11 2つの記憶
本日、もう1話更新予定です。
「ところで牧野」
「はい?」
「思い出した、いや知ってた?、」
「んーーー違うなぁー何といっていいのか・・・、」
「近いのはにじみ出て混ざったかな?」
「はい?何のですか先輩?怪我ですか?」
「こっちの俺の記憶がにじみ出して混ざったんだよ!」
「はあ?あっ今は両方の世界の記憶があるんですか?」
「そうなんだよ、とってもややこしいなこれ、知らないけど知ってる」
「まぁそれはそうでしょうね・・・2倍ですからね、」
「とりあえず静さんには、がっかりされないですむのでは?思い出しましたか?」
「大丈夫だ、彼女の事は思い出した」
考えれば考えるほどよく分からない。
こっちの自分はどうなったのか?
あっちの世界は俺が居なくなってどうなったのか?
まぁ考えるだけ無駄だと思うが、つい考えてしまう・・・
病院の手続きは総務科の仕事だそうで牧野の運転する車で病院を後にする。
屯所に着くと小隊長とあの2名の侍が迎えてくれ頭を下げた。
「我々はチームなのですからお気になさらず、「ありがとう」でいいですよ」
笑いながら答えた。2人も安心した顔をした。
「ところで工藤主任はかなり使うようですが?新下天位のご指導ですか?」
「いえいえ、たまたまですよ。彼女には「少しは武術をやった方が仕事的にも良い」っと常々言われてまして、ここ1年ばかり素振りとかやってるんですよ」っと言っておく。
「なるほど、兵站は現場の科ですからね、納得です」
新下静との付き合いは、彼女が有名人である事から全員が知る事である。ただ向こうの世界のアイドルと、扱いは全く違うから安心して?いいらしい。
こっちの俺は幼なじみで婚約者の彼女のサポートをする為に、、護国省に入省したらしく皆が好意的に見ているそうだ。仲も良いので「ツガイ」とか言われ、俺は「旦那様」とか呼ばれているらしい・・・
(知ってる俺と知らない俺の記憶のおかげで、何とも言えない気分だな・・・)
こういうものだ!っとそのうち慣れることを期待する。
机に座りこっちの車両のドラレコで撮影されていた戦闘動画を取り込み、日と場所を入れ指定の動画フォルダに格納する。
報告書には入力せず日付の下に動画のハイパーリンクを貼り保存する。
発生時間・個体数・対応人数と段位と使用武器や個人討伐数など、細々したデータ入力は靖國側の輜重兵科で入れてくれるそうなので、「ホルダーに入れたから後はよろしく」っとメールを送る。
キッチンにぶら下げてあるシエラカップに山専ボトルから麦茶を入れ遅い昼飯を食べる。
これは昼を食いっぱぐれた俺達を不憫に思い、小隊長が日本橋の老舗煮物の弁当を買ってくれていた。
この弁当はどっちの工藤も好物だった。
(食べ物の好き嫌いは一致してるようだな)
それにしても泣けるほどうまい!
冷えてもうまい!
こう言ったちょっとした細やかな配慮が何ともにくい!出来る男は違うなと思った。
その後2時間は何事もなく過ぎ18時になり次の班と交代し帰宅する。




