものやなんかを思い出して、ひねりにひねって答えを出した。けどどうやら間違ってたみたいで、私の答えを聞いてウサギさんがニンマリ笑った。さっきからなんなんだムカつく!


「ラブパワーだ」


...は?らぶ、ぱわー?えっとそれはつまり、愛の力ってことなの?私が目をぱちくりさせているのを吹き出しそうな顔で見ていたウサギさんはそのまま説明を続ける。


「もちろん元の素質と魔力も必要だ。だけど主な魔力として使われるのはお前の、恋人を思う力だ」


正直なところかなり脱力した。だってもっとカッコいいのを想像してたんだもん。不服ではないけど、ラブパワーっていうのは響き的に、かなりカッコわるい気がする。いやしかし、恥ずかしい魔力...


「おい、今ダサいって思ったろ」


「あ、ごめん」


ウサギさんに睨まれた。あはは、図星!それより段々に視界が薄れて来ている気がするんだけど、なんでだろう。


「お、もうそろそろ起きるか?んじゃ、俺も行くかなー、じゃーなまた今度」


あぁ、なんだそういう事なのか。私の意識はゆっくりと明るみへ浮上した。



お久しぶりな更新です、ごめんなさい!無事試験がおわりましてん!

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