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異世界と私と時々ウサギ  作者: 酢昆布
第二章 勇者
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ルーチェ姫

扉の先は、なんかもう、凄かった。

凝った調度品がたくさん置いてあって、とにかく広い。

広すぎて迷うんじゃないかな?私だったら確実に迷う。絶対。


「入るぞ。ルーチェ」


「ルーチェ?それがその子の名前なの?」


「ん。そうだ」


そう言いながらも、イシュは手を絡めてくる。


「あれ?イシュ?」


突然、上の方から声が響いてくる。ん?誰?


「ルーチェ!降りて来い」



ルーチェさんは、大きな本棚の上の方から降りて来た。はしごを使って。お姫さまってもうちょっと、一日中お茶を飲んでる様な人種かと思ってたけど、それはどうやら私の勘違いだったみたい。だって、今、私達がいるのは、"美女と野獣"に出てきたような本棚のある部屋だ。上から下まで、本だらけ、地震が来たら大変だと思う。

その中を私と同じくらいの女の子が、はしごを使いこなしながら降りて来る姿は男気満載だった。

アルデールさんと一緒の銀髪に碧眼、目がくりっとしてて可愛い。


「イシュ、久しぶりね!…あら?始めまして、ルーチェよ。呼び捨てで良いから」


ルーチェさんは私に気づくとすぐにニッコリ笑ってくれた。うわ、可愛い。


「あっ始めまして!薫です」


「この子が噂の女の子?」


「…そうだ」


噂っていうのはやっぱり、私の事なんだろう。ずいぶん広まっているみたいだし……イヤだなぁ恥ずかしい。そんな私の心情をしってか知らずか、ルーチェは私をじーっと見ると


「……可愛い!イシュを落とした子なんて初めてよ!よろしくね!」


「うん、よろしく!」


うぅ、恥ずかしさで死ねる。でもまだ少ししか話していないにも関わらず、じわじわと分かるルーチェの気さくさにはとても好感がもてる。いい友達になれるといいなぁ。


私とルーチェが無事友達になったらしい事を見届けるとイシュはすぐに帰って行った。


「ルーチェ、後、頼んだぞ。薫に怪我させるなよ」


「さっさっと帰りなさい。イシュはー。私達これから忙しいんだから!」


「後でね。イシュ」


「あぁ」


それにしても、すごい部屋だ。

ルーチェはわたしを興味深げにもう一度見てから、宣言した。


「さぁ!じゃあ、イシュとの出会いから聞かせてもらいましょうか!」


「え、えぇぇぇ!!!」


「いいじゃない!」


「…………」




結局、喋らされましたよ。恥ずかしい。




「ふーん?それで、イシュと住んでるのね」


「うん。そうだよ」


「私、薫に興味があって色々聞いてまわったのよ!魔力が大きいんですって?凄いわね!使い魔は?」


「今日、パルカさんにてつだって貰ったの」


「良かったわね!で、何の動物?」


「オオカミ」


「……………イヌ科の?」


あぁ、そう言えば犬が嫌いなんだっけ。ルーチェの顔に影がさしている。


「そうだけど、大丈夫!連れて来ないから」


そう言うとルーチェは、そりゃもうすごい剣幕でまくし立てた。


「えぇぇぇ!!何で?!それいじめ?!」


は?犬嫌いは克服したの?


「イシュに犬嫌いって聞いたんだけど…違うみたいね?」


「犬っだいっすき!ホントは飼いたいけど、バカ兄が許してくれなくて…」


バカ兄!言われたい放題だなぁ。王子なのに。


「そっか…じゃあ、イシュは嘘ついてたんだ?」


「そうよ!コレは許すまじ事だわ!レディに嘘をつくなんて!アホイシュ!」


ルーチェ、姫にしては口が悪いです。

それにしてもイシュは、カイに対抗意識、燃やしすぎだと思う。


「そうだね…でもイシュにはもうお仕置き決めてあるから」


何気なく言った1言だったんだけどルーチェはずいぶん食いついてくれた。


「わぁ!凄いわね!どんなの?」


「今日は一緒に寝ない事」


これも結構踏み切った事だったし、割と自信があったのに次に訪れたのはしばらくの沈黙だった。あれ、なんで?私、何か言ったっけ?


「…薫。それお仕置き?」


「え?あ、うん。そうだけど」


「軽いわ!」


「そ、そお?」


「そうよ!イシュは薫にベタ惚れ何だから、もうちょっと…キス一週間禁止とか!」


それはキツイ。イシュは多分耐えられない。


「前にそんなのだしたら、怖かったからなぁ…」


「どっちにしろ、もっとキツくしたほうが良いわよ!」


「うーん」




「ルーチェ!余計な事を言うな!」



『………びっくりした。何だ…イシュね…』


ルーチェとはもった。

だって余りに勢いよく、しかも突然、入って来るから。

それに構わずイシュは続ける。


「お前が余計な事言うと、薫の考えが変わるかもしれないんだぞ?やめろ」


「あら、どっちにしろ嘘は良くないわ」


「……薫、馬車の用意が出来たから、帰るぞ」


「ちょっと、無視しないでくださらない?まぁもういいけど、嘘はつかない事よ。薫、また来てね!今度は泊まっていかない?」


「お泊り?うん、是非!」


大分、時間が経ってたみたいだから、今日はここまで。

大人しくイシュに連られて行ったんだけど、馬車があんなに辛かった事は無いと思う。

次回、馬車で!

番外編書きたいなぁ…。皆様、何か希望ありましたら!

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