99・番外編6・静インターセクト・5
「Bonjour Monsieur !」
金子の前を黒髪ショートの鳶色の瞳の女性が微笑んでいる。
(誰だ!?)
この人は見た事がある。ごく最近・・・
(・・・あぁ、思い出した!)
「静さん・・工藤静さんですかな?」
「Oui」
(やはり・・・しかし何故・・・)
5人の剣士は“工藤静”と聞き不思議そうな顔をしている。
「杏のおじいちゃん、ちょっと待って・・・はい、これ三島土産の福太郎餅ね。あとどうしてもお願いがあるんだけどいい?」
「あぁ、ありがとう。でお願いとは何かな?」
工藤邸の表札を指す。
「ここの康義さんの下に私の名前彫って!おじいちゃんに言っとくから!」
お姉さんと周りの剣士はええっ!っと言う顔をしている。
「あぁ、そうですね義秋兄ぃはOKするでしょうね、分かりました」
その言葉を聞いて満足そうにニコニコしながら刀をしまっている。
「あっ、あのう」
「はい?」
お姉さんが静に話しかける。
「工藤家の方なのですか?」
「はい!ここの嫁です!」
「はぁ、工藤家の皆さんはお強いんですねぇ」
「旦那様はもっともっと強いですよ!」
「旦那様ですか?」
「はい!康義さんです!」
「はあ?」
お姉さんが500円返してくれた。
工藤家の人から自宅の入場料は貰えないそうだ。
「静さんちょっとお話しを伺ってよろしいですかな?食事しながらでもどうですか?」
「じゃあ湯島の親子丼!」
「分かりました、すぐそこなのでご案内しますね」
S Pが店に電話を掛けている。
金子総理と静は揃って湯島天満宮方面に歩いて行った。
途中の屋台で“おけ丸”と言う文字が見えた。
覗いてみると何か丸い物が売っている。
手に取ってみたが、どこらかみても卓球のピンポン玉だ。
「コレは何?」
静が怪しいカイゼル髭とシルクハットという出たちの親父に聞いた。
「工藤家のペットおけ丸のお気に入りのボールだったそうです」
「そぉなの!?」
金子総理と護衛達は胡散臭い目で親父を見ている。
「はい、このメーカーの物にしか反応しなかったそうですよー!一日中遊ぶぐらい好きだったそうです」
「へぇーー!いくら?」
「1っこ1500円です」
(高い!いや、車と一緒で私は高いと思うけどこれが普通なのかも知れないし・・・おけ丸も喜ぶし・・・)
「よし!2こ買った!」
「おっ!まいど!」
親父はニタニタ笑いながら、新聞紙で作った袋にピンポン玉を入れた。
金子総理と側近達は“えぇーーー!本当に買うんですか?”っと言う顔をしている。
お金を払いピンポン玉を鞄に入れた。
静はご機嫌だ。
屋台から2分程で鶏料理屋に到着し直ぐに中に案内された。
「お待たせしました親子丼です!」
(おぉー!コレがおじいちゃんと旦那様が言ってたやつ!)
「いただきます!」
ご飯はちょっと硬めで上はトロトロだ。
「はぁーーー!美味しい!」
(ひゃー!トロトロだから飲み物のように食べちゃうわ!)
あっと言う前に平らげた。
「もう一杯おかわり!」
シラっともう一杯注文した。
「ところで静さんはどう言った経緯でこちらまで?」
「そうなんですよーそもそも箱根にリハビリに行く途中なんですけど、初日の1日だけ箱根用水で別件の仕事依頼がありまして・・・」
今までの経緯を話した。
「それはなんとも・・・」
「なんでこっちに来たのかも分からないんですよ、オリの組織を使ったとか治療のせいですかね?」
「ご主人から輸血とかは?」
「その手術の時に旦那様とおじいちゃんに」
「最近ですか?」
「先週・・・えっと5日前ぐらい?」
「あぁ・・・何かそこら辺も色々ありそうですな、とりあえず杏に連絡して向こうにも連絡しておきます」
「みんな心配してるかも知れないのでお願いします。あと柿田川の公園事務所に荷物預けてあるのでそっちの回収もお願いします」
おかわりの親子丼が運ばれてきた。
「わぁ!来た来た!いっただきまぁーす!」
(これは大好物になりそうね!)
「うん!おいしい!!」
本当に美味しそうに幸せそうに食べる静を、店の人達は嬉しそうに見ていた。
◾️◾️◾️◾️◾️
坂市総理と各省の幹部、天位全員が、いつもの音楽室に集合している。
「行方不明の工藤静天位が入口側で発見された。現在向こうの金子総理と行動を共にしているとの事だ」
『はぁ!?』
全員きょとんとしてる。
「えぇっと・・・うちの嫁は向こうに居ると?」
「どうしてそうなったのかわからないが、向こうの牧野杏主席技監から連絡があった」
「はぁ・・・」
「それで、向こうに居る静からお願いがあると言う事だ」
坂市総理は旦那である、おじいちゃんの方を向く。
「ん!?、俺か?、俺に何かお願いか?」
「向こうの工藤の表札の康義の下に静と彫って良いか?っと言う事だ」
『はぁ?』
「・・・いやそりゃもちろん構わんが・・・なぁ康義?」
「はぁ……まぁうちの嫁さんは元気そうでなによりです・・・」
「湯島の親子丼2杯も食べたらしいぞ?」
「あぁ、あれ静が好きそうな味ですからね」
「さすが親友!常に斜め上を突っ走っているわね!それは平熱の平常運転ね!心配して損したわ!」
「・・・そうね、あの娘だけは私も読めないわ、とりあえず心配は無しと言う事よ。杏、向こうの杏と打ち合わせお願いね。逐一報告するように」
「了!」
ウチの嫁さんはとてもマイペースである。




