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超次元電神ダイタニア[Data Files]  作者: マガミユウ
10/29

[Data10:進一と陽子【二】]

『大胆科学愛想会』に入部(入会?)した俺は、その日の講義が終わると部室棟の奥にある電算室、所謂コンピュータルームにいた。


電算室は部室の十倍以上の広さがあり、部屋一面にスーパーコンピューターがずらりと並んでいる。

一般の生徒なら複数の入室許可を取らないと入れない電算室に、今回簡単に入ることが出来たのは、俺の隣りを歩いている人のお陰だった。


「どう?初めて観たスパコンは?」

浅岡先輩がにこやかに俺に訊いてくる。

「そう、ですね……凄く、綺麗だ……」

俺はそう答えた。碁盤目状に整然と立ち並び、所々LEDの光が漏れる姿は夜の摩天楼を彷彿とさせた。

実際、凄すぎて夢でも見ているような気分だ。


「ふ~ん。さすがパソコンオタクの迫田君らしい言い方ね」

浅岡先輩は少し意地悪そうに微笑んだ。

「……すいません」

何となく失礼なことを言ってしまった気がして謝ると、浅岡先輩は首を横に振った。

「ふふ、いいのいいの!私も最初観た時は感動したよー」


そんな会話をしながら歩いている間に電算室の中央にある一際目を引くスパコンの前へと辿り着いた。


俺はそのスパコンを下から上に視線を移し、眺める。

俺の背丈の倍はあろうかと思われる、その黒光りする立方体はどこまでも天に伸びているかのような錯覚を俺に覚えさせた。


「……これが………!」

「そう!この大学の目玉の一つ!二年前まで国内一の性能を誇っていた『富岳』を抜いたスパコン、『天照(アマテラス)』!」


挿絵(By みてみん)


俺が見上げるスパコン『天照』は、『大胆科学愛想会』の顧問兼スポンサーでもある浅岡先輩の父親、浅岡教授が開発に携わったものだという。

そして俺がこの大学を志望した動機の一つだった。


「凄いでしょ?さっすがお父さん!って感じよね!」

浅岡先輩は誇らしげに父親を褒める。そして俺は少し興奮した様子で

「……これが、『天照』……!」

と呟いた。


浅岡先輩はそんな俺に少し誇らしげな表情を向けると

「これが、世界一のスパコン『天照』。そして、『大胆科学愛想会』も偶に使わせてもらってるマシンよ」

そう言って微笑んだ。


「……すげえな……!」

俺は力強くそう答えた。すると浅岡先輩は少し照れ臭そうにはにかんで頷いた。

それから俺たちは部室に戻り、他のメンバーたちと合流した。



「揃ったわね!じゃあ早速始めましょ!」

ミッチー先輩が意気揚々と言った。コニシキ会長がそれを受けて口を開く。


「さて、今年の唯一の新入部員であるザコタに、俺たちが今構築しようとしている仮想空間の具体的な説明をしよう!」


「よッ!会長!」

ミッチー先輩が乗りよく合いの手を入れる。コニシキはそれに満足そうに頷くと説明を始める。

「まず、仮想空間生成制御人工知能の概要を説明する」


コニシキがそう言うと、ドクがホワイトボードに図を書きながら説明を始める。

「仮想空間生成制御人工知能とは、『バーチャルエクスペリエンス』の技術を応用し、ヘッドギアから脳波を読み取りバーチャル空間にその人間を投影させるプログラム、を制御するAIのことだ」

ドクは一呼吸置いてから説明を続ける。


「解りやすく言うと、『バーチャルエクスペリエンス』によって投影された仮想空間を、そのAIが自動的に生成し続け、管理をし、より多彩な仮想空間を作り上げてくれる」

ドクはそこで一度話を切ると、コニシキの方を見る。するとコニシキが話を受け継いだ。


「そして、そのAIの開発と制御をするのが今の俺たちの研究だ!AIに指示を送りながら仮想空間を生成するための知識を与えている段階だ!」

コニシキは説明が終わるとホワイトボードをバンッと叩いた。


「…ということは、もう粗方そのAIは形になっている、と?」

コニシキの言い方から気になるところを俺は訊いた。


「ああそうだ!AIは順調に育っているぞ!」

コニシキが自信満々に答える。それに続いてミッチー先輩が

「ねえ、もうそろそろその『仮想空間自動生成制御人工知能』って呼び方変えない?長ったらしくて言いづらいんだけど?」

ごもっともな意見だった。


「確かにな。恐らく気になってなかったのはコニシキくらいだろう。こいつ、こういう長ったらしい如何にも科学な名前好きだからな…」

ドクがそう付け足す。


「はっはっは!好きだ!だが。みんなからそういう意見があるのなら考えようじゃないか!」

コニシキは開き直るようにそう答えた。


「よくある、意味が近い英単語を並べて一つの読み方にするのとか、どうですか?」

浅岡先輩がそう言うと

「ああ!それいいわね!クールなやつ!」

とミッチー先輩が賛同する。


「よし、じゃあそうしよう!どんどん単語を挙げてってくれ!ドク、そのまま板書を頼む!」

コニシキが勢いよく手を叩いて言った。

「“ドック”だ。了解。」


「仮想空間…バーチャル、エリア、ヤード、ディメンション…」

浅岡先輩が独り言のように呟き始める。

「電脳、サイバー、シナプス、ブレイン、自動、オートメーション…」

皆が口にする単語をドクが次々にホワイトボードに書き連ねていく。

そして粗方出尽くした単語を皆で凝視して熟考が始まった。



「数ある単語の中から選ばれた我が『大胆科学愛想会』が携わる仮想空間自動生成制御人工知能の略称はコレだッ!ドク!」

コニシキは意気揚々にそう言うと、ドクに目配せをした。


「ああ。みんなで意見をすり合わせた結果、『synaptics amplified neuron yard』、通称『SANY(サニー)』に決まった。《神経接続で増幅された神経世界》という意味で、根底の技術に『バーチャルエクスペリエンス』を使ってることもあり、意味合いもズレてはいない。それに、浅岡教授の娘さんもいることだしな。いい略称だと俺も思う』

ドクはそう説明すると、ホワイトボードに『SANY』と書き記した。

「安直だが、俺たちに一番しっくりくるな!」

コニシキが納得したように頷く。俺も特に異論はなかった。しかし


「う~ん…」

浅岡先輩が何か腑に落ちないといった感じで唸っていた。

「どうしたサニー?」

コニシキが尋ねると浅岡先輩が口を開く。


「……私のあだ名を付けてもらって嬉しいんだけど、このAIはみんなで研究してるものだから、私だけ特別扱いされてるようで、ちょっと……」

浅岡先輩は少し申し訳なさそうに、しかしはにかみながらそう答えた。


「気にしないの!実際陽子はそれだけの恩恵をあたしたちに与えてくれてるんだから!それに、あたしサニーって名前好きよ?みんなを照らしてくれる太陽みたいで!」

ミッチー先輩はそう言うと浅岡先輩にウインクをした。


「丁度この大学には『天照』もあることだし、いい落とし所だと思いますよ」

俺もミッチー先輩の意見に賛同した。浅岡先輩は少し照れくさそうに


「ありがとう……私も、このあだ名、結構好きなんだ」

と嬉しそうにはにかんだ。


「よし!では満場一致で『SANY』に決定だ!」

コニシキがそう言うと一同から拍手が起こった。


「じゃあ、明日から引き続きSANYの構築をやっていくわよ!今日は遅くなったのでこれにて解散!」

ミッチー先輩が張り切ってそう言うと皆もそれに応じるように力強く頷いた。


隣で帰り支度をしているコニシキに、俺は気になった事を訊いてみた。

「『大胆科学愛想会』って名前も長いけど、それは変えたりしないんですか?」

「それはないッ!代々受け継がれてきた部名だからな!」

コニシキは食い気味に即答した。


「部じゃなくて会になっちゃってますけど?」

「うッ!それを言ってくれるな…」

俺がそうツッコミを入れると、コニシキは気まずそうに目を逸らした。


「ま、まあ!『大胆科学愛想会』は世界一の部だッ!例え同好会に成り下がろうと、その伝統と誇りに恥じぬよう、俺たちはこれからも頑張っていくぞ!」

コニシキは誤魔化す様に明るくそう言うと、俺に向かって親指を立てた。

俺はそんなコニシキのポジティブなノリは嫌いではなかった。



次の日から早速俺を交えて研究が始まった。俺は講義の無い時間はほぼ研究に費やした。

ミッチー先輩が言った通り、皆と研究するのは楽しかった。


コニシキはリーダーとしてよくみんなをまとめてくれていた。俺はそんなコミュ力オバケのコニシキを羨ましく思い、そして尊敬していた。


ミッチー先輩は俺が何を言っても否定せず、「面白い!」「ザコタ君天才じゃん!」と言って俺の意見を認めてくれた。それがとても嬉しかった。


ドク先輩は様々な科学の分野に明るく、その知識を部のために惜しみなく使ってくれた。俺にも様々な事を教え、諭してくれた。


浅岡先輩は優しかった。いつも笑顔で、俺に笑いかけてくれて、俺を褒めてくれたり励ましたりしてくれた。

高校時代、反抗期で突っ張っていた俺が、そんな先輩に惚れるのは時間の問題だった。


想ったところで、それを伝える術を知らない俺はただただ研究に没頭した。ミッチー先輩、コニシキ、浅岡先輩はもちろんの事、ドク先輩も俺の意見を積極的に取り入れてくれた。そのお陰で俺は自分の考えを臆せず伝えることができるようになり、研究が更に円滑に進んでいった。



そんな充実した日々はあっという間に過ぎていき、ついにその日がやってきた。

俺たち五人は電算室で緊張した面持ちで佇んでいた。

「やっと……とうとうこの日が来たわね……」

ミッチー先輩が確認するようにそう呟いた。

「ああ。ここまで長かった……」

コニシキは感慨深げにそう言った。

「今日はSANYの構築した世界に実際に入ってみる日だからな……緊張するな」

ドクはいつも通り冷静に振舞っているが、その表情には少し固さが見て取れた。


「さあ!陽子!準備はいい?SANYの起動実験を始めるわよ!」

ミッチー先輩は、既にヘッドギアを付けて『天照』の前に待機してきた浅岡先輩に元気に声を掛けた。

そう、今日の『天照』を使った初の電脳世界投入実験のプレイヤーに名乗り出たのは浅岡先輩だった。


「はい!いつでもどうぞ!」

浅岡先輩はいつもと変わらぬ笑顔で元気よく返事をする。

俺は、そんな先輩を見守るように『天照』のモニターの前に立っていた。


「じゃあ、いくわよ!ポチっとな!」

ミッチー先輩がそう言ってキーをタッチする。すると『天照』はゆっくりと起動し始め、やがて青い光を放ちながら駆動音が響いてきた。その機械音は段々と勢いを増していくと共に大きくなっていく。


浅岡先輩のヘッドギアが映し出す画面が真っ白に染まったかと思うと次の瞬間には目の前に広大な異世界が広がっていた。


「うわあぁ………!」


無限に広がる草原。

雲間から流れ落ちる滝。

険しい山々に囲まれた古城。

外壁がある街へと続く土の路。


浅岡先輩が見えている世界が隣のディスプレイに映し出される。


「うわあ…うわぁ〜!すごい!すごいッ!」

浅岡先輩は感動の余りか、語彙が少なくなっている。


「よし!意識投入と情景投影は成功だ!」

コニシキは誇らしげにそう言った。


「わあ〜。綺麗な所ですね〜!」

と、浅岡先輩も感激している。

ミッチー先輩とドクはそんな先輩の様子を微笑ましく見ていた。


「これが、迫田君がデザインして、みんながプログラムした世界なんだね!とっても素敵!」

浅岡先輩が目を輝かせながら言う。


「いや、別にそんな。テンプレなファンタジーの世界観だし……」

俺は柄にもなく照れてしまい、そんな素っ気ない返事をしてしまう。


「そんなことないよ!迫田君が頑張って作り上げた世界だもん!みんなもそう思うでしょ?」

浅岡先輩がそう言うとコニシキとミッチー先輩は俺に向き直り


「まあな!一年のザコタにしてはよくやった方じゃないか?流石だな!」

「そうね〜。ザコタ君、良い仕事したわね!」

何だかんだでいつも褒めてくれる二人。

そんな二人に続き、いつも厳し目の指摘をしてくれるドク先輩が

「よくやったな。俺も好きだぞ、この世界」

と珍しく褒めてくれた。

俺はそれを聞いて顔が熱くなるのを感じた。


「はは……ども……」

照れて上手く返事ができない俺にコニシキが声を掛けてきた。

「よし!じゃあ早速SANYに指示を出してみるか!ここから、紛らわしいので浅岡のことは浅岡と呼ばせてもらうぞ!ザコタ、SANYを起動させてくれ!」


「了解。まず最初にSANYのファーストプロトコルを承諾。メインシステム、起動します」

そう言って俺がキーボードを打つと『天照』が機械音を出しながら動き始めた。画面に映る浅岡先輩の世界の情景もそれに合わせて動き出す。そして、仮想空間の人工知能である『SANY』が目を覚ました。


「ミッチー、浅岡のバイタルに変わりはないか!?」

コニシキの声に、ミッチー先輩は浅岡先輩に付けられた心電図や血圧計の数値が映し出されているモニターから目を離さず答える。

「バイタル正常。心拍数が少し早いけど、陽子?緊張してる?大丈夫?」

「うん、大丈夫。ありがとう千登世さん」

浅岡先輩の答えを聞いたミッチー先輩も安堵の表情を浮かべた。


俺たちは『天照』の画面を通して浅岡先輩の様子を見守っていた。

コニシキとドクは『天照』から少し離れたモニタールームで映像を見ながら仮想空間内を観測している。


二人の見立てでは、仮想空間内の大気や気温などはちゃんとSANYにより再現されているらしい。そして、仮想空間内における会話や行動などのデータも全て人工知能であるSANYに記録される。


俺たちは、浅岡先輩のバイタルサインや意識の状態、会話の内容などを記録し、現実世界での浅岡先輩の変化も観察していた。


「よし!浅岡、動いてみてくれ!」

コニシキがよく通る声で浅岡先輩に指示を送る。


「はい。じゃあ暫くこの道を歩いてみますね?」

そう言うと浅岡先輩はその場でゲーム機から流用したコントローラーを使い前進を試みた。すると、モニター内の風景映像が動き出した。


「あ!動いたよ!」

ミッチー先輩がモニターを見ながら興奮気味にそう叫ぶ。俺たちは、モニターに映し出された浅岡先輩の動きに注目した。


「え!?何これ?まるでゲームみたい……!」

仮想空間内のアバターが動かした右脚を見て浅岡先輩は目を丸くし驚いているようだった。どうやら仮想空間に感動している様子だ。

そして、先輩の両足はゆっくりと眼前に続く道を踏みしめ歩き始める。


「すごい!これ本当に自分で歩いてるみたい……!」

と、浅岡先輩は感動の声を上げていた。


「わぁ……!本当に、本当に私が歩いてるみたい……!素敵!」

先輩は辺りを見渡しながらゆっくりと仮想世界を歩んでいく。


モニタールームのコニシキたちも食い入るように浅岡先輩を見守り続ける。先輩の動きや表情の変化にも注目する。

しかし、暫く歩いたところで浅岡先輩が足を止めた。どうしたんだろう?と俺たちが思っていると先輩は口を開いた。


「ねえ、迫田君?」

「ん?何です?」

俺は突然呼ばれたことに驚きながら返事をする。

すると浅岡先輩は少し困ったような表情を浮かべてこう言った。


「あのね……なんかちょっと歩きづらいというか……その……」

歯切れが悪くなって言い淀む先輩。俺は先輩の言いたいことを察して言った。


「あ、もしかしてアバターの衣装がスカートだから気にしてる感じですか?」

そう尋ねると先輩は照れたように笑ってコクリと頷いた。

(ああ……!アバターの衣装でも照れる先輩、可愛すぎるなチクショウ!)


「ちょっと待ってて下さい」

俺はSANYに覚えさせたこの仮想世界の衣装デザインの中から露出が少ない物を選び、先輩のアバターに反映させるようにSANYに指示を送る。

するとアバターの衣装は、露出を控えたパンツスタイルへと変化した。


「あ!これ!この衣装!」

先輩はアバターの衣装が変わったことで歩きやすくなったのか、嬉しそうに足元をピョンピョンと跳ねるようにして飛び跳ねている。そしてまたゆっくりと歩き出した。


(ああ!先輩が可愛すぎるな!)

俺はその様子を見ながら色々な意味で興奮していた。


そんな俺にコニシキが声を掛けてきた。

「おい、ザコタ。浅岡のバイタルに変化はあったか?心拍数が乱れたり、血圧が上昇したりしていないか?」


「心拍数は依然少し早いままですが、興奮していると考えれば正常値です。他に気になる変化は無いですね」

俺がそう答えるとコニシキは真面目な顔のままミッチー先輩に向かって話し掛ける。


「おい、ミッチー!浅岡の身体に視認出来る変化はないか?」

するとミッチー先輩は不思議そうに首を傾げる。

「え?いや、特に変わったところは……あ!待って!」


ミッチー先輩はヘッドギアの下から浅岡先輩の顔を覗き込む様に体を屈ませる。

そして突如慌てたように、両手を掲げ大きく振った。


「ストップ!陽子から多量の発汗を確認ッ!鼻血も少し出ているわ!SANYとバーチャルエクスペリエンスから離脱させて!」

ミッチー先輩がそう言うと、ドクは素早くキーボードを打ち、『天照』を停止させた。

そしてヘッドギアを外すと浅岡先輩に駆け寄る。俺はその様子を横から呆然と見ていた。


「大丈夫か!?しっかりしろ!」

コニシキがそう声を掛けるも浅岡先輩は返事をしない。どうやら意識を失っている様だ。

コニシキはそれを見ると急いで救急車を要請し、俺とドク二人でゆっくりと浅岡先輩をモニタールームのソファまで運んで横にさせた。



「……電脳世界から切り離した途端に血圧の数値がぐんと上昇したわ……」

ミッチー先輩がそう言うとコニシキは浅岡先輩の腕に取り付けられた心電図モニターを見つめながらポツリと呟いた。


「…途中から、何か違和感を感じた……モニターに映し出された浅岡は確かに喋っていた。はしゃいで飛び回って…だが、実際の浅岡は衣装が変わったくらいであそこまで飛んだり跳ねたりするような奴だったか?」


「まあ、浅岡もゲーム好きだからバーチャルな世界で浮かれてしまうってことはあるかも知れない……それに、その事が現実世界でのバイタル低下には繋がらないはずだ」

ドクも顎に手を当てて思考を巡らせている。


「だからだ。俺たちが観ていたモニターの中の浅岡はSANYによって生成された別の映像だったんだよ。SANYは現実世界のバイタルモニターの数値まで仮想世界の中と同じにしてしまう程の強力な侵食性を持っていた…!」

コニシキは苦虫を噛み潰したような表情でそう言った。


「なん、だって……!?」

じゃあ俺が可愛いと惚けて見ていた浅岡先輩はSANYによって創られた別の先輩だったというのか?口調や声色まで全く同じだったじゃないか!

そんなことが………

挿絵(By みてみん)


そうこうしている内に、サイレンと共に救急車が駆け付け浅岡先輩を搬送していった。

俺たち四人も後を追い、車を持っていたドクが病院へと車を走らせた。

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