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異世界と私と時々ウサギ  作者: 酢昆布
第二章 勇者
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マジメな話

時は夜、夕御飯もお風呂も終わった時間帯。

イシュの部屋の前で、悩んでいます。


カイが眠そうにこちらを見上げては、諦めた様に目線を戻す。

ごめんよ、カイ。でも!悩んでるのよ!

あぁ、どうしよう、うさぎさんの事話そうか。どっちにしろ話そうと思ってたけど、いざ話すとなると、ちょっと…うん。恥ずかしい。

勇者とか勇者とか勇者とか!でも勇気を出すんだ私!


「い、イシュ?」


そっとドアを開けながら呼んでみる。


「…薫か。どうしたんだ?あ、もしかしてやっぱり一緒に寝「違うから」


まだ諦めてなかったのか…あっ話がそれた!今の私には目的があるのよ!

頑張れ、私!


「あのね、マジメに話したい事があって来たの…聞いてくれる?」


「あぁ」


イシュがまたしても膝をポンポン叩いている。

マジメな話なんだってばー!!とりあえず無視してイシュの正面に座る。


「本当にマジメな話なんだからね。後…2人共、これを聞いた後でも私を信じてくれるって約束してくれる?」


「薫…?どうしたんだ?」


「約束してくれる?」


「……………あぁ」


約束はしたけど、安心ってわけじゃない。

だってコレは、イシュの想像を絶するモノだと思うから。


イシュの事は完全無視と決め込んでいたらしいカイも口を開く。


「もちろんですっ薫様の事を疑うなんて事、絶対ない!」


よし。じゃあ話すか。


--------------------------------------------------------------------------------------------------


私のが異世界から来たとか、その辺の話は意外とおとなしく聞いていたけど、それよりも大変だったのは勇者のとこ。


「何ですか?そのウサギ。薫様の身を危険にさらせと?バカじゃ無いんですか」


「危ないから、勇者なんてやるな薫。バカのウサギに何か言われたのか?締めてやるから今度会わせろ…」


やーめーれー!

実は信じてもらう事よりも、説得の方が難しいのかもしれない。

それにしても…


「2人共?信じてくれるの?」


「薫の言う事だし、辻褄もあう。信じるしかないだろう?」


「僕は薫様の言う事なら何でも信じます!」


「…ありがとう」


「薫には兄がいたのか…挨拶した方がいいか?」


「薫様!ウサギよりオオカミですよね!オオカミの方が可愛いですよね!」


………あぁ、この人達に出会えて良かった…なんて感動に浸ってたのにムードぶち壊しだ!

文句を言おうと思ったら、カイが擦り寄って来る


「薫様は…元の世界に戻るんですか…?」


「っ!戻るのか!薫!!」


「…全部終わったら戻ると思うよ。出来れば」


「戻る…」


「…っイシュ」


嫌だ。イシュともカイとも離れたくない。でも…帰らなきゃ。


イシュに手を引っ張られて、そのまま抱きしめられる。


「いしゅ…?」


「俺は…俺は、薫と行く」


「ええ!でっでも、もう皆と会えないんだよ?!アルデールさんとかマーサさんとかとも!」


「いいんだ」


「ダメだよ!」


「俺は…今、何より薫が大切なんだ。薫と離れるんだったら、他の全てを切り離してでも一緒に行く。…だから、もう泣かないでくれ」


「でもっ、さ」


「いいんだもう何も言うな」



「…ありがとうイシュ。…ごめんね」


「気にするな」


「薫様、僕も一緒に行きます!……おい、薫様からいい加減離れろ」


「ありがとう…カイ………じゃあ寝ようか」


それでイシュから離れて、自分の部屋に行こうと思ったんだけど、離してくれない。


「イシュ?離し「一緒に寝よう?」


「……ダメ」


「なんで」


「なんでも」


「心配だ」


「僕がいるから心配無い」


「くそっ…明日の朝起こしに来てくれるか?」


「いいよ」


「約束だからな。じゃあ、おやすみ」


おやすみのキス。軽くだけど、さみしさを訴えてる感じ。

何なんだ!でも…何だかやっぱり可哀想な気がしてくるから、恥ずかしくて話してないアレを囁いてから寝よかな。うん、まぁ嫌がらせも兼ねて。




「イシュはね、私の運命の人なんだって…おやすみ」


効いたかどうかはわからないけど、イシュの耳が確かに赤くなっているのを見たから効いてるんだろう。


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