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エピソード09

「で、クロエ嬢はどうする?どうしたい?」


思考が迷宮入りしかかっていたクロエは

ハーツの問いにハッとした。

そうだ···状況を知ってお終いではないのだ。


『どうする···どうしたい···

私は···アイルやロベルト様と話したい。

私に何か問題があるのなら教えて欲しいし

誤解があるなら勿論解きたい。

私が悪いのであれば、ちゃんと謝りたい。

でも···』


なかなか答えられずにいるクロエを

ハーツは、急かすでも呆れるでもなく

穏やかな視線で待っていてくれた。

どんな答えを出したとしても

肯定してくれるような眼差しに

クロエの曇っていた心が晴れた。


「私は···会場に行きます。」


「うん。

わかっているとは思うけど

敵陣に乗り込むってことだよ?

あの状態だ、何があっても不思議じゃない。

その覚悟がある、ってことだよね?」


「···はい。

アイルやロベルト様と話したいんです。

もし、話すことすらできない状態だったとしても

その事実が···私の次の一歩に繋がると思うから。

何があったとしても、このまま疑問を抱えながら

立ち止まっているわけには行きません。」


クロエの話を真摯に聞いてくれていた2人は、

今はもういないのかもしれない。

会場にいる全ての人が、敵なのかもしれない。

でも、この時を逃せば二度と立ち向かえない。

ハーツに温めてもらった心が凍てつく前でなければ···


「よし!

それでは、私は姫のナイトになりましょう!」


「えっ···?」


答えはわかっていたと言わんばかりに

クロエに付き添うと言ってくれたハーツ。

おどけて見せたが、次の瞬間には

クロエが見たことのない真剣な表情に変わっていた。


「クロエ嬢、私がそばにいるよ。

どんな結末を迎えても、私は貴女とともに···」


このまま甘えしまいたかった。

だって、クロエには不安しかないのだから。

しかし、甘えるわけにいかないのだ

この王家主体で起きている醜聞に

他国の、それも皇族を巻き込むことはできない。


「···ハーツ様、でも」

「言わないで!」

「······」


吐いた言葉は、ハーツの力強い声ですぐ制止され

声を荒らげたことなどないハーツの意外な一面に

クロエは次の言葉が出なかった。


「これは私個人の希望。

友達を心配することに、国など関係ないよ?」


ふふっと笑顔に戻ったハーツに

感謝の気持ちと、一歩踏み出す勇気が湧く。


「ハーツ様、ありがとうございます。

本当に···本当に心強いです···」


少しだけ溢れてしまった涙はこっそり拭いて

ハーツにエスコートされ会場へと向かった。

裏話

ーーーーーーーーーー

エピソード08でやっと出せた設定

《迷いの愛し子》について!


初代王妃も《迷いの愛し子》で

その影響から、アース国では《ニホン》の文化が

色々な所に根付いています。


特に食文化は、日本人がパッと浮かぶ料理なら大抵あります。

食材も···きっと似たような感じなんだと思います!


王家が保護することが多いので

王家貴族以外の一般国民にとっては

遠く謎めいた存在です。


『《迷いの愛し子》を愛し守った国は幸せになりました』

という結末の、短いお伽噺だけは

今も一般国民に語り継がれている感じです!

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