成長
それからは力仕事できっと役に立てるという言葉を信じて、畑を耕したり、そんなことに力を使った
母に驚かれないようにと気は遣ったが、これまでも学校に行く前と後とに畑に出ていたから怪しまれないだろうと思った
これまでのように母が朝市に行く前の収穫を手伝い、夕食を作っている間に新しい畝を作ったり硬い土を起こしたりしていた
畝が増えていても、母は気付いていないのか何も言わなかった
一応それぞれの土地はあるが、開墾するのは自由なので少しずつ開墾もした
そうしているうちに一年が過ぎた
不思議なのは、あれから余り背が伸びなくなったことだ
真ん中ぐらいだった背が、気がつけば一番前になっていた
母も心配して、栄養のあるものを調べて植えてくれたし、力仕事をすると伸びなくなるらしく無理しなくていいとも言った
力仕事といっても、物理的な力は使っていないと思いつつ、僕は少し控えることにした
それでも何故か、背は伸びなかった
十二になる頃には、みんな少しずつ男性的なガッシリとした身体になっていく
一つしか違わないのに髭が生えたり、声が変わったりしている子がいる
最初は心配していた母も、卒業式で僕が同級生といるところを見て、薄気味悪く感じたようだった
「ねぇデイル、その服まだ小さくならないの?」
そう聞かれて、ようやく気が付いた
母は僕の身体に触れて、力仕事をしているはずなのに細く柔らかな身体に違和感を覚えたらしい
「母さんに言われて控えていたせいかな」と言うが、納得できない顔をしている
神官さまに見てもらってもいいのだろうが、僕たちが奉納したのは二年も前だ
今見てもらうとなると、それなりの理由とお金が必要になる
背は伸びないが、異常なほど低くもない
身体つきは変わらないが、おかしいというほどでもない
母は不思議そうにしながら、僕の顎を撫でた
もちろん、まだ髭も生えていない
それから、僕がそこにいることを確かめるかのように抱き締めた