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中 第四十九幕 戦場

ツッコミ所あるかと思いますが、バトルシーンです。

久々かもしれないw


ツッコミお待ちしておりますm(_ _)m……お手柔らかにお願いします(^_^;)

 曇空くもりぞらに覆われた町は文字通りの戦場と化していた。


 絶えずどこかで響く剣と剣がぶつかる甲高い金属音


「死にやがれっ!」


「クソがっ」


 口汚い怒号と喧騒が入り乱れ土埃と血の匂い、そして殺気が周囲に立ちこめている……


 ここまで本格的な戦いの場に出るのは初めてだ。


 私が周囲を見渡すと、烏の死骸が目に入ってくる。


(もしかしてレインフォルトの使い魔……?)


 私の脳裏にそんな考えが浮かぶ。


 そういえば今日はずっとレインフォルトの声が聞こえて来ない。


(レインフォルトに何か起こっているの……?)


 そこまで考えて私は思考を切り替える。


 考えても無駄なことより目の前の危機を脱することが先決だ。


 周囲を見渡すと御者の姿が見当たらない事に私は訝しむが、複数人相手に苦戦を強いられている帝国兵らしき男を見つけてそちらへ駆け出す。


 帝国側は隠密任務なのかガイウスを含め鎧をつけておらず、対して襲撃者達は傭兵感丸出しの武装をしているからわかりやすい。


 私の存在に気づいた傭兵崩れが私に向かってくる。


 抜き身の剣を振り上げ、駆けてくる男を私はしっかりと見据える。


 筋肉の動き、筋や関節の構造について最近はずっと治療に携わりながら観察してきた。


 そこから人間の動きをある程度予測できることに気づいた私は短期間ながらその感覚を磨いていた。


 私は振るわれんとする男の太刀筋の予測範囲から身をかわしつつ一歩前に出ながら剣の柄で男の顔面を打ち据える。


 避けたり防御をする動きを逆に利用して流れるように攻撃を繰り出せれば相手の攻撃後の無防備な状況を確実に突ける。


 相手の動きが読めるならばこれもさほど難しいことではない。


 間髪入れず襲いかかってきた次の刺客の剣をいなしつつ反撃に転じようとしたその時、私の脳裏に映像が浮かぶ。


 地面に転がる刺客、そして反撃を繰り出した体勢で止まっている私の……肘から先が無くなっていた。


 我に帰ると、私はまだ反撃を繰り出す前の体勢をとっていた。

 私は戸惑いながらも咄嗟に反撃を止めてその場から飛び退く。


 次の瞬間、何かが降ってきて派手な音を立てて刺客を踏み潰した。


 降ってきたのは人影……先程は姿が見えなかった御者だ。


 踏みつけられ呻き声をあげながら痙攣している仲間のことなど気にも留めていないかのような動きでゆっくりと身を起こした彼は大仰に体を反らすような体勢をとって私を睥睨する。


 相変わらずの包帯を顔に巻きつけた異様な風体……無言の圧と鋭い殺気が私を竦ませる。


 私は冷静になろうとするが、否応無く心拍数が上がり、先程の謎のイメージに肝を冷やす。

 おそらくあのまま反撃を繰り出していたら私の腕は……

 そう思うとゾッとする。


 目の前の異様な死神はただ不気味に黙し佇んでいる。


 アウラの脚を突き刺した緩やかな反り刃の剣が剣戟の音が響く中、ただ静かに怪しく鈍い光を反射している。


 突如、剣が閃き御者が地を蹴り駆ける。


 凄まじい速度と膂力を乗せた剣が瞬く間に私に襲いかかる。


 どうにかわずかな予兆を捉えた私は剣の通る予測範囲を大きめに躱しつつ反撃を試みる。


 御者は右手一本で剣を振りかぶっているため、彼の右側に円運動で回り込みつつ剣を振るうイメージ……


 恐ろしさを感じる方向ではあるが、人体の構造上、こちらへ力と加速を乗せた攻撃を繰り出すのは難しい。


 御者は構わず剣を振るう。


 やはり剣の振りはまだ速度が乗り切っておらず、これならば躱せる。


 私は体を低くして刃をくぐるようにそれを躱し、包帯で巻かれた顔を目掛けて剣を振るう。


 しかし、御者は驚くべき動きを見せた。


 剣を振りながらも体勢を低くして私の剣をギリギリで掻い潜る。


 その際、薄く包帯を私の剣が切り裂くも私の反撃がつけた傷はそれだけだった。


 御者は振り抜いた片刃かたばの刀身を器用に片手で切り返し、強く地面を踏みしめて強引に身体をその場にとどめる。


 同時に後ろに残した左足を少し右脚に引きつけながら空いている左手を振り回して剣を持つ右腕の肘に当てがい、曲がった右腕をそのままの勢いで押すように上半身を回転させる。


 さらに引き寄せた後ろの足を蹴り出し右足を伸ばして軸足とし、それを中心に全身を回転させながら上体を起こし曲がった肘を伸ばしつつ剣を繰り出した。


 跳ね上がるようにして刃が無防備な私に襲いかかる。


 私はどうにか避ける方法を模索する。


(だめだ……)


 私は何をしても間に合わないことを悟る。


 次の瞬間、黒い影が私と御者の間に割り入る。


 そして、私の身体に生暖かい感触と共に大量の返り血が降りかかる。


 割り入ってきたのは黒尽くめの妖艶な女性……ジャハンナ……


「……悪い子ね……保護対象を殺す気?」


 脇腹から胴の半ばまで刃を食い込ませ、大量の血を流しながらも彼女は微笑んで見せる。


 どう見てもそれは致命傷に見えた。


 御者は舌打ちをして剣を引く。


 次の瞬間、信じられない光景が繰り広げられる。


 ジャハンナの傷口から湯気が立ち上り、耳障りな音と共にあっという間に傷口が塞がっていく。


 彼女は先程まであった傷の辺りをなぞり指先についた自らの血を舐める。


 露わになったそこにはもう傷跡さえ残っていなかった。


 いつの間にかジャハンナは空いている手でしっかりと私の持つ剣身を人間とは思えない程の膂力で握っており、私の力では動かせそうにない。


 私は暫し言葉を失うが、今が好機だと気づく。


 御者は罰が悪そうに隙だらけのていを晒している。


 私は剣を手放してジャハンナを押し除けて駆け、軽くジャンプする。


 そして、慣れた動きで握り込んだ拳を御者の顔面に叩きつける。


 いつも同僚にしていた今は懐かしい動作……


 久々にした動きだが、身体が覚えてくれていた。


 まともににそれを受けた御者は流石によろめく。


 そして、先程浅く剣が掠めた包帯がついに切れてほどけていくーーーー

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