声なき卓
深い夜、眠りの底で、世界は新たな顔を見せる。それは現実の法則が通じない、幻視の領域。
ある若者が、黒いノートに導かれ、夢の中で目にしたのは、神々が凍りつくほどの異形の存在。
そして、目覚めた彼の前には、ノートに記された、世界の終わりを告げるようなメッセージ。
果たして、これはただの夢か、それとも…
新たな夜が訪れ、全てが始まる。
シーン1:夢
世界には形がなかった。最初は。
虚空に浮かぶ円卓があった。それは何か薄い大理石でできており、支えとなるものは見当たらなかった。その周りには、六つの姿が座っていた。威厳があり、不動で、人間が作ったものと呼ぶにはあまりにもかけ離れていた。彼らは話さなかった。ただお互いをじっと見つめ合っていた。
それぞれが、燃え盛るような、まばゆいオーラを発していた。それは、踊るように揺らめく生きた光だった。空のような青い光がゆっくりとフェードしていく。まるでその体が嵐であるかのように、きらめく輝き。そして、共感とともに漂う、それでもなお、ほとんど不在の輝き。そしてついに、白い衣服を身につけた人影が一人。その額には、逆さの十字架が刻まれていた。
カエルは見ていたが、そこにはいなかった。彼は、見えない、もっと高いところから浮かんでいた。その卓は、巨大な議論の舞台のように見えたが…しかし、音はしなかった。
そして、最も深い闇の中から、一つの影が形を成した。暗く、威圧的で、静かだった。光でもなく、影でもない。ただ存在と、そして目が。その影は卓には座らなかった。しかし、他の全員―神々、彼らにとっては神々でしかなかった―は、その影の到来に凍りついた。まるで暗黙のルールが破られたかのように。
カエルは喉元を突き刺すような痛みを感じた。叫びたかった。理解したかった。そして、彼は目を覚ました。
シーン2:カエルの部屋
汗が彼の背中を覆っていた。
「…一体何なんだ…」
彼はそうささやきながら額の汗を拭った。
彼はベッドに座り、息を切らしていた。窓はまだ閉まっていたが、空気の感触がいつもと違った。彼は、その卓と、その影のイメージを消せるかのように目をこすった。
彼はまばたきをした。
黒いノートは机の上に置かれていた。閉じたまま。
しかし、彼は何かが起ころうとしていることを知っていた。
彼は慎重に立ち上がり、ランプをつけ、「コデックス・グノーシス・デックス」を取り、それを開いた。
ページは空白だった―ただ一枚を除いて。
シーン3:コデックス・グノーシス・デックス
ページは前回から変わっていた。もはや空白ではなかった。
奇妙な文字で書かれた碑文があった。それらは彼が見つめると薄れていった。しかし、カエルはそれを読むことができた。
努力は必要なかった。まるで彼の心が必要としなかったかのように。
それはこう書かれていた。
「コデックス・グノーシス・デックス・断章V」
「審判は告げられることなく、ただ感じられるのみ。七つのうち最初の一人が、招かれざる境界を越えよう。信じぬ者は、幻視を通して試されねばならない。そして、もしその疑いが続くならば…戦いは不可逆なものとなるだろう」
カエルは背筋に冷たいものを感じた。
それが何を意味するのかわからなかった。なぜそんな夢を見たのかも。あるいは、なぜその黒いノートが、彼が口に出さなかったことに反応したように思えたのかも。
彼はそれをバタンと閉じた。
仰向けにベッドに倒れ込み、目を大きく見開いた。
世界は静かなままだと感じながらも、何かがすでに始まっていたことを感じていた。
「コデックス・グノーシス・デックス・断章V - パートII」
「『戦いは血ではない、だが選択だ。名なきものが夜明けの門をすでに越えた。しかし、選ばれし者はまだ眠り…そして、夢の中で、彼は疑いを抱く』」
夜は静かに更けていく。
カエルはベッドの上で、ただ天井を見つめていた。
ノートに書かれた文字。夢で見た光と影。
それらは、彼の日常に差し込んだ、一つの亀裂のように感じられた。
それは、彼が選ばなければならない未来の予兆なのか。
あるいは、彼自身が、すでにその選択の中にいるのか。
風が窓の外で、かすかに音を立てた。
明日、世界は今日と同じ顔をしているだろうか。
彼の心に、答えのない問いだけが残った。
物語は、まだ始まったばかりだ。