初めての差し入れ
2人に用意してもらったレモンを絞りながら、エマに材料を混ぜてもらう。
そのさらに奥では、パイシートを持って待機してるサラ。
準備万端だ。基本的に簡単なレシピだから、直ぐにできそうだし。
パイを無事オーブンに入れ、あとは待つだけだ。
「楽しみですね!薫様!」
そう言ったのはエマだ。
「このまま待ってるのも暇なのでお茶いれましょうか?」
サラは務めてわたしの意見を聞いてるようだけど、顔に書いてある。
"お茶しても良いですよね" と。
と、言う訳で。
焼けてくるレモンパイの香りの中で、紅茶をすすってます。
あぁ、本当は何かこう…魔法的な事がしたかった!お茶も良いけどさ!
何か悔しい。でもそんな時の為に!プランB!
「サラ?今日なんかする事ないかな?暇なんだよね」
これから考えますとも!
「する事ですか?…あっ!パイ沢山焼いたので、イシュ様に差し入れとかどうでしょうか?」
「良いかも。じゃあ、そうしようかな。どうせ余りそうだしね」
よしっ。やる事は決まった。
イシュの所へ行ったついでにルーチェの所へも行こうかな。うん。
「馬車を用意しておきますね。私たちも同行しましょうか?」
「エマたちは良いよ。大丈夫」
「わかりましたー。…薫様!スカーフは巻いて行ってくださいね?」
「ん?何で?」
「いやっあのぉ…」
2人が私の首当たりをみながら言った所で検討がついた。
キスマークゥゥゥゥ!うぉぉぉ!恥ずかしい…!
何でだー!何で忘れてたんだーっ!ていうか誰か反応してよ!
「う、うん。していくよ…あの、コレは気づいてなかっただけだから。本当に」
気まずい空気になった所へ丁度良くオーブンが鳴る。
「…できると本当すごい量だね」
「「ですねぇ」」
なんたってパイ7枚だ。
はじめはそんなに沢山作るつもりなかったけど、楽しくってつい…ね?
「じゃあ、わたしは切ってカゴに入れておきますね!その間に配ってきてください」
「はーい」
さぁ、どこから配るか。大所帯だからなぁ。
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何だかんだで全て配り終えましたー。
みんな喜んでくれて良かった。
特に料理長っぽい人。レモンの調理に悩んでたらしいです。
いつも何かしてもらっている人に感謝されるのは嬉しい。
「あっ薫様!パイ冷めないうちに持っていかないと!」
「そうですよ!もう馬車の用意は出来てるんですから!」
2人に急かされて慌ただしく馬車に乗り込んで、出かける。
さっき喜んでくれたのが思いの外嬉しかったから、
イシュにあげるのが楽しみで「ふふ」と笑ってしまう。
お城がみえてくる頃、すごい事に気がついた。
わたし、稽古場知らない!
…他の人に聞けば良いか。いやそれよりイシュがいなくてお城に入れるか?
うーん。ここまできて問題発生。
うー、明日も投稿する!ハズ…