中 第十一幕 夢の続き
私の夢はまだ続いていた。
とにかく足を動かすが、両手に抱えた荷物で上手く走れない。
それは皆同じだった。
先程の口の悪そうな少女と年長らしい少年が先頭を走っている。
対して私の身体は明らかに足が遅く、だんだん皆から取り残されていく。
「ここからはバラバラに行くぞッ!皆捕まるなよ!!」
先頭を行く少年が叫ぶと皆散り散りになり走っていく。
私の身体はもう息が上がってきていた。
本来の私の身体は丈夫で、走るのも早かったから余計にフラストレーションが溜まるが、相変わらず何も出来ない。
私は路地に駆け込んで立ち止まってしまう。
そこにあの私を起こした少女が駆け寄ってくる。
「れ、レイチェル!?……な、なんで!?」
私の口がは戸惑いがちに彼女の名を口にする。
「シェリー!……ったく相変わらず鈍臭いんだからよ……なんでもクソもねーだろ、大丈夫かよ!?」
口の悪い彼女らしい言葉に私……シェリーは思わず笑ってしまう。
「笑ってる場合かよ!いくぞ!!」
言うや否やレイチェルは私の手を取って走り始める。
レイチェルも私も荷物を落としてしまうが、レイチェルは見向きもせずに走る。
力強く手を引くレイチェルを心強く思いながら私も足を動かした。
私はシェリーの記憶らしきものが少しずつ流れ込み私の記憶と混ざっていくのを感じていた。
私の身体の主であるシェリーとレイチェルを含めた先程のスラムの家にいたのは皆孤児で、肩を寄せ合い盗みなどで生計を立てている。
年長の少年のバートとレイチェルが稼ぎ頭で私達はこの2人に世話になりっぱなしだ。
私とレイチェルは面通りの人混みに紛れてようやく走るのをやめて歩くことができた。
「チクショウ!……ファミリーの奴ら……無茶な花代セビってきやがって……そのクセ守りもくれやがらねぇ……クソがっ」
息を整えながらレイチェルが毒付く。
可愛らしく綺麗な顔立ちのレイチェルだが、この口の悪さには閉口せざるを得ない。
私達はあるマフィアの傘下に入っているのだが、最近彼らへの上納金が跳ね上がった。
前にも増してバートとレイチェルは盗みをしたが、やり過ぎて領主に睨まれてしまったらしい。
私達孤児はこうしてマフィアに怯え、時に憲兵に追われて、それでも肩を寄せ合い歯を食いしばってこの街のスラムで生きてきた。
しかし、今回の件でこの街に居続けるのは難しい……混乱する頭の中でそう私は思い始めていた。




