私は…
イシュが出かけたのを見送ったあと、エマと一緒に部屋へ向かう。
「そう言えば、エマがサラと一緒にいないの珍しいね?」
「はい。今日は長に駆り出されてもう先に部屋にいるんですよ」
「……長って誰?」
「へ?長と言えば、マーサさんに決まってるじゃないですか。そう呼ぶと本人怒るので、まぁ、あだ名みたいなものですが」
やっぱりそう言う役職だったんですか…だいたい想像ついてたけどねっ!
部屋に着くと、たくさんの布の中に2人が埋まっているのが見えました。…気のせい?
「うぅ、助けて下さい…」
あっなんか今声が聞こえた!ヤバイ本格的に埋まってる!
待ってて2人とも!今助けるからね!
「お待ち下さい、薫様」
「え?でも早く助けないといろいろヤバイんじゃあ…」
「はい。もちろん長…マーサさんは助けますよ?でもサラはそのまんまでいいです」
「は?なんで?」
「何でって、楽しいからに決まってるじゃないですか」
え。何。今なんか変なワードが聞こえた気がしますが。楽しい?…んん?
「マーサさんは上司なんでアレですけど、人が苦しんでるのって見てて楽しくないですか?」
あらまー。お目々キラキラさせちゃってー。エマさんや…Sだったのね。
「いや!ダメだから!助けようねっ!ねっ!」
「えーーっまぁいいですけど…」
了解してくれて良かったよ。うん。渋々だけど。
…とりあえず、救出に成功した私たちは部屋のインテリアを決め始めたのでした。
「へぇ、さっきの布はカーテンね」
「そうなんです。先ほどは引き上げていただきどうもありがとうございました。…で。どの色になさいますか」
マーサさんが後ろのカーテンの山をさしながら言う。
「うーん、じゃあここは無難に白で!中の薄地は薄紫!」
「かしこまりました。部屋全体もその様な色合いになりますが、よろしいですか?」
「はいっお願いします!」
エマとサラがテキパキとカーテンをつける。
その後もいろいろあって、椅子とか、ソファーとか、バスルームとか!
なんと大変だった事か!
2時までかかりましたよ。
…そう言えばこっちに来てからも生活感はそんなに変わらないなぁ。異世界なのに。
都合良くで来てるなぁ。食べ物に困んないしそっちのが良いけどさ。
異世界…かぁ。いままでイシュといて、一目惚れして、楽しくて、気にしてなかった。
私、戻れるのかなぁ…?
…私は、戻りたいのかなぁ?
多分......戻りたくない。イシュと居たい。でもずっとこっちで、戻れないのも嫌だ。
どうすれば良いんだろ。
あっちで私どうなってるのかな。…行方不明?
あ。ヤバイ。お兄ちゃんとお父さんが。
薫は昔、大型デパートで迷子になった事があった。結局薫は車の前にもどって居たのだが。
後で母から聞いた話、その時の父と兄の暴走は半端じゃ無かったそうだ。
まず迷子センターに駆け込んで放送マイクをぶんどり、
「薫!どこだぁっぁ!!おらロリコン野郎ども!いくらうちの妹(娘)が可愛いからって連れ去ろうとすんじゃねぇぞ!特徴は肩につくぐらいの髪の長さ、白いワンピースにめちゃくちゃ可愛いだぁぁ!見つけ次第、丁寧に迷子センターに持って来い!以上!」
と一通り叫んだ後、また探しに出て行ったそうだ。薫が見つかった時は、父と兄揃って泣いていた。そらもう、号泣。
この時、愛されてるなぁ、と感じたのを覚えている。だから自然にごめんなさいと言った。そしたら抱きしめられながら怒られた。
まぁ、とにかくだ。私が行方不明なんで事になったら大変だ。迷子の比じゃない。
私はどうしたら良い?
お茶の時間、その事ばかり考えていた。
なんか…1章がおわんない。どうしよう。
ちょっと忘れといて下さい!うん。それがいい!
気づいたら2章だったーぐらいで!はい。