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異世界と私と時々ウサギ  作者: 酢昆布
第一章 異世界
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イシュの理性

イシュ目線です。

「部屋すぐには用意できないから、俺の部屋でいいか」


念のため、もう一度聞くとかおるはこくりと頷いてくれる。可愛い。

会ってまだ1日もたっていないのに、こんなに好きなのはおかしいと思う。女なんて鬱陶しい生き物でしかなかったから、好きになるという感覚がずれてるのかもしれないとか、魔術師による呪いかなんかの説も考えた。だけど、肌にふれるとびりびりと痺れる俺の頭が、この子を絶対に離しちゃ行けないと訴えていて、どうしても、勝てなかった。好きになるなんて、初めてだ。

始めて見た時は衝撃は忘れない。一目惚れ。何か惹かれる。目を離せない。守りたい。

どうしたらお前は俺を好きになる?

抱きしめても抵抗しない所をみると嫌われてはいなさそうだ。脈ありと受け取ることにする。


そこで不意に先ほどの事を思い出してイシュの眉間にシワがよる。

ルーだ。やられたな。口止めはしたが、喋りはしないだろうか。一応釘を刺しとくか。そうだ、最初はばれないようにやらなくてはどんな事になるか分からない。

薫は可愛いから俺以外の男に言い寄られるかもしれない。それを想像しただけで心に黒いものが立ち込める。そんな事した奴は、もう二度と外に出れない顔にしてやる。

あとは女だ。いつもキャーキャー言いながらついてくる女達。鬱陶しい以外の何物でもない。しかし女は陰険だ。ネチネチいじめられるかもしれない。そうはさせないがな。……考え始めるとキリがない。と、そこまで考えて、会って数秒の相手にここまで独占欲があふれるなんて、見上げた自制心だなと心の中で嘲笑する。


でも正直そんな事を考える隙もないぐらい、俺の頭は薫でいっぱいになっていた。大丈夫、薫は俺の物だとゆっくりゆっくり知らしめて行けばいい。だれも手を出さないように。

突然、腕の中に閉じ込めたままだった薫がピクリと動いた。背中にまわった手がシャツの裾を握りしめてくる。



予想外の行動に不覚にもビキッっと動きが止まった。

よし、イシュ、お前は大丈夫だ。理性だ。理性だ。理性だ。理性だ。大丈夫。大丈夫。俺は大丈夫。

そう唱え続けないと理性がちぎれそうになるくらい、俺のストライクを狙った行動だった。なんだこいつ、恐ろしい。今までの女は、俺に抱かれに来た。まあほとんどは無視していたが、気が向けば俺も抱いた。もちろん、恋愛感情を抱くなんてことはなかった。でもかおるにそういう意図はない、その上初恋だ。怖いのは本当にそれを、無自覚でやっているとことだ。自覚ありでやるんだったら、他の女とさして変わりない。いや、もしかしたら自覚があってもすごいのかもしれない。ぎぎぎと音がしそうなぐらいゆっくりかおるを覗き込む。


「なんだ?」


「イシュさん、私眠くて...もう寝てもいいですか...?あと、そろそろ恥ずかしいので離していただきたいです……なんて」


まだ空は、薄暗くなり始めたばかりだったが、その奇妙な格好といい、境遇といい、今日どうやらいろいろあったこの少女にとっては、十分遅いんだろう。すぐに立ち上がり、寝室へ向かおうとしたところ、どうしても降りる、と言って聞かないかおるをしぶしぶ腕から離したのは、たんに、無理を言って初めから獲物に逃げられるようなことにはなりたくなかったからだ。


寝室に向かう途中、メイドのマーサに女物の夜着を持ってくる様伝える。ここにそんな物があるのか少々不安だが、優秀なマーサだ、何とかするだろう。


「イシュ様、かおる様はご入浴の方はどうされますか?」


そういえば。女は、どんなに疲れていても、さして汗をかいていなくても入浴を欠かさない生き物だった。仕事柄いたしかたないことではあるが、いつもむさい男たちといると、女はたちまち異性物になる。


「多分、入る。用意を」


「はい」


眠くてもうフラフラとしか歩くことができないかおるに、こんなに眠いんだったら入らないかもしれないとか少し疑心暗鬼になりながらも聞いてみると、すぐに入りたい、との答えが入ってきたので、そんな所は他の女と変わらないんだなと思った。


そのまま風呂場に向かって、かおるだけ中に入れた、しばらくたった頃にマーサが夜着を持ってきた。頼んだのは俺だが、本当に、どこから見つけてくるんだか。黒いレース編みの夜着だ。多分、かおるに似合う。すぐに許可するとマーサが中に入って行った。それから少ししてかおるが出てくる。


もともとしろい頬を蒸気させてる姿は正直……かなりそそる。

以前隊の連中から言われた鋼の理性はもう糸のようにちぎれそうだった。2人並んで寝室に帰る。なにかあるたびにその細い体を引き寄せたくなるのは、いささか問題だ。



ベットに寝転ぶとすぐにでも寝息を立てはじめそうなのに、懸命に目をあけて「イシュさん、今日はありがとうございます....おやすみなさい...」なんて言われたのには参った。その後はコテン、と言う音と共にすぐに寝てしまったかおるは、俺を信用し過ぎなのではないだろうか。無意識で、隙があり過ぎの行動が俺を誘惑する。とその時、かおる寝返りをうち、長めの髪で隠れていたうなじが姿を表した。そして、寝言だろうが、小さな声で俺の名を呼んだ。


今までですらチリチリと細く揺れていた俺の理性が、プツンと、きれる音がした。あぁ、もうダメだ。我慢の限界だ。初対面の相手だなんて、所詮はつまらない良い訳だ。起こさないようにふわりと抱きしめるとかおるが小さな声を上げる。

可愛いくて、さらに強く抱きしめる。



かおるに覆いかぶさって、首に顔を埋め香りを吸い込む。俺と同じ....石鹸の香りだ。もしかすると、家に泊まるのは今日だけだなんて思ってるかもしれないが、俺が離せそうにない。だからこうやって、少しずつ俺に染まって行けばいい。

今度はそのまま白い首筋を舐める。甘い。女の首筋が甘いだなんて良く言ったものだが、本当に甘かった。

優しいキスを繰り返す。キスが耳まで達し、耳を舐める。甘噛みする。唇をペロリと舐めた所で薫がまた声を漏らした。


そこで我に返った。ダメだ。

さっと離れてもとの位置に戻って、頭を抱えた。そんなに、溜めてなかったはずだ。でも、そんなに、そんなにか!?悩みこそすれ、全部好きという感情におさまってしまうのが不思議だ。ベットは実は他の部屋にいくらでもあったが、部屋を出て行くなんてできそうになくて、同じベットの上少し離れた所で寝始める。

初めのほうこそ我慢していたが、しばらくたって、またかおるが声を漏らすので我慢できなくなったのは、仕方が無いことの、はずだ。




やっちゃいましたね!イシュさん!

笑顔を向けられてもヤバイです。

突然ですが、時代背景。

そこそこ古めかしいです。でも水洗トイレとかお風呂とかあります。

洗濯機はないです。微妙ですみません(´Д` )


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