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中 第十八幕 仲間

 私……シェリーは倒れた少年の許に駆け寄りしゃがみ込んで様子を見る。


 一見目立った外傷は見られない。


 痩せこけた頬に荒れた肌は明らかに栄養が足りていないように見えた。


 しかし、それよりも私の今の体の主は別のことが気になったらしかった。


 間も無く追いついてきたレイチェルとバートと子供達により行き倒れの少年はあっという間に取り囲まれる。


「このお兄ちゃん何つけてるの?」


 幼い子が疑問を口にする。


「眼鏡……目が悪い奴が着けるもんだよ……こんなとこに流れ着いたガキにしちゃ珍しいモンつけてるな……身なりも比較的いいように見えるけど……」


 レイチェルが相変わらずの口調で訝しむ。


 彼らから見れば眼鏡は高級品だろう。


「とりあえず連れて帰ろう……しかし、シェリーは行き倒れを見つけるのがうまいな……」


 バートが苦笑混じりに言って少年を肩に担ぎ上げる。


 バートは細身だが力があるようだった。


 少年があまりに痩せていて軽いのもあるだろうが、それでも見事な身のこなしと力だ。


 多分、いい兵士になれるだろう。


 つい聖騎士の目線で見てしまっている自分に私は苦笑する。


 今の私は聖騎士どころか異端者だ。


 まだ、迷いはあるが引き返せないことはわかっている。


 不意に頭に家族やエリス達、そして何故かハーストの顔が浮かぶ。


(進むしかない……)


 少し引っかかるところはあるが、私は自身にそう言い聞かせる。


 そんなことを考えているとバートは軽々と小年を家に運び込み、ベッドがないので子供達が並べた椅子の上に寝かせる。


 少し時間が経つと少年が目を覚ます。


「ここは……?」


 起きた少年は不安そうに辺りを見回す。


「大丈夫、ご飯用意するから待ってて」


 私、シェリーの言葉に少年は戸惑いを見せ申し出を断ろうとするが、お腹から出た音にそれは遮られる。


 私は苦笑して焚き火で沸かした水をコップに注ぎ、パンを浸してふやけるのを待ち匙を添える。


 ここではこれが精一杯の病人食……


 シェリーはこういったことが得意らしく、意外にも手際がいい、レイチェルの子供達の世話を任せられるという言葉もお世辞ではないようだった。


 そっと差し出したそれを少年は申し訳無さそうに受け取り木の匙で口に運び、よほど空腹だったらしくあっという間に平らげてしまった。


 レイチェルもバートもただ見守っている。


「ありがとう、僕はレイ……っ、レイナードだ……レイドって呼んでくれて構わない」


 人心地ついた少年は礼と共に自己紹介をする。


 痩せこけてはいるが、どこか品性を感じる。


「ふーん、アタシはレイチェル、こっちのバートとここの頭張ってる……レイド、アンタどこから来たの?」


 レイチェルの問いにレイナードは少し口籠る。


「……まぁ、言いたくないならいいけどさ、レイドは何か出来ることあんの?」


 レイチェルは値踏みをするようにレイナードを見る


「……読み書きは一通りできるかな、あとは……」


「字が読めるのか!?」


 レイドの言葉にバートが驚きの声を上げる。


 いつも冷静なバートにしては珍しい反応だ。


「なんかコイツは違うとは思ってたけど字が読めるとはなー……スゲェじゃねーかよお前、ハカセだな!よかったらアタシ達に字を教えてくれよ!そうすりゃ飯の心配はしなくていいぜ」


 レイチェルが笑みを浮かべ手を差し出す。


「それくらいなら……喜んで」


 レイナード……レイドは照れ臭そうにしつつもレイチェルと握手を交わした。


 こうして新しい仲間を彼らは受け入れた。

レイナードは何者なのか……

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