74 番外編1・受け継ぐ者・参
寛文新刀・[兼先]2尺2寸6分 反り5分
優しい姿で、のたれの刃文が揺らめく波のようだ。
(意外な事にのたれの刃文の日本刀は少ない)
兼坊、これは私が使ってた刀だ、優しい形の剣だが、奴らを斬っているから性能は証明済みだぞ!
今回はバランスの関係で極く浅く樋を入れて拵も作り直した。
兼坊に合わせた刀だよ。 軽くバランスを良くして、速度ある剣を放てるようにしてあるよ。
天正拵で柄は少し短く鍔は極小になっている。
濃い紺色に九曜紋が入った、絹の刀袋に刀を入れてくれた。
それとなんと帯刀許可証だ!
四門流 三枝兼廣殿 警察庁公安部許可
(この前おじいちゃんとのころに来て、俺の稽古を見た金子さんが公安の人だったらしい)
何か認めてもらえたみたいで、とても誇らしかった。
「俺の1番の宝物だよ!」
っと言うと、おじいちゃんは大笑いした。
そのまま刀を持って帰ったが、この時間は家には誰もいないので刀を持っていても大丈夫だ。
部屋に入って右にある、デカいクローゼットに隠した。
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兄と弟が帯刀許可試験を申請した。
うちの父が推薦者で、審査はもちろん公安部の人だ。
試験は刀で畳表を丸めた物を斬ったりするのだが、2人とも何度か斬りそこね刀を曲げたが、親父のゴリ押しでギリギリ合格となった。
これで帯刀している時は、必ず戦わなくてはいけない義務が2人に発生した。この義務を果たさない場合は永久剥奪になる。
ただし人命救助の為、一時的に現場を離れる事はその限りでは無い。
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試験で刀を曲げた2人は、父から合格祝いの新しい刀を渡された。
2人は翌日からそれを得意げに差し、一緒に通学した。
学校は一貫校なので同じ敷地内で校舎が分かれる。
俺と兄は高校、弟は中学だ。
周りの男子生徒からは羨望の眼差しで見られた。女子も騒がしい。
「なんかあんたの兄弟、調子に乗ってるわよね」クラスメイトの坂市桜さんが隣に来てボソッとこぼす。
彼女は気が強く姉御肌で、クラスの女子にとても人気がある子だ。
「やっぱ嬉しいんじゃないんでしょうか?」
「あんたは悔しくないの?」
「いえ?全然無いですけど?」
「はぁ、あいつらなんかやらかしそうだよ・・・」
「それ、フラグになるのでやめて下さい。」
「あら?結構余裕ね?」
「いえ、そんなんじゃ無いです」
「まぁいいわ、あんたの方がちゃんとしてると思うわよ?」
「は?あっ、ありがとうございます。何か恥ずかしいです」
彼女は笑いながら手を振って、教室に入って行った。
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1時間目の授業はホームルームで、議題は来年度の湯島のお祭りについてだ。
毎年、湯島の梅祭りに学校で何件か出店する事になっている。そのメンバー割り振りだ。
俺は焼きそば係になった。結構大変だけど頑張って売ろうと思う。
(料理大好きだしね!)
なお、この祭りの警備にうちの父も近所なので参加している。兄と弟も警備として参加だ。
最近は結構あの「オリ」とか言う化け物が増えて来たような感じがする。
このように人が集まるイベントが、こんな警備で良いのかとても不安だ。
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東京でサミットが開催された。各国のVIPが来日し、どう言う訳なのか神田明神の地下に閉じ込められた。
工藤のおじちゃんが救出部隊で参加し仲間の人間に刺された。その途端消えた。消えてしまったのだ!
この時、オリより人間の方が邪悪なのでは?と心から思った。吐き気がした。




