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異世界と私と時々ウサギ  作者: 酢昆布
第一章 異世界
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贈り物

馬車の中で強制的にイチャイチャさせられながら家に帰ってくる。


「なっ長かった…この道のり…馬車はもう、イヤ…イシュとは乗らない…疲れる…」


初めは新鮮だった馬車も今では、よどんだ強制イチャイチャマシーンに見える。

小さな呟きだったはずなのに、イシュにはバッチリ聞こえていたみたい。イシュはクスリと笑みをこぼしながら耳元で囁いた。


「毎日乗るぞ、交通手段だからな?」


う、ゎ、魔王です…魔王君臨…

どことなくご機嫌のイシュとは反対にどんよりとした空気をまとっている薫にサラが不思議そうに聞いた。


「何かあったんですか?」


「イシュに…キスされた…何度も…キス魔………イシュの馬鹿………」


ファーストキスを終えたよく分からない疲労感と、さっきのイシュのセリフがぐるぐる回って私の思考力なんて残っているはずもなく。


しまった、と思った頃にはきゃーっと周りのメイドから声が上がっていた。いやなんで周りも聞いてるの?

とも思ったが、そう言う話題には女子って本当、地獄耳だと思う。はぁぁぁ。

それに、その次はきっと…


「あの堅物のイシュ様が!キスですって!薫様、ぜひご感想をお聞きしたいですわ!」


ほら来た。なんて言うの、詳しく聞こうとする女子。クラスに1人はいるよね…

うっかり口を滑らせた自分を呪いたい。

別に感想なんかないし…気持ちよかったですとか?

ぼーっと考えてたらイシュに抱き上げられる。

驚く気力もない。と言うか、もう慣れた。自分の対応力って凄いと思う。

よく考えたら、異世界に来て1日でイシュと両思いだし、側近ついちゃうし、王子と会っちゃうしで、

小説の中でも一日でこれをやってのけた人はいないと思う。うん。ギネス?ギネスいっちゃう?

イシュが向かった先はお風呂だった。

入ろうと思って中に入ろうとすると、イシュも一緒に入ってくる。


「なっ何!1人ではいるよっ?!」


これには流石にびっくりだ。イシュめ、何を考えている。


「一緒に入ってもいいだろ?…ダメか?」


「ダメか?って!ダメに決まってるでしょぉぉ?!」


私の余りの剣幕にイシュは渋々出ていったけど、なんなの、これがここの文化なの?!

……そういえば、告白してからのイシュは油断ならない。そしてなんか性格変わってませんか?!

あれが素なのかもしれないけど!隙あらば触ったり、キスしようとしてくる。

挙げ句の果てに、魔王だ。ひどいひどい。


お風呂は流石、大貴族だけあってでかい。とてつもなく。銭湯みたいだ。

お風呂にエマかサラにお願いすれば、好きな入浴剤を入れてくれる。

馬車から降りた時駆け寄って来たエマに泡をお願いしてみたんだけど、もう入れてくれたみたい。

すご、仕事が早い。後でお礼を言っておこう。

…そんな事よりも。泡風呂はミスチョイスだったかもしれない。お風呂が大変な事になってる。

想像してみて欲しい、とてつもなくでかい銭湯に、泡だ。いっぱいの泡。

シャワーを浴びて湯船、否、泡に浸かる。あー、何か雲みたいー。

暖かいお湯につかっている内、疲れがほぐれていつもの調子に戻ってくる。


イシュには私の事ちゃんと全部話すべきだろうな。異世界のことも、ウサギのことも全部。

信じてくれるか、正直その確率はすごく低いと思う。良くて妄想家だと思われるぐらい。


余り長居すると廊下で待っているであろうイシュがかわいそうなので、そろそろ出る事にする。

昨日もそうだったが、何時の間にか用意されている夜着は今日もセクシーだ。

別にスケスケだったり丈がやたら短かったりする訳じゃないんだけど、なんかエロい。

そう言えば、私の洋服とかは誰が用意してくれてるんだろう?後でエマに聞いてみよう。

夜着に着替え、外に出る。イシュはやっぱり待っていてくれた。

悪いなぁとは思うけど、やっぱり嬉しい。


「行こうか。イシュ、これからどうするの?」


お風呂に入ったりしてすっかり夜気分だけど実はまだ昼だ。

お風呂に連れて来てくれたのはイシュなりに疲れた私に気を遣ってくれたんだと思う。


「これから…お前にはやる事がたくさんあるそうだぞ?」


「へ?」


向かったのはイシュの部屋の隣。


「ここは?」


「お前の部屋だ。」

イシュがニコニコしながら言う。


「私の部屋?」


そういやあったなそんな話。

中には5人程のメイドさんと、エマとサラとマーサさんがいる。

それとたくさんの箱。高い天井に届きそうな程のタワーが幾つもある。


「イシュ…この箱は…?」


「それはイシュ様からの贈り物ですよっ!」


イシュの変わりにサラが答えてくれる。

今までの服全部、イシュからみたいだ。何時の間に用意したんだろう?謎だ、でも、すごい嬉しい。


「イシュ、ありがとう」


「別に、これぐらいならやるし、喜んでもらえたなら何よりだ」


イシュは私の目をじぃ、と見つめてすぐにシュッと目を細め、キスをした。

唇に……あれ?あれ?んんんんんんーーー?おかしい!人がいるのに!

きゃーっと歓声が聞こえる。あ、デジャヴ。


長い。人がいるのに!私は離れた時に鳴ったちゅぅ、という音にとうとう我慢できなくなって叫んだ。


「ひとがいるのに!!」


イシュは悪びれる様子もなく笑ながら言う。


「恥ずかしいのか?」


当たり前だよ!異世界だからこそ分からない、これは、私が変なのか、イシュが変なのか。

でもとりあえず私が一回一回死ぬほど恥ずかしいから、ここは私に合わせてもらおう。


「イシュ!ちょっとしばらくき、キスとかしないでよね!」


そしたらイシュは平然と言い放った。


「いや、無理だろ」


イシュの思考が無理だろぉ、これは困った。だけどもこちらもある意味死活問題なのだ。


「なんと言おうと禁止!」


「薫、考え直…「イシュ様!薫様はこれからやる事が沢山ありますので、出て行ってください!」


そろそろ対抗の意見がつきそうなとき、何ともナイスタイミングでマーサさんが割り込んできて、あれよあれよとイシュは追い出された。あ、ありがとう……!大好きだ!


「イシュ様に春が訪れたのはいいですが、全く…薫様も何か困った事があればいつでも私を頼ってくださいね」


う、ぅぅ!ここに味方が!姉御ぉ!感動しました!


「薫様っ私達もっ!私達にも頼ってくださいね!!」


他のメイドさん達も言ってくれる。

うわぁ!皆ぁ!私達が友情を深めた一瞬だった。


「さぁ!薫様!贈り物を解きますよ!私達だけでやってもよかったのですが、こう言うのは自分で開いた方が楽しい物でしょう?」


流石!女心をよくわかってらっしゃいます!

こうして私達は仲良く贈り物を解き始めたのでした。


1章が終わらない!

イシュ目線やろうか迷ってます。

希望があればお願いします(>人<;)


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