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異世界と私と時々ウサギ  作者: 酢昆布
第二章 勇者
22/51

相性

パルカさんの部屋を出てからは、イシュの執務室に向かって歩いていたのだが、

それはそれは大変であった。

何が大変かって?もちろんカイとイシュの機嫌が。


「薫様に必要以上に近づかないでください。旦那気取りが」


「あ?お前こそ薫に触るな。クソ犬」


「犬じゃなくてオオカミです。そんな事も分かんないんですか?アホ隊長」


「普段何にも出来ない使い魔の分際で喋るな。それからな、俺の方が薫と仲良いぞ。クソ犬」


「そのうちお前より仲良くなるし。だまれ」


「俺は「やめないともう口きかないよ」


『....』


と言う感じだ。喋らなくなった今も、あたりの空気は冷たい。

2人とも子供だ。なんだかお兄ちゃんを思い出す。

ふいに、カイがすり寄ってくる。...可愛い。

しかし、それに対抗するように、イシュの手が私の手をつかむ。

今私は2人に挟まれている状態だ。...歩きづらい。

それから、私を挟んでバトルするのは止めてほしい。

さっきなんて、後ろでイシュがカイのしっぽを踏んでたし。カイもカイで、イシュに激突してるし。

そろそろ私も限界だ。黙ってれば良いって問題じゃないんだよ?


「イシュもカイも私に触らないで。イシュ?今日は一緒に寝ないから。カイも!お風呂入れてあげようと思ってたけど、やめる」


「...っ!まて薫!分かった!もう喧嘩しないから!」


「薫様!ごめんなさい!お風呂入れてください!」


「ダメ」


それから2人はなかなか立ち直らなかったけど、私が歩きやすくなったからよし!

執務室に入るとルーさんの姿がある。副隊長と兼用なのかな?


「あっ薫ちゃん?久しぶりだねー」


「薫ちゃん?あなた何言ってんですか?僕の薫様に向かって」


「ひぃ?!」


「お前のじゃない。俺のだ」


「はぁ?」


...何やってんの。黙ってなさい!


「カイ止めなさい。ルーさん、ごめんなさい。今日、パルカさんに使い魔をつけてもらったんです」


「そ、そっか...強烈だね。しかも隊長と張り合ってるし」


「困ってます」


「うん、だろうね。隊長あぁ見えて、結構アホなとこあるから...あっすいません!アホとか言ってないです!ホントです!」


今度はイシュが剣を抜いてるし、今日は絶対、厄日だと思うんだ。

それよりも、イシュには仕事をしてもらわないとルーさんが可哀想な事になりそうだ。


「イシュ?仕事は?」


「あぁ、やる」


そういいながらも、自分の椅子に座って膝をぽんぽん叩いてるイシュ。

なんだソレは!座れという事か!生憎、怒ってますんで。


「カイと...」


はっ!カイにも怒ってるんだった!どうしよう。やる事ないぞ。

....ほらそこ!嬉しそうにしっぽ揺らすな!イシュも落ち込むな!


「...お城、探検に行って来ていい?」


上目使いで聞いてみる。はっはっは!イシュはこれに弱い!はず!


「...っ!ダメだ!」


そう言って目を押さえてしまう。

顔は真っ赤だけど。


「なんで?」


「心配だ」


「平気だもん」


「何が何でもダメだ...アルの妹のとこ行くか?」


ん?アル?王子の事?妹居たのか。でも良いな!こっちに来てから初の女友達!

でも、王子の妹だから姫?良いのかな。...まぁいいか。王子にも簡単に会えたんだし。


「行きたい!どこ?」


「一緒に行く。お前は来るな。あいつは極度の犬嫌いだ」


「犬じゃない!オオカミだ!」


「変わらない」


イシュの目的はこれか。


「カイ、待っててくれる?」


申し訳ない気持ちをこめてにっこり微笑むと、ぶつぶつ言いながらも了承してくれた。


姫の部屋は執務室からとても近かった。

それにしても大きな扉だ。見上げていると首が痛くなりそうだ。

しかも扉の両脇に兵士が立っている。まぁ、姫だしね。

何か言われるかな?と思ったんだけど、イシュをチラリとみると通してくれた。

兵士の手によって、扉が開かれる。

とうとうイシュのアホが加速し始めました。

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