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欺瞞と強がりのロンド

投稿遅くなってごめんなさ〜い……

今回も楽しんでってください!

遡ること数十分前、コバルト色の髪と目を持つ幼女「ネモフィラ・ネメシュレア・レインブルー」は白の髪と翠の目を持つ幼女「雪花・フロストヘイズ」の5歳の誕生日祝いをするために彼女の屋敷に向かっていた。

彼女の好きなアップルパイもフルーツサンドもしっかり忘れずに作って来た。

鼻歌を歌いながらスキップで山を登って行く。

あたりは雪が積もっており太陽の光を吸ってキラキラと輝いていた。

5歳の誕生日はこの世界では特別なものだ。

ほとんどの子供たちが神託を受ける日でもある。

そんなことでネモフィラは昨日の夜から上機嫌だった。

彼女にはどんな能力と名前を神様から貰うんだろうか?

以前から神託を授かった後は一緒に冒険者としてパーティーを組もうと言っていたので今日早く彼女の家に来たのは誕生日祝い兼冒険者登録をすぐにしに行くためである。

心なしか今日も空気が澄んでいる気がして清々しい気持ちになる。

時々木の枝に積もった雪が落ちる音が聞こえ、いつもはとても面倒な少し長い山登りも飽きずにあっという間に終わってしまった。

そこには大きな黒い屋敷があり、周りが雪で真っ白なのも相まって圧倒的な存在感を醸し出していた。

どっしりと構えている黒い鉄製の門の鍵を開けようと触ると冷たさに驚き思わず「ひゃっ!」という声が出た。

少しだけ魔力が体から門へ流れるのを感じた後すぐに門は大きな音を立てながらゆっくりと開いた。

そこから敷地に入るとカラフルに彩られた庭が見えた。

庭には全国から取り寄せたという花々が花壇で咲き誇っていて雪と花が同時に存在するという歪さがより互いの美しさを引き立てていた。

中でもつい数年前に復元された超古代の花の少しクルンと曲がっている細く切った折り紙のような赤い花びらが強く印象に残った。

「くしゅんッッ!」

少しうっとりしていると寒さからくしゃみが出る。

早く彼女の家で温めてもらおうと玄関まで向かい彼女の名前を呼ぶ。

「ゆ〜きちゃんっ!来ぃたよっ!」

返事は返って来なかった。

「お〜い!雪ちゃ〜ん?」

今度はドアを叩きながら言う。

またも返事は返って来なかった。

彼女の親もいないと言うことはもしかしたら裏の訓練場で朝の戦闘訓練をしているのかもしれない。

本人も朝の日課と言っていたし今日は楽しみすぎていつもより早く来てしまったし。

まぁ彼女は私のためにいつでも入れるように鍵に私の魔力を登録してくれたし久しぶりに彼女がどれだけ強くなったかも見たかったので訓練場の方へ行ってみることにした。

花のアーチに囲まれた道を通っていくと段々と出口が見えて来る。

少し目の前が眩しくなった後そこを抜けるとさまざまなな地形や環境を模した訓練場が全て雪で覆われていた。

何かしらの足跡が一切存在しなかったため一面白の絨毯の様だった。

サクサクといわせながら雪の上を歩いていく。

あたりはシンッとしており自分の心臓の音が聞こえてくるくらいだ。

しかしそのあまりにも静かすぎるのが少し気味悪かった。

あたりをよく見ていると雪とは違う白を見つけた。

なぜかそれは赤黒い色が混じっていて微かに動いているようにも見えた。

恐る恐る近づいてみる。

するとそれは雪花であることが分かった。

そしてその目の前には首無しの死体と人間の頭部が2人分転がっていた。

「キャァァァァァァァァァァ!」

思わず悲鳴を上げた。

何も考えられなくなる。

目の前に転がっていたのは雪花の両親だ。

間違いない。

昨日まで言葉を交わしていた人間が死んでいたのだ。

雪花だけはなぜか生きていた。

血で一部が赤く染まった髪をなびかせながら振り向く。

その顔は5歳児のしていい顔ではなくまるでこの世のすべてを憎んでいるかのような顔をしていた。

なぜこうなったのか?

どうして彼女だけは生き残っているのか?

ひょっとしてこれをやったのは……?

そんな疑問が湧いてきた。

それだけは信じたくないと考えないようにする。

彼女の方を見ると息も絶え絶えで手にはナイフが突き刺さっていた。

「ねぇ……大丈夫?怪我してるの?どうしてこうなったの?」

私は彼女の怪我を確認しようと彼女の体に触れた。

酷く冷たいと感じた途端バチンという音と共に手のひらに痛みと熱さが伝わる。

「触るなッッッ!」

彼女は距離を取り手に刺さったナイフを乱雑に抜き、こちらに向け威嚇していた。

その気迫は親友に向けるようなものではなくまるで親の仇でも見つけたかのような勢いがあった。

私は突き放されたことにショックを受けるよりも先に怒りが沸いていた。

ただ心配してただけなのにどうしてなのかと。

彼女は続けて紡ぐ。

「ネモフィラ……二度と私に近づかないで」

先ほどまでの怒りも吹き飛んで悲しみが押し寄せる。

それは彼女が本気で言っていて雪花が本気で全てを捨てる覚悟が出来るほど彼女は深い絶望をしていたことを意味しているからだ。

このままだと私は二度と彼女と関われなくなる気がした。

「嫌だッ!」

私は拒絶した。

彼女と縁を切ることを。

このままだと彼女が私の知る彼女ではなくなる気もした。

私はそんな風になる彼女を到底受け入れられなかった。

「何か辛いことがあったのはわかるよ?だからってみんなを避けて一人で抱え込むくらいならせめて私にだけは相談してよ……」

だってあなたはいつだって私の希望になってくれた。

いつだって私を慰めてくれた。

私だけの勇者になってくれていた。

だからせめてわたしも助けになりたい。

道を外させたくない。

だからお願いだから私を一人にしないで欲しかった。

「とにかくお前に相談することはない。

それにお前みたいな雑魚と冒険する気はない。」

彼女の意思は堅かった。

私の入る余地なんて無い気がした。

気づいたら大粒の涙が溢れ出していた。

「……え?」

ボスっという音と共に彼女は握っていたナイフを雪の上に落としていた。

そして彼女はそんな私を見て苦しそうな顔をしていた。

私には到底信じられなくて一瞬フリーズした。

雪花は無情に私を捨てるわけじゃなかったこと。

私を巻き込みたくなくて捨てるようだったこと。

彼女の気持ちが分かってしまった以上私にはどうすることも出来なかった。

彼女は落としていたナイフを拾い上げ、構える。

「え?何をする気?」

私は急に殺気を放ち始めた彼女を見て怯える。

「そっちも構えて?今からあなたがいらない理由を教えてあげるから。」

そんな彼女の言葉はもはや強がりにしか聞こえなかった。

私はどうしていいかわからなくてただ警戒することしか出来なかった。

少しの間シンとした時が流れた後、急に雪花は強く踏み出し私に肉薄する。

私はその殺気が近づいて来るのが怖くて後ろに引いた。

その瞬間彼女はさらに地面を蹴り上げ私の脇をくぐる。

懐に入られ、私は彼女が仕掛けてくると感じ無理な姿勢での防御体勢をとった。

しかし私の考えとは裏腹に彼女は私の横を通りすぎた。

そして私がよろけている隙に後ろから足に蹴りを入れられ体勢を崩し倒れ込んだ。

そこに組みかかられ、彼女は私の身動きを封じて喉元にナイフを当てがった。

「これが理由。自分が足手まといなの分かる?」

私は放心していた。

彼女は私が力不足だから捨てるんだと感じた。

だからいつか彼女の役に立てるように力をつけなければいけないと思った。

「おいっ!何をしてるんだ!!」

声のした方から大人たちが来て私と彼女は無理やり剥がされ、彼女は事件の事情聴取に連れて行かれた。

私の横を通る時彼女は私を見た。

私もぐしょ濡れの顔で彼女に必ず追いつくという気持ちで彼女を見ていた。

ボソッと彼女は何かを呟きその場を離れていった。

そこに残るのは白い雪に残る赤い血と私を心配するモブだけだった。

私はにぃっと無理やり笑って言う。

「絶対あなたを救ってあげるからね?私の勇者様(ゆきちゃん)♡」

最近疲れて家に帰ったらそのまんま寝落ちして床で寝てたけど久しぶりに寝落ちせずにベッドまでたどり着けて寝ました!

疲れの取れ具合とか全然違くて改めてベッド凄い……って感動した✨

面白かったらコメントとか好評価お願いしますm(_ _)m

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