ケイル
ティベリウムの街は、常に同じリズムで動いている。夜明けの静けさから、太陽が昇り始めるにつれて加速する車の洪水の騒音まで。人々は、画面の中の幻想に閉じ込められ、自分たちの世界から切り離されているように見える。この平凡さの中で、カエルはただ一日を過ごす。しかし、今日はいつもと同じではない。彼の心に響く記憶の断片、彼の道に現れる謎の人物、そして彼の机の上にある奇妙な本が、彼の現実を揺るがし始めている。平凡な人生は、運命が書かれたページをめくる準備ができている。
(ここに、以前に提供されたチャプターの本文が続きます。)
場面1 – ティベリウム – 午前6時33分
数百台もの車のタイヤが、ティベリウムの広い通りを絶え間なく進んでいく。朝日が、近代的なビル群の広い窓に反射し、街全体が金色に輝く鏡のように見えた。それは、まばゆく、そしてどこか異質な光景だった。
人々は、1時間にわずか3キロメートル程度の速さ
でゆっくりと歩いていた。スクリーンの中のテクノロジーに夢中になり、まるで小説の中にいるかのようだ。彼らは決して顔を上げず、一瞬たりとも、音や、匂いや、心の動きといった感覚に気づくことはなかった。
カエル(ナレーション):僕はいつもこういう人たちを見る。僕が知っている人たち、平凡な人たちのように見える。
場面2 – 研究所の屋上 – 午前9時41分
空は澄み渡り、太陽は強烈だが、優しく降り注いでいた。研究所の屋上は、ツタで覆われた緑のフェンスで囲まれている。遠くの東の方には、寺院や仏教の記念碑が山々の間にそびえ立っている。そして西の方には、いくつかの家、アパート、点在するホテルが見える。
カエルは目を細め、静かに数え始めた。
「……10、13、14、21。大きな看板を掲げた21人もの人々……カトリック。残りは封鎖されている。建物……まるでウイルスみたいだ。もっと多くの場所がこれらの建築物に感染している……」
彼は軽蔑に満ちた声で呟いた。
その時、屋上へのアクセス扉が外側から静かに開いた。彼はそこに、以前見たのと同じ、暗い人物がいるのを見た。
「最後にチャンスをあげよう。今、君が誰なのか教えてくれ」
その人影は、ぼやけていて、黒く、顔は見えない。歪んだ、中性的な声で答えた。
「君は知る必要がある……君が本で見たものを……そのコデ……」
「おい」カエルは遮った。「僕の質問に答えろ。君が誰だか知らないし、君の言葉や、あの奇妙な本や、僕に起こっていることすべてを受け入れるつもりもない」
カエルの視線は険しくなった。
「どういうつもりだ?僕を実験動物か何かのように見ているのか?飼い主が何も知らないのに忠実な犬のように?」
(沈黙)
人影は言い張った。
「そんなことどうでもいいだろ……」
「何だって!?」カエルは声を荒げ、言い返した。「僕の人生で、僕の目の前に現れて、君は誰なのかはっきりわからないし、顔も見えないし、それから『そんなことどうでもいい』なんて言うのか……」
「君が誰なのか教えてくれるまで、もう一言も聞かない」
(沈黙)
そして、一つの最後のフレーズが影から現れた。
「君がしなければならないのは……」
躊躇なく、カエルはポケットからペンを取り出し、その人影に向かって投げつけた。
バン!
ドアが乱暴に閉まり、ペンは木に跳ね返った。すべてが静寂に戻った。
場面3 – 帰り道 – 午後3時12分
学生たちの騒ぎ声は徐々に消えていった。カエルは少し汚れた靴で、バックパックを肩にかけ、正門を出て歩いた。太陽はまだ燃えるように暑く、まるで昼間が始まったばかりのようだった。
(歩く。ただ歩く。街区全体を。)
(家に帰るまで。)
彼は家に入り、怠惰に靴を脱いで、玄関のそばに置いておいた。生ぬるい空気が彼を迎えた。廊下を通り過ぎて、彼は立ち止まった。リビングのドアを見た。
(そして、記憶が蘇った。)
彼の心には、彼の兄弟たちの楽しそうな叫び声が浮かんだ。母親が料理をする手。
(疲れていたが、高潔な顔つきだった。祖父母の温かい抱擁。もはや存在しない、友人たちのコミュニティの笑い声。)
(……そして、すべてが色褪せていった。)
(彼は現在に戻った。暗い廊下。閉まったドア。彼の叔父が外で働いている。そして、彼は一人でいる。)
彼は自分の部屋に入り、バックパックを床に落とし、顔から倒れ込んだ。彼は天井をじっと見つめ、動かなかった。
(かろうじて聞こえる声で、穏やかに、しかし絶望の色をにじませて、彼は言った。)
「……僕でいたくない」
場面4 – キッチン/寝室 – 午後8時30分
キッチンは、何かシンプルな匂いがした。カエルは簡単に夕食を済ませた。彼はテーブルに座っていたが、食べ始めることはなかった。代わりに、目は机の方に向けられた。その上には、あの奇妙な本があった。
(コデックス)
彼はそれを長い間見つめた。深く息を吸い、立ち上がり、皿を脇に置き、その本を手に取った。
(彼はそれを開いた。)
(何もなかった。)
数分が経った。声も、光も、兆候もなかった。何も超自然的なことは起こらなかった。ただ、空白で読めないページがあるだけだった。
彼はそれを脇に置き、夕食に戻った。沈黙の中で食べた。それからデスクランプを消した。
(光が完全に消える直前……本の一番最後に線が勝手に書き始められた。しかし、カエルはそれを見なかった。)
コデックス・グノーシス・デイ – 断片VI
明日、一人が来るだろう、サイクルを破るために生まれた者が。
彼は王冠をかぶらず、見える光もまとわない。
だが、彼は与えられた名を持つしるしの中を歩くだろう。
天国によって。彼が踏みしめるところ、運命は分かれる。
夜の静けさは、カエルの部屋に蔓延している。デスクランプが消え、光が完全に消えた後、本の中の最後の線が一人で書かれた。彼が眠りについたのか、それともまだ目覚めているのかは定かではないが、彼はそれを見ていなかった。彼は、一日の出来事がもたらした疲労と混乱に身を任せていた。しかし、今や彼の人生は、予期せぬ道に分岐している。
彼の存在全体に重くのしかかる謎の重さ、そして彼が本で見たかもしれない、あるいは見なかったかもしれないメッセージ。それらはすべて、彼が望むと望まないとにかかわらず、何かが始まっていることを示している。明日が来たとき、カエルは自分自身と、彼がまだ知らない運命の真実に直面しなければならないだろう。彼は王冠をかぶらず、見える光もまとわないかもしれないが、彼の足元に運命が分裂する時が来ている。