表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/68

中 第四十六幕 花瓶の間

 荘厳さをたたえた広大な円形の広間は衛兵や各地からの来客で賑わっている。


「はぁ……どうしたもんやら……」


 そんな中、鎧を着込んだ男が覇気なく肩を落とし脚を引きるように歩いている。


 その姿からは哀愁あいしゅうすら感じる。


 男は壁際に設えられた長椅子に腰掛け再び深いため息をついた。


 壁に広く取られた大窓から差し込む陽射しはあるものの、あまりにも広いため昼間から各所で篝火がかれている。


 少数の柱でこの広大かつ高さのあるドーム状の天井を支えられているのは帝国の有する建築技術の高さを物語っている。


 揺らめくともしびに照らされ居並いならおびただしい数の見事な造りの彫像や美しい白磁はくじかめなど、一級というべき美術品の数々がこの空間に華を添えている。


  造形も作られた地域も様々なこれらは、そのほとんどが帝国が今までに奪ってきた戦利品だ。


 これらの"花"を映えさせるためにこの広間は敢えて簡素な構造になっている。


 故にこの広間は"花瓶かびんの間"と呼ばれている。


 ここは待合室のような役割を持っており、皇帝との謁見えっけんを待ちながら他国からの来賓らいひんは帝国の国威を目の当たりにさせられることになる。


 その片隅で男は再び盛大なため息をついた。


「ガイウス師団長、しっかりしていただけますか?私まで気が滅入ってしまいます……」


 現れたのは銀の鎧を纏うメガネをかけた女性だった。


 彼女は男の前に立ってその名を呼ぶ


「中将の職は先刻めでたく皇帝陛下直々に解任されたよ……さらに、やったこともない人探しの命を下されてさぁ……失敗したらどうなることやら……おじさん胃が痛くて死にそう……」


「いい歳した大人が泣きそうな声で何言ってるんですか……あと、自分のことをおじさんと呼ぶのをやめてください、仮にも私の上司であり主なのですから……しっかりなさってください」


「好きで君の上役になったわけじゃないんだから、無茶言わないでくれよアウラ……」


「……いつか愛想をつかしてしまいますよ……」


 ガイウスの言葉にアウラはため息混じりに言葉を吐き出した。


「まぁ、そう言わずにこれからも付き合ってよ……なんだかんだ頼りにしてるんだからさ」


 笑顔を見せるガイウスに対してアウラため息をまたついた。


「で、どうして役職を解かれたのでしょうか、ガイウス様?」


「それがねぇ……」


 アウラの問いにガイウスは先程のことを思い起こす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ