13 朝電
「花通りの」ピアノの音で起こされる。
時計を見ると10時だった。
よく寝た、いや寝過ぎか?
スマホをとり着信の「静」を確認し着信をタップする。
「きっ、昨日怪我の出撃は大丈夫なの?」
冷静そうに聞こえるが文脈が変だ。
(確かこっちの反応の方が、本来の彼女に近かった記憶がある)
つっこんでもしょうがないのですぐに答える。
「おはよう、誰かに聞いたのか?左手の打撲程度だよ」
「あっ、寝てた?」
「あぁもう起きる時間だから構わない」
「仕事?」
「いや今日は18時24時だから大丈夫だ」
「兵站は応戦しないですぐに逃げるの・・・」
「ん?」
「戦闘動画見たから・・・」
(ああそうか、誰でも閲覧可能だっけな)
「そうだな我々はドローン飛ばして撮影しなきゃだな」
「あとの画像はよくわからなかったけど・・・ナイフを刺したとか聞いたよ・・・」
「そうそう、十手はすぐに新しいの支給されたけど、ナイフは自腹だからなー、刺さったまま検体に回すって言って持ってかれた。まあ曲がってるっぽいけどな」
「無理はしない・・・」
「了解わかった」
「んー今日は水道橋までナイフ見に行ってみるかな」
「マーチで?」
「それは無理だな、ハンドル重くて回せない」
「私のココアちゃんオートマだから貸してあげたいけど、鍵持ってきちゃったから・・・」
(ココアちゃん?って何?)
「今度家の鍵とかと一緒に渡すね」
「ありがとう、歩いても30分かからないから歩くよ」
「じゃあ任務に戻るね」
「静、気をつけて・・・また明日な」
「・・・はい」
(家の鍵やら渡す気だな、こっちのも渡さないとな・・・)
すっかり目が覚めたので、キッチンに行きトースターに食パンをいれる。
モーニングカップに濃い目にインスタントコーヒーを入れ、そこに牛乳を半分入れる。
トースターから焼けたパンを取り、ビバ・ラスベガスを歌いながら、スキッピーチャンクを塗った上にブルーベリージャムを塗る。
(この食べ方でエルビスプレスリーは太ったとか聞いたたな)
甘じょっぱくなった舌をカフェオレで洗う。
シンクに皿とカップを置きエドウィンのジーンズとミレーのシャツを着る。
こっちに来た時に持ってきたお気に入りの自動巻き腕時計SEIKOカクテルタイムを着ける。
いつ見ても美しい。
こいつは2010年にバーテンダー石垣忍とのコラボで、カクテルをモチーフに作られ販売され、
驚く事に6R15のムーブメントが使用されていた。
今はプレサージュシリーズになり販売されているが、
ムーブメントが1ランク下の4Rになってしまったのがいささか残念ではある。
(4Rももちろん性能は良いのだか・・・)
腰にピューマのボウイナイフを付け、クローゼットから黒いヒューストンM51を羽織って外に出た。
水道橋でなく何となく昨日の現場、靖国に足を向ける。
◾️◾️◾️
この前より違和感はないけど・・・
何だろう?
静、気をつけて・・・また明日な
ちょっと大人の康義さん?
悪くはありませんが・・・
ちょっとにやけてしました。
「ツガイが任務中怪我をした!」
っと連絡を受けた時はさすがに狼狽えた。
だけど怪我も大丈夫そうだし・・・
・・・はやく帰ろう。




