中 第二十六幕 不安
体調不良と折り合いつけながら書きました
出来のほどは……どうでしょう……
ご指摘ありましたらよろしくお願いします。
ベッドから身体を起こした私はしばらく何が何だかわからずにいた。
ここがどこかすら分からない。
身体にも違和感を感じる。
顔に触れようと体を動かすと目に入ってきたのは少し女性としては大きくはあるが白く細い手……それは見慣れている自分の身体なのにも関わらず先程までの自分の身体とは明らかに違っていた。
そして、ようやく自分が夢の中にいたということに思い至る。
私は先程まで完全にシェリーという少女として存在していたかのように思えていた……今までにない一体感……
何度か見たこの謎の夢……
その中では私の意思がシェリーという少女に重なってはいたが、私はどこか俯瞰して捉えているというか、シェリーやその仲間達に対して他人事という感じがあった。
私は傍観者だったはずだ。
しかし、今回は明らかに違う。
私は夢の中で違和感なくシェリーとして過ごしていた。
私は身震いする。
先程までのリアルな夢の感覚はあまりにも鮮やかで現実と遜色がなかった。
それ故に夢と現実の区別がつかない程に境界が曖昧に感じた……
そして、何より他人としてあれだけ自然に自分が振る舞っていることに恐ろしさを覚えていた。
このままでは自分が自分ではなくなってしまうのではないか……そんな思考さえ頭に浮かんでくる。
思い起こしてみてこれはレインフォルトが憑依していることの影響と考える他ないだろう。
根拠として夢を見始めたのはレインフォルトと身体を共有することになってから後のことだからだ。
それに、ずっと何か大事なことを忘れている気がする……しかしそれは依然として判然としない……
そういえば、レインフォルトに連れられ、待たされたあの燃え盛る場所で私は何をしていたのだろうか……
あの時の記憶が抜け落ちていることに私は思い至る。
疑問と共に生まれたのしかかるような鈍い頭痛と記憶にかかる靄……湧き上がる不安に耐えるため私は胸の前で手を強く握りしめる。
そういえばレインフォルトの声はまだ聞こえてこない。
不意にドアを叩く音と共にもう聞き慣れてきた少女の声が部屋に響く。
「クレアお姉ちゃん……まだ起きて来ないの?診療の時間が近づいてきているけど……調子が悪いなら今日はやめておく?」
「ありがとうアリア……大丈夫、今行く……」
私は気遣ってくれるアリアの声に答えてベッドから立ち上がり、患者から礼にと貰った白衣に袖を通す。
『……何かありましたか、先程まで完全にあなたの意思とのリンクを再構築できなかったのですが……?』
『…………何もないわ……今日も頑張らなくちゃね』
私は少し逡巡した後、奇妙な同居人の問いに心の中で答え不安を振り払わんと自らを鼓舞して部屋を後にした。




