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異世界と私と時々ウサギ  作者: 酢昆布
第一章 異世界
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番外編 シスコンお兄ちゃん

薫は可愛い。世間一般では美少女と呼ばれる程に。

しかし、彼女に一度も彼氏がいた事がないのと、"そこそこ"にしかモテないのには理由がある。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


薫の兄、板垣 海斗は完璧人間と呼ばれている。

実際のところ、完璧ではないのだが、顔が良かった。

普通の男がカッパ巻きだとして、彼は大トロだと言っても過言ではないないだろう。

そして、スポーツ、勉強はいつも並を保っている男であった。並、である。

顔が特上の男が並を保っていたら、恋する乙女の目には自然に完璧に見えてくる物だ。

まぁ、その完璧人間には1つ大きな欠点があった。

可憐な乙女の恋心を軽々と踏み潰せる程の欠点が。


彼は重度のシスコンであった。


時は授業中。

海斗は今日も女子のピンクい目線にさらされながらノートをとっているが、考えるのは可愛い可愛い妹の事である。

薫、今なにしてるかな…変な男に絡まれてたらどうしよう。とりあえず男は抹殺な。うん。

薫は高1、海斗は高3。

この時間帯、薫が学校を抜け出したりしなければ普通に授業を受けているはずだが、妹はとにかくモテる。何があるか分からないのだ。

それに今は一学期。害虫駆除も終わっていない時期だ。もう一度言おう、何があるか分からないのだ。

心配で、心配で、お兄ちゃんはまともに授業が受けられないよ!薫!!

と、ちょうど良いタイミングで授業終了を告げる鐘がなる。

待ちに待ったお昼休みだ。

よっしゃっ!

立ち上がって廊下に出る。本当は走りたいところだが、注意されるとその分薫と話す時間が減ってしまう。

あと少しで薫の教室に着くと言う頃、女子に呼び止められる。

ふわふわした癖っ毛のショートカット。


「あっあの!!先輩!お話ししたい事があるんですけど、裏庭にきてくれませんか!」


「薫に会いに行くから無理。ごめんねー」


と軽くあしらって教室へ向かう。

後ろで泣き始めた気配がするがそんな物、気にしていられない。

ガラっとドアを開けるとクラスの半数の女子が顔を赤くする。

…うぜー。おまえらが赤くなっても意味ないんだよ。薫があかくなんなきゃ。

そんな事を考えながらも薫の席へ向かう。

薫の周りには女子と男子たくさんの人が群がっていた。そのせいでまだ薫は俺に気がつかない。

とうとう薫の前まで来る。ほとんどの奴らは俺に気づいて何処かにそそくさと逃げていったが、

数人の男子がまだ薫の机に張り付いている。

キモい。ウザい。今すぐ薫及び薫の所有物から離れろ汚れる。


「邪魔。どけ。そして一生もどってくんな」


そう声をかけると男子どもは今気がついたと言う様に離れて行く。


「お兄ちゃん!」


この可愛い声は。もちろん、薫だ。

あぁ可愛い可愛い。なんて可愛いんだろう。抱きしめようと手を伸ばす。


「流石に抱きしめるはないでしょう。お兄さん。そろそろシスコン卒業したらどうですか?」


「あん?お兄さんとか言わないでくれる?いまお前が発した不協和音の所為で耳が腐りそうだよ」


こいつだこいつ…何度排除しようとまた隙間からはいでて来る。

いわゆるゴキブリだ。またの名を木野 翔太。

こんなのが薫と同じ空間で勉強していると思うとはらわた煮えくり変えりそうになる。


「お兄ちゃんも翔くんも辞めてくれない?ご飯が不味くなるでしょ?」


「ごめんね薫…って翔くんって何?いつそんなに仲良くなったの?」


「さっき」


「…薫、いつも言ってるよね?俺以外の男と話したりしたら、薫なんてすぐ喰われちゃうんだって」


「でも翔くんお兄ちゃんが何言っても私と仲良くしてくれるし面白いんだもん」


くっそ、木野 翔太め。薫に名前呼ばれたぐらいでニヤニヤしやがって。気持ち悪りぃ。


「まぁいいけどさ、俺とお昼食べよう?」


全然良くない全然良くない…けど、薫とご飯が食べられるんだったらそれで良いや。

木野 翔太は後で絞めるし。


「うん。それは約束だからね。いいよ。でも今日は翔くんも一緒で」


「……………は?」


「俺も一緒だって言ったんですよ。先輩」


予定変更。今、絞める。

拷問大百科持ってこい。1番効くので時間をかけてやってやる。

そして、今日もシスコン海斗の害虫駆除が始まる。


でも海斗も、この時点では彼氏ポジション有力候補だった木野 翔太も、

この先の未来、まさか薫が"運命の相手"を連れ帰ってくるとは思いもしなかった…




海斗兄さんドSです。

とくに男には。

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