4【俺TUEEEEEEE】それでも俺は、冒険者に憧れる【したいんです】
主人公の地の文での口調がころころ変わるのは仕様です。
物語に展開があるのは次回から。
それから二日程、同じように水汲みやら家事やらして過ごした。
初日は、時間かかりすぎ+下手すぎワロスwwwwwwって感じだったが、今では立派に主夫になりました。
家事スキルが気付いたら6になってます。
キルトの家事スキルがどのくらいか知らんが、大体同じくらい動けるようになってる。
ステはこんな感じ
ステータス(カッコ内は前回比)
Str 6/99(+2)
Agi 1/99
Dex 5/99(+1)
Vit 5/99(+2)
Int 1/99
Strは一昨日で5になり、昨日6になった
Dex・Vitも同じく一昨日で5になったが、昨日は上昇しなかった。
昨日一昨日とやってる内容はほとんど変わらなかったはず。
これらのことをベースに、この世界のステのシステムを考えてみる。
1・5→6にする為に必要な経験値が多い、あるいは5以降必要経験値が一気に増大する
2・家事で上げられる数値の上限が決まっている
3・家事に慣れた(家事スキルが上がった)ため、獲得経験値そのものが少なくなっている
今ぱっと考え付くのはこんな感じか。
とはいうものの、正直ここから先は現状では判断のしようが無い。
家事を三日やった程度で、世界のシステムそのものを理解できるほど優しくは無いだろう……たぶん。
この世界で生きていくうえで、システムを理解することは、真実の目を持っている俺にとって大きなアドバンテージになるはずだ。
人生の選択によってシリアス5で固定されている以上、やれることはやっておきたい。
まだ死にたくないし、ナデぽもしてないしな!
「リョウさ~ん、洗い物終わりましたか~?」
「後ちょっと~」
そんなことを考えながら、私こと冒険者を目指しているはずのリョウは、今日も今日とて家事を頑張っています。
でも、こんな日常もいい……かも……?
「ふっ!ふっ!ふっ!……」
ステとスキルが上がったおかげか、今日は家事を終えてもまだ時間と体力が残っていた。
なので、現在絶賛素振り中である。
素振りと言ってももちろん野球の素振りではなく、剣の素振りだ。
まあ、振ってるのは木の枝なんだが、それは置いておいて……。
なぜかといえばそれはもちろんあれですよ、あれ。
ファンタジーなんだぜ?
剣と魔法の世界なんだぜ?
俺TUEEEEEEEEEが夢見れるんだぜ?
男の子としては俺TUEEEEEEEEを夢見ざるをえないだろう、常識的に考えて……。
そんなわけで、体力と時間がある以上、少しでも強くなる為に努力してるわけです。
最初は素人がお手本も無しに素振りするとか、よくないんじゃね?とか思い、ただの筋トレにしようと思ってたんだが、あることに思い当たって素振りにした。
あることってのは『スキル』の存在だ。
ここ数日の家事手伝いで、俺には『家事』のスキルがついていることを確認している。
一番最初に確認した時には存在しなかったにもかかわらず……だ。
しかもこのスキル、レベル制であり、やればやるほど伸びている。
ここで考えられることが一つ。
もしや各種技能はスキルレベルで表され、最初は全て0であるだけなのではないかということだ。
ある種、当たり前と言えば当たり前なのかもしれない。
ただこれが本当だとすると、筋トレなんて効率が悪いことになる。
なぜならStr、おまけでVit位しか上がらず、戦い方そのもの、すなわちスキルレベルには影響が出ないからだ。
この世界の計算式が、ステータスよりなのかスキルレベルよりなのかは分からないが、片方が0なのはさすがにお粗末過ぎる。
ということで、俺は素振りをすることにしたのだ。
簡単に言えば、「訓練するなら剣の練習もしたほうがいいよね」これだけなのだががががが。
とまあ、脳内で絶賛一人討論会中の俺だが、そんなことしつつもキチンと素振りはしております。
そしてそんな俺を眺める一人の男……というかおっさん。
「…………」
まあ、ここにいるおっさんなんて一人しかいないので、もちろんラルフさんです。
俺が素振り始めた直後、ちょうどよく狩りから帰ってきたのかばっちり会いました。
ちなみに、手には獲物。採れたてピチピチであろう、ウサギっぽい何かです。
この肉は初めてです。血がついて黒っぽくなってますがグロイとか言ってられません。
後でさばくの手伝って、しっかりと夕ご飯にしようと思います。
どんな味なのか、今から楽しみですよ。
閑話休題
さて、素振りを始めて直ぐにおっさんと遭遇した俺。
おっさんは最初、スルーしようとした。
俺も俺で、なんかへたっぴなのを練習してる所を見られて、若干気まずかった。
ので、双方スルーのままフェードアウトになるかと思ったんだが……。
おっさんが見てくるんですよ。
通り過ぎながら、首の角度を変えつつ、ずっとこっちを見てくるんですよ。
しまいには、首が180度回ってました。
そして顔には、『言いたいことがあるけど言っていいものかどうか……』と微妙な優しさと困惑を混ぜ合わせた表情が出てました。
そこで強くなろうと決めたからには恥なんて関係ねぇ!つーか見られたし今更だろ、常識的に考えて!
という思考になった俺は聞きました。
「何かアドバイスはありますか?」
「握り方がおかしい。脇を締めろ。足の開き方が変だ。足の踏み込みが……」
ダメだしキターーーー!
なんていうかね、この一瞬でそんなに分かるものなのか……と。
っていうか、いくらスキルレベル0とはいえ、そんなにダメな部分が多いのかと。
ていうかオッサン容赦ねえなと。
まあ、強くなろうと思ってる俺ですから、もちろん素直に聞きましたよ、ええ。
ステータスが平均30くらいあるんですよ?
狩りとかしてきちゃうんですよ?
っていうか、明らかに人とか殺してそうな顔してるんですよ?
そんな人が言う言葉を素直に聞かないとか、考えられないだろう、常識的に考えて。
そして今現在。おっさんも言うことを言ったのか、俺のことを静かに見守ってやがります。
時々『これで大丈夫?』的な視線を送るんですが、何もリアクションがありません。
大丈夫なのか、大丈夫じゃないのか、あるいは聞いたことくらい一度で覚えろってことなのか、わからないから困ります。
まあ、最初にあれだけ細かく教えてくれてたんだし、多分このままでいいってことなんでしょう。ていうか、そうであってくれ。
「ふっ!…………ヴァー」
おっさんに見られると言うプレッシャーを浴びながらの素振りに体力が限界を向かえたのか、悲鳴と言うにはおかしい音を発しつつ、俺は地面にぶっ倒れました。
少し目を閉じて休憩。
地面の冷たさが気持ちいいです。汚れた服を洗うのは、明日の俺なので問題無し。
「おい」
そうして数分くらいぶっ倒れていたところ、おっさんが声をかけてきました。
目を開けて体を起こし、声のした方を向くと、そこにはおっさんといつの間にか持ってきている剣。
両刃の西洋刀。
サーベルとかそういうものではなく、なんというか、グレートソードっていう感じ。
日本刀のような美しさも無く、切るというよりは裂くという感じの使い方になりそうな剣。
古めかしく、ところどころに使われた後はあるものの、なんというか大切にされてたんだなぁと思わせる雰囲気を持っている。
何ぞこれ?という感じでおっさんの顔を見上げてみる。
「お前にやろう。剣をやるなら、いつまでも木の棒じゃ格好がつかないだろうからな」
そう言って渡される。
ずっしりと感じる重みは、木の棒とはまた違ったもの。
それと同時に、何か思いのようなものも一緒に受け取ったんじゃないか、そんな気分を味わった。
「ありがとう、これで戦える」
ニヤリと笑いながら、強がってみる。
「ふっ、言ってろ」
おっさんも笑みを浮かべながらそう言うと、踵を返して家のほうに向かう。
「夕食に遅れるなよ」
そう言って去っていくおっさんを見ながら、俺はもう一度、心の中で感謝を述べるのだった。
Name:リョウ
称号:記憶を失ったへたれ
HP:10/56
マナ:0/0(0)
ステータス
Str 7/99
Agi 2/99
Dex 6/9
Vit 7/99
Int 1/99
ユニークスキル
・人生の選択
どのような人生を送るか、設定できる。
本人の意思にかかわらず、数値に応じた人生になる。
数字が大きいほど高い。1~5で変動。最大5
シリアス 5(固定)
エロス 1(固定)
・真実の目
自己及び他人のステータスを、ある程度の範囲で確認することが出来る
スキル
・家事 Lv6
・両手剣 Lv5