天然タラし
一目惚れ…すなわち恋!すなわち春!わぁ。
思考回路がピンク一色だわ。
友達の恋愛……これは全力で応援しなければ…!
ルーチェは秘密を話した事への恥ずかしさがあとから襲って来て、さっきからしたを向いていてこちらを見もしない。
「ルーチェ!私、応援するから!!」
ルーチェは私の宣言を聞いてやっと顔を上げ、慌てたように注意する。
「こ、声が大きいわよ!……でもうん、ありがとう……」
あ、そうか。覗き見てるんだった。
「うん。頑張ろうね!」
まずはターゲットを確認するべく、柱の影からもう一度覗く。
見上げるほどの長身に、黒髪。
顔立ちは整っていると思うけど、なんだろう、イシュや王子と比べると華がない感じ。腰に剣をさしているから、騎士なんだろう。
話し方が優しそうで好印象。
「それで……告白は?」
「で、できないわよそんなの!振られたりしたら…!それに彼、優しいから、身分とか気にするのよ。多分。それでも一応、二番隊隊長なんだけど」
「へぇ。隊長なのね。でも告白しないと、気持ちを伝える術はないよ?」
「えぇ、わかってるわ、でもなんか「姫はこんな所でどうしたんですか?」
うわっびっくりした。心臓が……。
それはルーチェも同じだったみたいで、心臓の辺りを抑えて息切れしてる。
「っ!ラルはいつからいたの!!びっくりしたわ…」
ラルって言うんだ。近くでみるとさっきより大きい気がする。あ、身長の話ね。
ちなみにそのラル隊長は、さっきからルーチェしか見てない。
もしかして相思相愛かと思うんだけど!違うかな。
「すいません。でも、あんなに大きな声で話していたら誰だって気づくでしょう?姫、そこのご婦人は?」
あ、今ちらっとだけ私の事見た。あ、またルーチェしか見てない。
あぁ、もう絶対好きだと思う、ルーチェの事。
「ラルも知っているでしょ?薫、あの、イシュの恋人よ。結婚を前提に…だったかしら、薫?」
爆発発言ってこういうのを言うんだろう。
え?何それ初耳なんだけど!!そうだったの?誰が言ったの?!……何となく流れ的にそうなりそうな感じしたけど!というか、別に嫌ではないけどねとか、ごにょごにょ。
うわやばい軽くパニックだ。
早く質問に答えないと…っルーチェが不思議そうにこっちを見ている!
「いやっ、あの、えー、だからそのっ、その辺の事はほらっ、ね?うん、知らないです、はい」
嫌ぁぁぁ!何か墓穴掘った気がする!
見ないでー私をみないでー!ルーチェ謝らないで良いから!私がパニックなだけだから!
私がパニックになっていても時間は構わず進んで行く。
まぁあれから、ラルさんがいろいろフォローしてくれて、自己紹介も無事に終わった頃、
「あの、じゃあこれから稽古なので失礼します。……あぁ、ルーチェ様、髪が絡まってますよ……綺麗な髪なんですから」
「あっ、あ、うん。ありがとう」
ラルさんは稽古に向かいましたとさ。ていうか何この大声。
あれからルーチェは走って自室(以外と近かった)に行き、入ってすぐにドアを閉め鍵を閉め、奥の部屋へ行き、叫んだ。
「あの天然タラし野郎ぉぉぉぉ!!!」
あぁ、なるほど。
「あれよ、ああ言う所なのよ!綺麗な髪なんですから?やだ、うっかりトキメいちゃうじゃない!!」
要するに、タラシ貴方がすごく好き。だよね?
天然タラし…マイブームですw