95・番外編6・静インターセクト・1
「Bonjour!Ça va?」
「Ça va bien」
「静あんた、ニューカレドニアそんなに気に入ったの?」
「Oui」
ニューカレドニアはフランス領だ。ちなみにすぐ隣のフィジーはイギリス領だ。
「じゃあ、またウチの材研の護衛仕事の出張行ってよ」
「Oui Oui 出来れば旦那様と一緒に行きたい・・・」
「ところで静は明日から箱根に行くの?」
「うん、2週間ね!」
「良いなぁー」
「でも一応リハビリ?だから」
静は身体を痛めて一線を引いたが、ゆっくり過ごしてバランス良く食べて、更には温泉や針治療などして居る。
後はオリの組織を使った新しい治療もためしており、だいぶ良くなっている。
かなり時間制限はあるのだが、全開で戦えるぐらいに回復している。
あとこれ以上は良くはならないので、どう現状維持するかと言った感じだ。
引退し控え天位になったとはいえ、緊急時には徴収される義務が発生する。
フルで戦えないとは言え、免許皆伝者など寄せ付けない圧倒的な強さがあるからだ。
それ故に控えとなっても国から最新の治療を受けられ、リハビリ費用の国庫負担など厚遇される。
オリの組織を使った治療はまだ実験段階だが、こういう特別な治療も受けられる。正直、人体実験であるが・・・
「雪華は持って行くの?」
「もちろん!」
「それなんだけど、えーっとねぇー」
「何よ?」
「この六花白雪をしばらく使ってくれないかしら?」
「ん?」
杏に渡された剣をゆっくり抜く。
「何コレ!長っ!」
「あんたが最初に使ってたエンプレスと同じ長さよ!2尺6寸ね」
鯉口を切って鞘から抜くと白い刀身が現れた。
「白っ!・・めちゃ軽い!気持ち悪っ!」
「はぁ?酷い言いようね!3世代新骨格を改良したプロトタイプよ!」
「へぇーーーー!・・・・コレ、新しい?」
「新しいわよ!何その切り返し!なんなのよ!」
杏によると強度は新骨格現行・第3世代の80%程度の強度らしい。
ただ重力は35%も軽い。
向こうの杏が現行の新骨格で剛刀を作ったら重すぎたらしい。
新骨格は従来の刀剣より25%ほど重い。なので現状は樋を入れたり重ねを少し薄くしたりしている。
その新骨格剛刀作りプロジェクト?のテスト試作品と言う事だ。
鋼の日本刀より軽くて丈夫と言う事らしい。
六花白雪をそのまま受け取り杏に雪華を渡す。
「ふーん、今日の洋服に合ってるからしばらく使ってあげる」
「あんた全身真っ白じゃん!子供がご飯こぼした最悪よねぇ」
「そうでしよ!ここ見て!ここ!円が飛ばしたケチャップ跡よ!落ちないのよぉー」
静が指した所は薄っすら汚れていた。
「あぁ・・・」
「泣けるのよぉ・・・」
「子持ち主婦として激しく同意するわ。まぁとにかく元気で行ってきてよ」
「美味しいお土産買ってくるねー」
******
最近は仕事で色々な場所に行くので、去年新車でランドクルーザーを買った。
大きな車だけど運転はかなり楽だ。
こんなにお高い車を買った事が無かったから、その価格にちょっとびっくりした。
高いよ!って言うから350万ぐらいかな?っ思ってたら・・・
全然足りなかった・・・
ディーラーで価格を聞いて倒れそうになった。
(はぁ、車ってほんとに高いわぁー)
納車時にハンドル周りにボタンがいっぱい付いていてビビった。
(これどれかが脱出装置ね・・・緊急時に押すと運転席が上に飛び出してパラシュートが出るのよね。映画でやってたから知ってるわ。とりあえず触んない様にしとこう)
隣でボタンについて説明してくれるセールスのお姉さんの話を全く聴かず、静は一人納得していた。
後部に着替えを入れる。その横にダンボール箱を入れるとおけ丸と白丸が乗り込む。
娘の円の長男の重秋を後部座席のチャイルドシートに乗せ、2人にお気に入りの鹿のぬいぐるみを抱っこさせ高速に乗る。
いつもなら子供は旦那様の康義さんに見ててもらうんだけど、康義さんも仕事で岐阜の方に行っているので、2週間の間、二人の子供とおけ丸・白丸を実家に預ける事にした。
2週間も孫達と過ごせるという事で実家の親も大喜びしている。
秦野中井インターを降り15分ほど走ると実家に到着した。
父のトミーカイラ の横にランクルを滑り込ませる。
母と父がすぐに家から出て出迎えてくれる。
円を車から下ろすと「じいじー!ばあばー!」っと抱きついた。
重秋は寝ている。
車内で騒ぐおけ丸と白丸も出してやると。ダッシュで両親の元に向かって行き、俺らも構えっと猛アピールする。
おけ丸と白丸は暴れないように母が両脇にしっかり抱えた。
暴れ足りない2匹の尻尾は、気持ちしょんもりしていた。
家の中から行ってらっしゃいっと手を振る円に、クラクションを2度鳴らし応えて秦野中井インターに戻って行く。
東名に入り1時間程走ると裾野インターに着いた。
すぐに左にハンドルを切り国道に出ると、可愛いパスタ店があったので遅い昼食を取るために入った。
スパゲッティ・ネーロとカンノーリとエスプレッソを注文する。
湯気を上げたスパゲッティ・ネーロが運ばれて来る。子供が一緒だととても食べられないスパゲッティだ。
(あら!ここの美味しい!!)
久しぶりに食べたイカ墨スパが大当たりで大満足だ。
紙のエプロンを外し、服にイカ墨が付いて居ないのを確認して店を出る。
少し戻り箱根方面に向けて走ると自衛隊官舎が見えた。
駐車場に裾野地区の兵站5ドアのジムニーが見えた。
ランクルを横付けすると、顔見知りの2人の女性兵站が敬礼をする。
「新下、いえ今は工藤天位ですね。お久しぶりです!本日は宜しくお願いします」
「久しぶり!はいコレお土産ね」
「静先輩ありがとうございます!」
東京駅限定日清カップ麺もんじゃ焼き味と、東京バナナ・東京駅限定じゃがポックルを屯所の人数分渡した。
女性が多い屯所なのでめちゃ喜ばれた。
頑張って選んだ甲斐があってとても嬉しい!
この後本部から頼まれた仕事で、一般に箱根用水と呼ばれる深良用水に、発生した光を彼女達と調査しに行く。リハビリ前のひと仕事だ。
ランクルの助手席に移り、道に詳しい隊員に運転をかわる。
ジムニーと2台で現場に向かう。
黄色いジムニーは人気があるらしく手を振られている。
裾野から見る宝永口のある富士山もなかなか素敵だ。
「富士山ってかっこいいよね!」
「静先輩何ですかそれ!ウケる!」
用水に向け箱根方面に戻るように車を進める。
いよいよ深良用水1.2キロを調査だ。




