マニュアル自慢
「お前らちょっと、イチャつきすぎじゃねぇ?」
私が寝てすぐに、ウサギさん一言。
私が絶句している間にもウサギさんの話は続く。
「先輩からも聞いてたんだけどよ、思ってたよりスゲーな。
ちょっと目を離したらイチャイチャイチャイチャ、お前あんまデレないほうが襲われたいしねーと思うぜ?まぁ、とにかくだなお前ら少しは自重……」
「うわぁっぁっぁぁあ!!なんでっ見てるの?!どうやって?!もうヤダ帰りたい!……こっち見ないでよ変態ウサギ!!」
あまりのショックに考えるより先に言葉が出た。ちょっと反省。変態なんて言ってごめんね、ウサギさん……やっぱり、変態。
「はぁぁっ?!そりゃ興味本位で覗いたけど、お前誰にいろいろ教わってると思ってんだ!変態はねぇだろ!」
ちょっと偉そうな態度にキレてしまったんだと思う。
ウサギさんが先輩とうまくやってるか心配。
「だって人の知らないところで、そう言う個人的な事を覗くのは……あれ?ごめん間違えた。変態じゃないよね」
「…ふっ!そうだろう!俺様に間違いはないな!ウサギ様と呼べ、ウサギ様と!」
「それは覗き魔だった」
「それもちがぁぁぁう!」
「え、じゃあ何?ストーカー?うわ、最悪」
「おまっコノヤロー!」
それからいろいろ言い合って、二人とも悪口が尽きてきた頃にやっと口喧嘩は終わりを迎えて、最終的にどっちも悪いねって話しになったんだけど、私絶対悪くないよね。うん、絶対悪くない。
そう言えば、魔王の事を聞こうと思ってたんだ。
ていうか本当にいるのかな。私がこっちに来た理由だし、いなきゃ話になんないけど。
「魔王って本当にいるの?ウサギさん」
「いるに決まってるだろーが。何のためにお前が呼ばれたと思ってんだよ」
ですよねー。でもさ、そうじゃなくて、どう言う人なのかとか。
みたいな事聞いたら、やっぱりマニュアルを取り出して行くつかの項目を読み上げる。
「魔王はな、黒いぞ。あと変態」
「変態?そこがスゴく気になるんだけど……マニュアルからじゃダメじゃない?」
「ダメじゃないぜ!何故ならこのマニュアルは対魔王用に、今までのデータを平均したものだからな!ふふふふ」
いや、マニュアル自慢はいいって。……本当好きだねマニュアル。
「魔王の性格が平均して変態なのはわかったけど、あの……」
「魔王は近い。覚悟しておいたほうがいいと思うぜ?」
最後にあっさり大事な事を言い残して、ウサギさんは消えた。何様?
あぁ本当に、めんどくさい。