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異世界と私と時々ウサギ  作者: 酢昆布
第二章 勇者
32/51

迷子。

全員、1つずつ手に取って嬉しそうに頬張ってます。

ちなみに今だ不機嫌なイシュも。


「うんめー!そいや、俺たちが差し入れ貰ったのって初めてじゃない?」


「え、そうなんですか?」


「うん、多分そうだよ。いつも隊長ばっかでさー、でも隊長食べないし。俺たちが食べようとすると差し入れた女の子が怒るし」


ふーん、初耳。貰ってるんだろうなーとは思ってたけど、食べてなかったんだ。あ、まさか甘い物が苦手なのかな。そんな話したことなかったし、あー、なんか無理して食べてたりするかな。…どうしよ。


「ねぇ、イシュさ。もしかして甘い物キライ?」


「ん?別に嫌いじゃない、ただあいつらのはたまに怪しげな薬が混入してるしな」


キライじゃないんだ、良かった。それよりも怪しげな薬って何だろ、個人的にすごく気になる。

それは今度だれかに聞いてみるとして頭にしっかりメモしとく。さて、目標は達成したし、そろそろ帰ろうかな。


「イシュ、じゃあ私そろそろ帰るね」


この言葉に他意はなかった。だけどイシュはどうやら私の事をすぐに迷子になっちゃう幼稚園児かなにかと勘違いしてる。その証拠にほら、イシュの目線はとても心配そうだった。立ち上がった私をじいっと見つめたまま何やら考え込んでいたけれど、「...心配だから、ルーチェと居ろ。迎えに行くから」だそうです。


一人で帰るぐらい、平気なのに。ちょっと過保護すぎだと思う!しかも行きすがら、人がいるのにキスされちゃったし。ほっぺだけど。

「知らない奴にはついて行くなよ?」とか言って。幼稚園児じゃないんだから!心配してるのは分かるんだけど、どうも落ち着かない。


免疫をつけるために、こんど一人でお使いとか行ってみようかな。ルーチェに相談してみよう。


今だ心配そうに視線を向けてくるイシュを無視して、ルーチェの部屋へ向かう。

取り合えず、白い柱を右に、だ。実を言うとお城の構造はまだぜーんぜん覚えてない。いつも誰か連れてってくれてたし。道覚えるの苦手なんだよね。いわゆる、方向音痴ってヤツ。


白い柱の角を曲がって39回目、この覚え方の欠点に気がついた。


お城にある柱は全て白でした。


突きつけられた現実に言葉もない。まさか高校2年生にもなって……迷子だ。

悔しいけど、イシュはある意味正しかった。私は誰かについて行ったりしないけど、それでも迷子にはなる。

にしても迷子だなんて……お城 怖っ…!動かないでいると余計に不安になるから、こんな時は動こう!うん。

歩いてたら見つかるかもだし。行動あるのみ!




あの時の私の判断はあながち間違ってはいなかったらしい。

数分後、あの憎らしい白い柱の影に隠れるルーチェを見つけた。うーん、すごく怪しい。

覗いては隠れ、覗いては隠れを繰り返して、どうやら誰かを見ているようだ。いきなり後ろから声をかけたら確実に驚くよね。あれは。

でも、何やってるんだろう、あれ。


まさか…もうこんな堅苦しい生活は嫌っ!とか言って、家出?

うわー!どうしよう!そんな重い話されたら私どう反応していいのか...でも友達としてはここは何としてでも止めるべきだよね!

でもまぁ、まだ決まったわけじゃ無いし、ここはやんわり聞きながら。



強行突破!




「ルーチェ!何してるの?」


ルーチェの肩がビクッと跳ねて、それと同時に叫び出しそうになったけど、自制した。

そんなに知られたくない事なのかな。やっぱり家出しか考えられない。家出は断固阻止しようと強い決意を胸にルーチェを見ると、ルーチェは短く息を吐き出した。


「うっわ!びっくりしたぁ。やめてよ薫!」


「ごめんね、で何してるの?」


ルーチェのほっぺたがほんのり染まる。


「特別に、薫にだけ教えてあげるわ」


そう言ってまたルーチェは柱の向こう側を覗き見る。1人の男の人とパルカさんが話してる。

家出……じゃないみたい。よかった。


「私ね…一目惚れしちゃったの」



薫式、迷子の時の対処法は間違ってますヽ(´o`;

良い子は助けが来るまでその場にとどまろう(=´∀`)人(´∀`=)

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