やる事
朝、目が覚めた時、カイはまだぐっすり寝ていたから丁度良いと思ってイシュを起こしに行くことにしたけど、全然起きない。はぁ…。
「イシュー朝だから起きてー!」
普通に起こしたんじゃ、絶対おきないからイシュのお腹に乗ってみる方法を試し中。
「ん…」
おっナイス反応!これは良いかもしれない!
調子に乗って飛び跳ねる。
「……うっ…ぐっあ……薫…やめっ…」
ふふん、さすがのイシュも起きたわね!苦しそうだけど。
早く降りろと言うように、イシュの手が伸びて来て私の目線がぐるりと変わる。
今度は体制が逆になって、身動きとれませーん。…絶対なんかされる!
「薫、おはよう」
身構えていたのに、イシュがしたのは触れるだけの軽いキス。
ん?コレは…変だ!
絶対なにか裏がある!裏が!
今までいろいろされて来たから、その辺の信用は薄い。
「あ、そういえば昨日のアレは本当か?薫」
「アレ?アレって…あっ!いやっあの…うっ……本当だよ」
しばらく考えた末に出た結果は、ウサギさんが言った運命の…ごにょごにょ。
あぁ、あんなの話さなければ良かった。恥ずかしいっ!
「ふーん?で、薫は俺のこと好きか?」
また何を言い出すんだこの人はー!!で、って何よ!で、って!
恥ずかしいので、そっぽを向いていたら無理やり向きを変えられる。
「かおるー?」
あぁ、朝のイシュはフェロモンだ。
寝る時に上を着ないせいで、むき出しになっている腹筋とか特に。
「す、好きだ…よ…ごにょごにょ」
「良く聞こえない」
イシュがニヤリと笑ながら言う。魔王!魔王だわ!久しぶりに魔王!
「うっ……だ、大好きっ…です…」
「俺も好きだ。薫が思ってるよりもずっと」
改めて言われると嬉しいものだ。
でも、ニンマリ笑ったまま言うイシュには、裏がある様にしか見えない。
不意にイシュに耳元で囁かれる。
「キスしても良いか?良いよな」
それかー!!裏が来ましたよ!
しかも聞いた意味ないじゃんそれ!
「…んっ…あっ……」
今度はさっきより深くて、濃厚なキス。
イシュの唇が離れる少しの時間に酸素を肺に送り込む。
「薫、ちょっとだけ」
…何?
イシュが鎖骨近くを軽く噛む。チリっとした痛みが走るけど、直ぐに終わる。
キスマーク?独占欲。
あ、こんな見えやすいところにつけてどうしてくれるんだ!もう!
「何でそんな見えちゃう所に付けるの!」
「薫は俺のモノだろう?薫も付けるか?」
あぁぁぁ!この人 全然 話がわかってないよ!
「そうじゃなくて!」
「付けないのか?残念。俺は…お前の印欲しいんだがな」
無視なのね!イシュさんキスマークのことで頭が一杯なのね!
「ほら!変なこと言ってないでもう起きようよ!ね?」
「嫌だ」
何でだー!
そんな私の危機を救ったのは朝の恒例行事でした。
「イシュ様ー!朝でございます!あら!朝からなにしてるんですか!」
マーサさん万歳!!
一方イシュは眉間にシワを寄せて明らかに不機嫌。
「マーサ…ノックしろ」
「部屋の主がノックしても起きないんじゃあ意味がないでしょう?」
ごもっとも!
それにこれがないと私が困る!(多分)
「明日からノックしろ。返事がなかったら入れ」
マーサさんは怪訝そうな顔をしてるけど私の顔をチラッとみて答える。
「……わかりました。ちゃんと起きてくださいよ?」
えぇ!そこOKしたらあかん!
その後、頑張って講義してみたけどイシュは取り合ってくれないし、笑顔怖いし。
こんな訳で、イシュの朝事情は本来あるべき姿( |すなわちノック)にもどったのでした。
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「今日は稽古だから、薫は家で待ってるか?」
イシュがパンをかじりながら言う。今は朝食だ。
そっか騎士だもんね。やっぱり稽古とかあるんだ。
「うん。そうしようかな。やりたい事もあるし」
ふふん。私だってやりたい事ぐらいあるんだ!
こっちにくる前はお菓子作り結構してたから、とりあえずお菓子を作りたい。
あと、すっかり忘れ去られてたけど、私の魔力について…とか。
「そうか。じゃあ、行って来る」
そういうと同時に軽くキスして出かけて行った。
よしっじゃあ、何かやるぞー!
「エマ、サラ、お菓子作りたいんだけど。レモンとパイシートとバターと卵とグラニュー糖、用意してくれるかな?」
「はいっお菓子ですか!良いですね!」
「薫様!それはもちろん味見付きで?」
そう言ったのはサラだ。それにしても味見って…もちろんじゃない!お菓子作りの醍醐味だから!
ふぅ、更新!
次回はお菓子作りです!何ができるかお楽しみに!
…って材料聞いたら分かる方いますねw