表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

#1 前世の記憶

いわゆる処女作です。

何卒応援いただけると嬉しく思います!

まだここは、本筋に入らない序章です。

 俺は子どもの頃から漫然と過ごしていたけれど、二十歳を迎える前に焦りを覚えて一念発起して何者かになろうと頑張ってみた。

 自堕落な生活でぶくぶくと太った体をまずは減量しようと思ってジムに通って、食生活も改めたが、どういうわけか痩せない。


 一年経って体組成計で計量して愕然とした。

 筋肉量が増えていないどころか、体脂肪率も体重も増えている。

 誰かがイタズラで設定をいじったのか?

 ジムのスタッフに見てもらったが、どうも異常はないらしい。

 むしろ俺の食生活に疑念すら抱いている。

「本当に食生活気をつけてる? 間食とかいってハンバーガーをばくばく食べてんじゃない?」

 そう言われたときは流石に憤りを覚えた。

 覚えた……が、元来から感情を露わにして怒ることができない性分で、俺はへらへらと笑うしかできなかった。


 体型がどうにもならないなら、絵を描いて上手くなってみようと思った。

 が、これもダメだった。

 毎日十二時間以上絵を描いてみて半年経っても一向に上手くならない。

 なんというか、手がずっと震えてまともな線が引けない。

 これは何かの病気じゃないかと病院で診てもらったが、至って健康体。

 神経に何も以上は見当たらないと言われてしまった。


 何に手をつけても上達しないし、もちろん勉強だって何かしら資格を取ろうとしてみた。

 これは本当につらかった。

 覚えたそばから底の抜けたバケツのように忘れてしまう。

 再び病院で診てもらって、「異常なし。ただの怠惰」とレッテルを貼られる始末。


 そんな日々だから、話せる相手も少ないだろうに成人式で開かれた同窓会なんかでは行かなきゃ良いものを、どうして行ってしまったんだろう。

 高卒デキ婚でもそれなりに恵まれて暮らせている奴や、元々周りから天才と呼ばれた子が平然と東大でも才能を発揮している将来有望な外科医志望、国体からそのまま世界的な大会を狙っているアスリート。

 かたや俺は義務教育が始まってからずっと勉学も運動もできない最底辺。

 周囲に見下されているチー牛にさえ見下される始末だった。

 同窓会が始まって三十分もしないうちに、俺はひっそりと会場を立ち去った。


 そして三十歳を迎えた今年。

 俺は毎日通販サイトの倉庫で年下のSVスーパーバイザーにキツめの「指導」をされながらピッキングの仕事をしている。

 この歳になっても、非正規雇用の超薄給で働く俺は、紛れもなく弱者男性だろう。


 趣味といえば、AIで作ったイラストを眺めて股間を慰めることだけだ。

 アニメを観る元気もなければ、マンガの字を追えるほど集中も続けられなかった。


 ある日、いつものようにだらけた態度で仕事に勤しんでいると、急に胸の部分が痛み出した。

 やがて呼吸すら苦痛になって、たまたま近くにいたSVに訴え出るも「テメエ怠けようとしてんじゃねえよカス!」と思いきり蹴飛ばされる。

 俺は受け身すら取れずに地面に倒れ込み、そこから起き上がることができなかった。

 SVの怒号がぼんやりとしたノイズのようになって、視界がぼやけ、呼吸できているのかすら怪しくなってきた。

 今、目を閉じたらきっと死んでしまうだろうな。

 そんなことを考えながら、俺は三十歳の生涯を閉じた。

この先の展開も気になる、と思っていただける方、何卒ブックマークや★★★★★をいただけますと幸いです!

筆者の励みとモチベーションになります。

海よりも深く感謝します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ